SPEEDMASTER PROFESSIONAL [Ref.3570.50]
原型機の意匠を受け継ぐ現行ムーンウォッチ

40年以上も、ほぼ変更がないまま製造される、傑作中の傑作。筆者の私見をいうと、Cal.321よりもこのモデルが載せる861系のほうが完成度は高い。手巻き(Cal.1861)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径42mm)。50m防水。42万円。
1990年代にリリースされたスピードマスタープロフェッショナルは、今なおオリジナルの造形をよく残している。現行の3570.50は、月面に降り立った通称フォースモデル(テストを受けたのはST105.003だが、採用されたのはST105.012であった)の現代版。搭載ムーブメントは替わったものの、デザインは60年代とほぼ同じである。また耐衝撃性を与えるためにインナーケースでムーブメントを包み込む構造も、ファーストモデルから不変だ。進化がないとも言えるが、スピードマスターのH指した初期コンセプトがいかに非凡だったかという証しでもあ沿だろう。
もちろん細部に違いはある。まずはテンションリング。これはシーマスターの派生モデルであるという証しだったが、今や接着剤の進化により、省略しても同程度の防水性が確保できるようになった。搭載するムーブメントも17石から18石に改良され、ブレスレッドも時計の重みに相応しく、剛性感の高いものへと変更された(ただしネジ留めが標準となった最新型に比べると、このブレスレットの完成度は高くない)。スピードマスターという時計は、現在の基準からするとヘッドの重心は高いし、プレスレットの着け心地も思ったほど良好ではない。しかし視認性や操作性、そして耐衝撃性は、今なお現行のクロノグラフでは飛び抜けて優秀であり、完成度は突出している。
80年代初頭、オメガが生産する機械式時計は、スピードマスタープロフェッショナルのみであった。そしてこのモデルは、今なお生産が継続されている。確かにプライスは大輻に上がってしまったかもしれない。しかしこの傑作が、今なおカタログに残っていることを素直に言祝ぎたい

