本田雅一、ウェアラブルデバイスを語る/『独自のブランディングで勝負するフォッシル』後編

FEATUREウェアラブルデバイスを語る
2018.08.28
本田雅一:文
Text by Masakazu Honda

テクノロジーの分野で、知らぬ人はいないほどのジャーナリストが、本田雅一氏だ。その本田氏が、腕に着ける装置「ウェアラブルデバイス」を語る。今回は引き続き、スマートウォッチのシェアを増やしつつあるフォッシルについて解説していく。

各ブランドで行われる差異化

 昨年、第3世代へとスマートウォッチのプラットフォームを更新し、マイケル・コース、ディーゼルといった複数のブランドからタッチスクリーンスマートウォッチを展開しているフォッシルは、ブランドごとにどのような差異化を図ろうとしているのか。

 現在発売されている製品を見る限り、彼らは比較的シンプルにそれぞれのブランドの特徴を出そうとしている。

 フォッシルブランドは、実際に同社が手掛けているコンベンショナルな腕時計の中でも、人気の高いデザインテイストの腕時計を展開している。

 近年のフォッシルは自社ブランドの腕時計にブルーIPをポイントカラーとしてだけではなく、ケース全体に使用し、シックなレザーストラップによく合うデザインを採用している。ブルーIPとブラウンの対比が特徴的だ(3ページ目参照)。また、自社ブランドということもあり、プリセットされる盤面デザインも豊富だ。

 心拍センサーを備えたスマートウォッチはフォッシル Qの第4世代をはじめいくつかのブランドでラインナップを持つが、フィットネスのイメージはミスフィットのブランドで定着させたいようだ。軽快な装着感を意識したモデルに関してはミスフィットブランドのみに用意している。

 ライセンスブランドは、それぞれのブランドのデザイナーと協議しながら、ケース、バンド、そして盤面のデザインを決めていくため、フォッシルブランドほど多くの選択肢を持たない。しかし、それぞれのブランドの雰囲気にデザインを合わせている上、価格面も一般的なスマートフォンと同等にし、競争力を与えている。

 製品を見ると、マイケル・コースはスーツに合いそうな造形の中でもゴージャスに、エンポリオ アルマーニも同様ではあるが、より上品な雰囲気といった具合に、微妙なテイストの違いを盤面、ケース、バンドで作り上げようとしていることが分かる。

 最も男性的なディーゼルは、ラスティな風合いにやや過剰気味のメカニズム演出。さらに天気の変化に合わせて盤面にアニメーションエフェクトが発生するなど、ダイナミックな色付けが施されている。

ディーゼル「DT2004」
プラットフォームは共通ながら、ブランドイメージに合わせた味付けで差異化を図るのがフォッシルのスマートウォッチ戦略だ。イタリアのプレミアムカジュアルブランド、ディーゼル名で展開される「DT2004」ではケース径を48mmまで拡大。着信のたびにディスプレイにヒビが入る演出をアニメーションで表現するなど、武骨さをアピールした作りが特徴だ。SS(直径48mm、厚さ12mm)。5万1000円(税別)。㉄フォッシルジャパン℡03-5992-4611