スウォッチ グループってなぜ時計業界で強いんですか?/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

2021.09.05

Q:スウォッチ グループはなぜ時計業界で強いの?

スイス最大の時計グループにしてコングロマリットのスウォッチ グループ。スウォッチ グループの強みは、部品の製造と組み立て会社を多く擁していることです。こういったグループ内のサプライヤーをうまく使うことにより、戦略的な価格で、高い品質の時計を量産できるほか、これら部品メーカーの部品を他社に供給することで、スイスの時計業界に対して、大きな影響力を持つようになりました。

広田雅将

2021年9月5日掲載記事

 

A:部品の製造と組み立て会社をグループ内に多く所有しているから

オメガやロンジン、ブレゲなどを擁するスウォッチ グループは、スイス最大の時計グループにしてコングロマリットです。もともとはオメガを主体とするグループと、ロンジンを主体とするグループが合体したもの。ニコラス・G・ハイエックの指揮下でリストラクチャリングに成功し、今や、数多くの時計メーカーを抱えるようになりました。現在、スウォッチグループに所属する時計メーカーは以下の通りです(太字は日本で展開しているブランド)。

ブレゲ
ハリー・ウィンストン
ブランパン
グラスヒュッテ・オリジナル
ジャケ・ドロー
・レオン・アト
オメガ
ロンジン
ラドー
・ユニオン グラスヒュッテ
ティソ
・バルマン
・サーチナ
ミドー
ハミルトン
カルバン・クライン
スウォッチ
フリック・フラック

スウォッチ グループの強みは、部品の製造と組み立て会社を多く擁していることです。その数は17社(電気関係の会社は除く)。その中には、エボーシュの供給会社として知られるETAや、世界最大級の脱進調速機メーカーであるニヴァロックス・ファー、文字盤メーカーのルバテル・エ・ワイエルマン、針メーカーのユニベルソ、ケースメーカーのシモン・エ・メンブレなどが含まれます。

スウォッチ グループは、こういったグループ内のサプライヤーをうまく使うことにより、戦略的な価格で、高い品質の時計を量産するようになったのです。好例は、ロンジン、ティソ、ハミルトンにラドーなどです。加えて、スウォッチ グループは、傘下にある部品メーカーの部品を他社に供給することで、スイスの時計業界に対して、大きな影響力を持つようになりました。

ニヴァロックス・ファー

スウォッチ グループ傘下のニヴァロックス・ファー社は、脱進調速機パーツの供給行う世界最大のメーカー。ETA2010、2020年問題を経て、多くの時計メーカーが自社製ムーブメントの開発を行うようになったが、いまだにヒゲゼンマイをはじめとする脱進調速機パーツに関してはニヴァロックス・ファー一強だ。


スウォッチ グループの寡占状態は続く

もっとも、スウォッチ グループの寡占的な立場に対して、他社は別の部品メーカーを買収したり、新たにメーカーを設立したりすることで対抗するようになりました。しかし、長年スイス時計業界を支えてきたスウォッチ グループの優位性は、当面揺るぎそうにありません。スイスの時計業界を影で支配するのが、スウォッチ グループの強みと言えるでしょう。


ニヴァロックス・ファー社によるヒゲゼンマイの供給削減が引き起こした時計業界の激震(前編)

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スウォッチ グループについて知ろう。グループ関係やブランドについて

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7月1日「ニコラス・G・ハイエック センター」が14年ぶりのリニューアルオープン

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