オメガ「シーマスター ダイバー300M 007エディション」実機レビュー。「007」が愛したダイバーズはヴィンテージウエアと相性抜群!?

FEATUREインプレッション
2023.04.14

知る人ぞ知る古着の名店でさらに探求

 東京・代官山のボー・ジェストは、ドレススタイルを知り尽くした服飾達人が、企画から買い付け、接客までこなす、言わば古着界の独立系エタブリスール(?)だ。

 古着ショップというとアメカジ系の品揃えを思い起こす人も多いだろうが、こちらはどちらかというとヨーロピアンな手触り。筆者も時おり足を運ぶのだが、毎回「こんなのあるんだぁ」と感銘を受けることの多い名店なのだ。

 店主の瀬山さんに子細を説明し007シーマスターにマッチするウエアを伺ったところ、いろいろと見せてくれた。お客のニーズを読み取り巧みに提案してくれるところも、このショップを名店と呼びたい部分なのである。


建築家のレザーブルゾンで力強くもフレンチに

シーマスター ダイバー300M 007 エディション

厚手のレザーを用いた通称コルビュジェジャケットは、機能的なダブルブレステッドがポイント。1960-70年代製ということで、たっぷりしたフィットがヴィンテージらしさを物語る。なんにしてもボー・ジェストのアイテムは程度が良い! レザーブルゾン6万3800円(税込み)。(問)ボー・ジェスト Tel.03-3461-0431

 まずはタフで存在感も十分な機能系時計に合わせる意味で、厚革を用いたレザーブルゾンを紹介していただいた。

 こちらはマニアの間では「コルビュジェジャケット」と呼ばれる、いわゆるワーク系ウエアのひとつ。合理性を愛した伝説的建築家の愛用アイテムらしく、左右どちらでもボタン掛けができるダブルブレステッドかつ保温性を高めるウール裏地付きがポイント。

ちょっとヘビーなレザーアウターを野暮ったく見せない工夫として、シルクスカーフを巻くのは良い手段。鮮やかなイエローが目を引く。このスカーフもボー・ジェスト扱い。

 ダイバーズと革ジャンの合わせというと、ライダーズやフライト系アウターが一般的だが、あえてフレンチワークと言うのが実に小粋。瀬山さんは、さらにシルクスカーフの合わせも追加提案してくれた。


この時計の妙味を引きだす軍人風スタイル

シーマスター ダイバー300M 007 エディション

英国軍のグリーン ドリル ジャケットは、1960年代製。厚手コットンのドリル生地を採用する。アメリカ軍のアウターと違ってテーラードの国ゆえスマートに見える? ちなみに内側に合わせたインナーは旧ソ連軍のネルシャツ。キレイなデッドストックは意外に見つからないとか。ジャケット3万800円(税込み)。(問)ボー・ジェスト Tel.03-3461-0431

 お次に試したのが英国ミリタリーの一着であるグリーン ドリル ジャケット。アメリカ軍で言うところのM65に近い軽量アウターだ。エポレット付きではあるが、フロントポケットはマチ付きではなくスッキリしたルックス。

シーマスター ダイバー300M 007 エディション

内側のスペックタグには「ジャケット、オーバーオール、グリーン」の記載あり。そしてその下部には、時計の6時位置のものと同様、栄えあるブロードアローマークが。

 過剰にラギッドでないのが英国流か。内側を見るとスペック表示があり、007シーマスターと同じく英国官給品の証である「ブロードアロー」表示が見て取れる。

 ミリタリースタイルは男らしい半面、少しラフになりがちでもある。しかし腕元に本格時計を添えることで、単なる荒くれ者スタイルではない演出が可能なのだ。さらにダニエル・クレイグも愛用との説あるブルネロ クチネリのウールパンツなどを合わせたなら、より洒脱なルックとなるに違いない。


英国外套のアイコンであるステンカラーコートと合わせて

シーマスター ダイバー300M 007 エディション

トラッドな安定感を持つステンカラーコートだが、ともするとオジサンくさく見える場合も。アクティブな時計でメリハリを付けるのはひとつの方法だ。

 英国繋がりでもうひとつトライしたのがステンカラーコートとの合わせ。こちらは英国王室ご用達の実績を持つ老舗が手掛けた本格コート。

 アクアスキュータムは1851年にロンドンにて創業しており、バーバリーと合わせてトレンチコートの祖と言われる名門。瀬山さんが紹介してくれたのは1980-90年代製の一着であり、ギャバジン素材もポリ混紡ゆえに近代的な機能性を感じさせるもの。

シーマスター ダイバー300M 007 エディション

アクアスキュータムのハウスチェックを配した裏地もお馴染みの景色。しかもこの一着は本式のイングランド製だ。ブロードアローの時計と合わないワケがない。それにしてもボー・ジェストのアイテムは古着とは思えないクオリティ。注文するときは通らしく「バルマカーンコートある?」と尋ねて下さい。コート5万2800円(税込み)。(問)ボー・ジェスト Tel03-3461-0431。

 ただし、アングロマニアにうれしい英国メイドだ。実際に筆者も着用もしてみたが、灼けた感じのある夜光インデックスやベゼルの目盛りがベージュのコートに非常にマッチして見えた。

シーマスター ダイバー300M 007 エディション

 しかしこのルックス、ボンドというよりコロンボに近い。スティーブ・マックイーンの『ブリット』も同様だが、ステンカラーはやはり刑事のイメージなのか。

 ということで007モデルのシーマスターと数々のヴィンテージウエアを合わせてみたが、個人的には非常に満足の結果となった。

 筆者は日常において、その8割りくらいが古着ベースの着こなしを実践している者だが、そこに本当のヴィンテージウォッチを合わせてしまうと“ただの古い人”に見えてしまうことがある。しかしヴィンテージライクな現代ウォッチならば、服装にマッチしつつモダンな洒落感やキャッチーさを添えてくれるところにポイントがあると思った。

 古着でモテるのか? は筆者畢生のテーマであるが、今回はナニかそのヒントを掴んだ気がする。勝手ながら007作戦と命名したい。さすがにオコられるかもしれない。

 ウエアの問い合わせ先/ボー・ジェスト Tel.03-3461-0431 ※営業日程や入荷状況等の情報はインスタグラムにて(beau_geste_daikanyama)。



Contact info: オメガお客様センター Tel.03-5952-4400


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