パネライ/ラジオミール

FEATUREアイコニックピースの肖像
2019.02.14

RADIOMIR BLACK SEAL LOGO 3DAYS-45mm [PAM00754]
スモールセコンドを備えたオリジナルデザインの発展型

ラジオミール ブラックシール ロゴ スリーデイズ アッチャイオ-45mm

ラジオミール ブラックシール ロゴ スリーデイズ アッチャイオ-45mm
9時位置にスモールセコンドを加えたロゴ。基本スペックは、前ペジのPAM00753に同じ。内容を考えれば、価格は非常に戦略的だ。手巻き(Cal.6000)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約3日間。SS(直径45mm)。100m防水。47万円。

 1997年の復活以降、パネライが注力してきたのは、自社製ムーブメントの開発と、それ以上にケースの改良だった。パネライを復活させたフランコ・コローニとアンジェロ・ボナーティは、スイスでパネライのケースを製造できるメーカーを探し、やがてジュラのブリュリューに工房を置くドンツェ・ボームを見いだした。

 今でこそ、ドンツェ・ボームといえば、リシュモングループの傘下にある、スイス屈指のケースサプライヤーだ。しかし、90年代後半の同社は、冷間鍛造で中級品向けのケースを作る、凡庸な、よく言って手堅いサプライヤーのひとつでしかなかった。それから20年。パネライとのコラボレーションは、同社の質を劇的に改善し、それは毎年追加されるパネライの新製品に反映された。その好例が「ラジオミールブラックシールロゴスリーデイズアッチャイオ-45mm」である。本作も、前ペジのロゴに同じく、パネライのエントリーモデルだ。しかし、ケースの面からは、かつて見られた歪みがなくなり、エッジも明瞭になった。加えてリュウズのガタも抑えられ、高級機然とした仕上がりを持つようになったのである。正直、100万円の価格で、この仕上げを持つのは当たり前だ。しかし、PAM00754の価格は47万円に過ぎないのである。搭載ムーブメントを含めれば、現時点で、最もお買い得な実用機だ。

 かつてのパネライは、ユニークなムーブメントを与えることで、ラジオミールを高級機に仕立てようとした。その試みは悪くなかったが、残念ながら、外装の出来は良いとは言いがたかった。対して今のラジオミールは、明らかに高級機という打ち出しを、より立体的なケースを持つ「ラジオミール1940」に譲った。にもかかわらず、ドンツェとのコラボレーションは、高級機としての体裁をラジオミールにもたらしたのである。

ラジオミール ブラックシール ロゴ スリーデイズ アッチャイオ-45mm

(右)「ロゴ」を示すのが、6時位置のOPロゴ。黒地に白の印字を載せると、普通は鮮やかな発色を得にくい。しかしパネライは、印字を薄く載せているにもかかわらず、鮮やかな発色を得た。また、以前のものに比べて、印字はいっそう明瞭になった。地味だが、パネライの質感改善を示すポイントだ。(左)オリジナル同様のワイヤラグ。付け根にあるネジを緩めると、簡単にストラップの交換ができる。パネライは、99年のラジオミールから、この方式のワイヤラグを採用し続けている。容易にストラップを交換できるこのシステムは、パネライユーザーを広げる一因となった。

ラジオミール ブラックシール ロゴ スリーデイズ アッチャイオ-45mm

ケースサイド。形状・サイズともに、前ページのPAM00753に同じである。なお、特徴的なロゴを持つリュウズは、2004年からの採用だ。しかし、当時と比較して、最新版はいっそう彫りが深い。

ラジオミール ブラックシール ロゴ スリーデイズ アッチャイオ-45mm

(右)ルミノールとの違いを明確に示すのが、ストラップである。ややテーパーをかけることで、ドレッシーな印象を与える。対して、ルミノールはスポーツウォッチらしいストレート状だ。あえて抑えた防水性能と併せて、ラジオミールは一般向けを意識している。(左)裏蓋。前ページのPAM00753に同様の形状と仕上げを持つ。