TASAKIの新章

FEATURE本誌記事
2018.08.11

TASAKI バランス
直線状のラグを特徴とするケースは、白にほんのり紅が差したような独自のSAKURAGOLD™を用いた。ブレスレットはそれとSSとのバイカラー。ムーブメントのマイクロローターはPVDでケースと同色に。自動巻き(Cal.TPW 808)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18K SAKURAGOLD™(直径39.5mm)。3気圧防水。260万円。

日本の感性とスイスウォッチメイキングが紡ぎ出すTASAKIの新章

日本を代表するプレミアムジュエラー、TASAKIによるタイムピースにこの秋、新たなシリーズ「バランス」がリリースされる。その外観はミニマルな洗練を極め、日本人の感性に合う。それが包み込む機械式のムーブメントは、ブランド初のスイスメイドを採用。外装もムーブメントも精巧さと美しさを見事なバランス感覚で融和し、ドレスウォッチとしてシンプルな腕時計におけるさらなる高みを目指した意欲作だ。

竹浦康郎(AUOS ):写真 Photographs by Yasuo Takeura (AUOS)
髙木教雄:取材・文 Text by Norio Takagi

メンズのストラップ仕様。ホワイトのダイアルは、完璧な平滑が保たれ質感も高い。正方形のインデックスが、ユニーク。同じく正方形のリュウズは、指掛かりが良く操作しやすい。自動巻き(Cal.TPW 808)。29 石。2 万1600 振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KSAKURAGOLD™(直径39.5mm)。3気圧防水。195万円。

小ぶりなケースにウィメンズ初の機械式ムーブメントを内包。シンプルな2針をツインバレルが高精度に駆動する。銀座本店のファサードをモチーフにエングレービングされたローターの装飾も見応えがある。ダイアルはTASAKIらしい最高級の真珠母貝を用いている。自動巻き(Cal.TPW 900)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KSAKURAGOLD™(直径33mm)。3気圧防水。160万円。

 リングに設置された真一文字のスリムな角柱の上に、球体のパールが寄り添うように並ぶ。そのモチーフは、バランスボール。TASAKIのデザイナー、タクーン・パニクガルが手掛けた初のコレクション「バランス」は、直線と球、そしてリングの円とが織り成す幾何学的な美感と、パールがこぼれ落ちそうなユニークさとで、ジュエリーデザインに強烈なインパクトを与えた。

 そのモダンでクリーンな世界観が今年、「TASAKI TIMEPIECES」にもたらされた。シリーズ名は、そのまま「バランス」である。外観を大きく特徴付けるのは、ケースの上下に置かれた直線状のラグ。それらにベゼルをわずかに重ねることで、ジュエリーリングのバランスの姿が巧みに写し取られている。ラグとベゼルとの連結部は、100分の1mm単位で根気よく微調整を繰り返し、その名の通り絶妙なバランスがかなえられた。メンズラインは2針+スモールセコンド、ウィメンズラインは2針と、機構もシンプル。いずれのダイアルも、正方形の植字インデックスとバー型の時分針を配し、シンプルで幾何学的な美感を表す。さらにリュウズも正方形とし、幾何学性は外観の隅々にまで行きわたっている。この潔いまでのミニマルデザインは、伝統的な日本建築やその建具、調度品に相通じ、日本の感性の発露だと言えよう。

 メンズは、ケース厚6.85mmと、薄くドレッシー。5連のブレスレット仕様も用意され、直線状のラグに5つのコマが並ぶ様子は、ジュエリーリングの姿により似る。ウィメンズのケースは、33㎜径と小ぶり。その内側には、TASAKI TIMEPIECESのウィメンズラインとしては初の機械式自動巻きムーブメントが潜んでいる。メンズラインが搭載するのも、自動巻きムーブメントだ。これらのムーブメントは、いずれも丁寧な装飾仕上げが施され、トランスパレント化された裏蓋から見せるにふさわしい。ブリッジでは放射状のコート・ド・ジュネーブが華やぎ、その隙間に見える地板に施されたペルラージュ仕上げも繊細にして緻密。メンズ用はマイクロローターを採用することで薄さを極め、そのローターはTASAKIオリジナルのSAKURAGOLD™カラーに染められている。ウィメンズ用は通常のセンターローターとし、ツインバレルを力強く巻き上げる。そのローターには〝Face of TASAKI〞(銀座本店ファサード)の装飾をモチーフにしたパターンがエングレービングされ、アイコニックで独創的な美がもたらされた。