常識破りの高級白シャツ / コニサーズ・チョイス

LIFEIN THE LIFE
2019.07.19

常識破りの高級白シャツ

高級イタリアンシャツの本格仕様を取り入れながら、驚異的なリーズナブル価格を実現するアルコディオ。その着心地のよさやデザイン性、クォリティはプライスをはるかに超える価値を秘めている。

押条良太(押条事務所):取材・文 Text by Ryota Osujo
吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie

RCODIO

ARCODIO(アルコディオ) 白シャツ
アルコディオのデザインやディテールはミラノの著名なファッションディレクター、ダニエレ・ザナルディ氏が監修している。シルエットは日本人の体型に合わせた程よい細身のシルエット。こちらは汎用性の高いセミワイドカラーが特徴の代表モデル「フィデリオ」だ。ちなみに、オフィスにアルコディオの白シャツを数枚置いておき、必要なときに着替え、汚れたら捨てる、という“置きシャツ”なる使い方をしているエグゼクティブも少なくないという。販売は自社ECサイトのみ。別途1500円で袖丈の修整にも対応してくれる。5500円。

  高価な白シャツを買ったものの、着ているうちに黄ばんでしまう……。とはいえ、お洒落にこだわりを持つ人間にとっては、デザイン性や質の低いものを着る気にはなれない。

 そんなジレンマを解消するのが、日本発の白シャツ専門ブランド、アルコディオだ。2018年に設立された新鋭ながら、すでに世のエグゼクティブの間で絶大な支持を獲得しているのだ。

 袖を通すと、後付け袖が生み出す快適な着心地に驚かされる。一般的なシャツは袖口から脇、身頃の裾までを一気に縫製するが、後付け袖の場合は身頃と袖を別々に縫製してから、それぞれを縫い合わせる。これはミラノシャツの伝統技法で、立体的に仕上がることでフィット感が高まり、腕を動かした際に生地がねじれにくくなる。

 さらにアームホールにはイタリアの高級シャツに見られるハンドステッチを採用。職人が適度なピッチで縫い合わせることで、腕回りが動かしやすくなり、かつ馴染みがよくなる。

 生地はオリジナルのブロード。高品質で知られる新疆綿のなかでも繊維長の長い140番手双糸の生地はしなやかで、上品な光沢を帯びている。

 シャツの顔というべき衿にもこだわりが。後部はマシンで、前部のロールは職人のハンドアイロン仕上げ。こうすることで衿が高級イタリアンシャツを思わせる優美なカーブを描くのだ。

 そして驚くなかれ、これほどのクォリティを実現しながら、なんと1枚5500円なのである。生産は日本の有力シャツ工場が経営しているフィリピンの工場が担当。かつ販売をECサイトのみに絞り、工場から直接カスタマーに届けることでコストを大幅に圧縮しているのだ。

 品質やデザイン性は高級シャツばりにもかかわらず、価格はまとめ買いできるほどリーズナブル。アルコディオの白シャツこそは、日本のビジネスパーソンたちが待ち望んでいたアイテムだ。

ボタンは白蝶貝。厚さ2mmが一般的だが、アルコディオでは質感の高い3mm厚を使用。

アームホールは職人が手作業で縫製するハンドステッチ仕上げ。

脇の下を見ると、袖と身頃のステッチが別々になっているのが分かる。これが後付け袖の証しである。