軍用ダイバーズウォッチから生まれた、パネライの注目モデル3本を紹介

FEATUREWatchTime
2023.02.16

イタリアで創業された時計ブランドであるパネライは、海軍の潜水士やプロフェッショナルダイバーのための腕時計を製作してきた歴史を持ち、現在もその影響を受けた腕時計を製造している。今回は、オリジナリティを保ちながら現代的にアップデートされている同社の現行モデルより、3つのモデルを紹介する。

パネライ

1860年に創業し、20世紀初頭からイタリア海軍用のダイバーズウォッチを開発したパネライ。今日もその影響を色濃く残した腕時計の製造を続けている。
Originally published on watchtime.com
Text by Jens Koch
2023年2月16日掲載記事


海軍向けのダイバーズウォッチで知られるパネライ

 創業当時は精密機器製造のメーカーであったパネライ。1930年代から60年代にかけて、特にイタリア海軍へ向けたダイバーズウォッチを開発していた。当時のパネライの時計は一般の消費者向けではなく、海軍の特殊潜水士のためだけに製作され、後には特別な流通経路を介した人のみが入手することができた。

 このような歴史的背景があるため、パネライは現在も機能的な特徴に裏付けられている。暗所での視認性、堅牢な設計、高い防水性能などがそうだ。これらを実現するパネライの時計は、離れて見てもパネライであると分かる独自性が特徴である。

初期の要素を色濃く残す「ラジオミール カリフォルニア – 47mm」

 直径47mmのクッション型ケース、溶接されたワイヤーラグ、円錐形のリュウズといった特徴を備えた腕時計。1936年にプロトタイプが作られ、後にラジオミールと呼ばれるこの時計は、1938年からイタリア海軍へ納入されていたものだ。同時期に製造されたもののなかには、ローマンインデックスを文字盤の上部(12時側)に、アラビア数字のインデックスを下部(6時側)に備える「カリフォルニア・ダイアル」を装備しているものもある。

 現行の「ラジオミール カリフォルニア – 47mm」は、このカリフォルニア・ダイアルを採用したモデルだ。自社製の手巻きキャリバーP.3000を搭載しており、ツインバレルを備えたムーブメントはトランスパレントバックから確認することができる。

ラジオミール カリフォルニア

ラジオミール カリフォルニア – 47mm
手巻き(Cal.P.3000)。21石。2万1600振動/時。SSケース(直径47mm)。パワーリザーブ約72時間。100m防水。116万7100円(税込み)。

ゴールドケースに複雑機構を搭載した「ルミノール ゴールドテック™ パーペチュアルカレンダー」

 ルミノールは、パネライが1950年代半ばに開発したリュウズプロテクターを特徴としたコレクションだ。特徴的な見た目のリュウウズプロテクターはブランドのシグネチャーとなり、その後ルミノールはゴールドケースの採用やコンプリケーションの追加など、さまざまなバリエーションが展開されていった。

 例えば「ルミノール ゴールドテック™ パーペチュアルカレンダー」のような、パーペチュアルカレンダー搭載モデルもそのひとつだ。文字盤にデイデイト、昼夜表示を伴う第2時間帯が配されている。独創的なダイアルは、搭載されているムーブメント、キャリバーP.4100の見どころでもある。日付ディスクは時計の内部構造に連動しており、スモークサファイアクリスタル製の文字盤から透けて見える。現在の日付は、3時位置の窓から確認することができる。

 月、年、閏年、パワーリザーブのインジケーターはケースバックに配されており、トランパレントバックから確認することができる。直径44mmのケースは、新しく開発されたゴールド合金「パネライ ゴールドテック™」製だ。銅を含む組成から赤みが強いが、金属の酸化を防ぐプラチナを含有しているため、輝きが長く続くのが特徴だ。

ルミノール ゴールドテック™ パーペチュアルカレンダー

ルミノール ゴールドテック™ パーペチュアルカレンダー
自動巻き(cal.P.4100)。55石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kパネライ ゴールドテック™(直径44mm)。50m防水。世界限定33本。限定品につき完売。

サステナビリティを重視した「サブマーシブル クアランタクアトロ eスティール™」

 パネライは、独自のリュウズプロテクターと直径60mmの大ぶりなケースを装備した「エジツィアーノ・グロッソ」を、1956年にエジプト海軍のために開発した。当時はまだ回転ベゼルが備えられていなかった特殊潜水士用の時計に、パネライはクォーターアワーの位置に大きなピン、そして5分の位置には小さなピンと、丸い蓄光性マーカーを備えた回転ベゼルを搭載した。

 このデザインを踏襲している「サブマーシブル クアランタ クアトロ eスティール™」は、着用しやすい直径44mmにケースをサイズダウンしている。モデル名にもあるeスティール™とは、従来のステンレススティールと合金化して作られている素材のこと。この時計の総重量の52%をリサイクル材が占めている。

 ベゼルに採用されているのは、傷に強いセラミックスだ。グレーのグラデーションが目を引くダイアルは、同色のテキスタイルストラップとの相性も良い。このストラップも、リサイクルPETを素材としている。搭載されているムーブメントは、約72時間のパワーリザーブを備えた自動巻きキャリバーP.900だ。

サブマーシブル クアランタクアトロ eスティール

サブマーシブル クアランタクアトロ eスティール™
自動巻き(Cal.P.900)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。eスティール™(直径44mm)。300m防水。143万3300円(税込み)。


Contact info: オフィチーネ パネライ Tel.0120-18-7110


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