6年目を迎える中目黒の小さなイタリア料理店。郷土の魅力豊かで多彩なメニューを手掛ける大貫浩一シェフを突き動かす信条とは?
青い扉の奥に続く店内は、いつ訪れても陽気な空気に包まれている。席に着き黒板を見上げれば、魅力的なメニューが並び、選ぶ楽しさに心躍るだろう。中でも手打ちパスタは常時約15種類を誇るほど。そこにオーナーシェフである大貫浩一氏の想いが詰まっている。
「修業時代、白金にあった『ピオラ』では、パスタ場を担当させてもらいました。常に10種類の手打ちパスタをラインナップしていることに加え、食材の素晴らしさにも刺激を受けましたね。いよいよ本場で学びたいという気持ちが強くなると、オーナーシェフのヴァルテル・ダル・コル氏が紹介状を書いてくれました」と恩師への感謝を懐かしく振り返る。
その後、ピエモンテ州アルバの名店「トラットリア ラコチネッラ」や、サルディニア島のミシュランひとつ星獲得店「リストランテ サポセントゥ」をはじめ、トスカーナ、
プーリア、マルケの5州で研鑽を積んだ。北から南までイタリア各地を巡ったことで、手掛けるパスタやソースそれぞれに、自身の経験が投影されている。だから、食べ手も記憶に残る味なのだろうか? などパスタを口に運びながら考えてしまう。そして、ワインがまた進む。
カウンター越しに厨房を臨むと、いくつものフライパンを使い、次々と料理を完成させる様子に釘づけになる。実に鮮やかで機敏。妥協を許さず、じっくり手を掛けて調理する料理人の姿だ。ところが曰く、「料理人だとは思っていません。作りたいのは料理ではなく店。一番大切なのは、楽しい空気をつくるサービスです。だから料理は一番の名脇役」。意外な言葉に驚いたが、すぐさま納得した。だから、この店は居心地がいいのだ。手打ちパスタの多彩さも、ゲストを楽しませたいという想いに尽きる。彼には料理人という肩書きより、料理もうまいエンターテイナーという表現がよく似合う。
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クロノスドイツ版の人気連載「TEST」の翻訳記事。腕時計のデザイン、機能などをポイント性によって評価します!
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