ブレゲの独自合金「ブレゲゴールド」をあしらった限定モデル「トラディション 7035」が発表された。本作は、250本の世界限定モデルとなっている。
ブレゲが「トラディション 7035」を発表
ブレゲは創業250周年に合わせて独自の合金、「ブレゲゴールド」を発表した。クラシックコレクションの「スースクリプション 2025」にまず取り入れられたこのブレゲゴールドを採用した、250本の限定モデル「トラディション 7035」も今回、登場している。ブレゲゴールドの独特の暖かい色調は、ムーブメントの構造全体を強調し、ブルーの半透明グラン・フー エナメルで彩られたギヨシェ彫り文字盤に備わる時分針や、10時と11時の間に設けられたレトログラードセコンドを際立てている。

12時位置にオフセンターされたブルーの半透明グラン・フー エナメル文字盤には、手彫りギヨシェによる「ケ・ド・ロルロージュ」模様。ブレゲ数字、百合を象ったミニッツマーカー。先端に穴の開いたモチーフが付く18Kブレゲゴールド製ブレゲ針による時針と分針。バトン型のブルースティール針を配したレトログラードセコンドが特長。自動巻き(Cal.505SR)。38石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kブレゲゴールドケース(直径38mm、厚さ12.6mm)。3気圧防水。世界限定250本。702万9000円(税込)。
注目すべきは、他と差別化を成すグラン・フー エナメル文字盤だ。
際立った特徴は、美しいギヨシェ彫りダイアルに半透明のグラン・フー エナメルで彩られたブレゲ・ブルーだ。レトログラードセコンドのブルースティール針やネジにも同様に見られるブレゲ・ブルーは、ブレゲゴールドとの組み合わせにより、時計全体に壮麗なイメージとまたとない特別感をもたらしている。
地板やブリッジにも採用されたブレゲゴールドが特別感を増幅させる。
創業250周年を祝う「トラディション 7035」は、メゾンを語る 2 つのしるしであるブレゲゴールドとブレゲ・ブルーを採用した。ブレゲゴールドは、ゴールド、シルバー、コッパー、パラジウムを組み合わせたゴールド合金で、アニバーサリー・モデルの第一弾として発表された「クラシック スースクリプション 2025」にいち早く採用されている。「トラディション 7035」では、ケースのみならず、ショットブラスト仕上げの地板やショットブラスト仕上げとサテン仕上げを組み合わせたブリッジにもブレゲゴールドが用いられている。これは「トラディション」コレクションでは初の仕様となり、グレーの歯車やその他のパーツがブレゲゴールドの輝きをいっそう引き立てている。
加えて「トラディション 7035」の文字盤には、「ケ・ド・ロルロージュ」という新しいモチーフのギヨシェ彫りによる装飾が施されている。ギヨシェ彫りに関する最大規模の工房を構えるブレゲでは、入念に修復された年代物のギヨシェ彫り機により、クル・ド・パリのようなクラシカルなモチーフから、「ケ・ド・ロルロージュ」のような今までにない新しいタイプのモチーフまで、さまざまな模様を描き出すことができる。
「ケ・ド・ロルロージュ」のギヨシェ彫りでは、枝分かれして流れるセーヌ河を空から見下ろした様子が微細に表現されている。セーヌ河はまさに、アブラアン-ルイ・ブレゲがかつて工房を構えていたシテ島やサン-ルイ島を囲みながら、パリ中心部を流れている。
美観と機能性を両立するムーブメント
「トラディション 7035」の裏面も時計の表側と同様に魅力的だ。ショットブラスト仕上げの地板と、ショットブラスト仕上げとサテン仕上げによるブリッジの上には、縦にブラッシュ仕上げが施されたプラチナ製ローターが備わる。アブラアン-ルイ・ブレゲは 1780 年に「ペルペチュエル」と呼ばれる初の自動巻時計を発表した時に、自動巻時計の巻き上げ効率を最適化するために、ローターを考案した。現代では珍しい三日月型のローターは、巨匠ブレゲにとって初の発明品として知られている。
時計の精密な計時の中核をなす小さなコイル状のヒゲゼンマイはブルーに彩られ、外側の端が内側にカーブしているブレゲひげゼンマイの形を特徴としている。チタンを主成分とする非磁性合金のニヴァクロン™で作られたブレゲひげゼンマイは一連の250周年記念モデルが初めてで、これにより、ムーブメントは温度変化、磁場、衝撃に強くなっている。
なお、本作を購入すると、プレゼンテーションボックスが付属する。
アブラアン-ルイ・ブレゲの時代の技法に忠実な開閉式のボックスは、シンプルでエレガントなプッシュボタンを採用し、ヒンジにはブレゲゴールドの鍍金が施されている。内部はシルク混紡の洗練されたブルーのファブリックで覆われ、時計を垂直に収納することで空間を効果的に活かし、懐中時計の時代を想起させる。ボックスの裏側には、エスカッション(紋章によく見られる盾の一種)をかたどったブレゲ初の「ロゴ」があしらわれた。単なるウォッチボックスを超えたコレクターズアイテムであり、永遠の遺産と時代を超えて受け継がれる時計製作のノウハウを象徴している。
注目すべきディテール
2005年に誕生した「トラディション」コレクション
輪列やブリッジを露わにして、ムーブメントをミニチュアの傑作に仕立てた独特の建築構造を特徴とする「トラディション」コレクションは、アブラアン-ルイ・ブレゲが 1796 年に発表した「スースクリプション ウォッチ」と 1799 年に初めて販売した「モントレ・ア・タクト」の 2 つから想を得て、2005 年に誕生した。
技術革新はもとより、世の中の情勢にも絶えず注意を向けていたアブラアン-ルイ・ブレゲは、当時数が増え国際色も豊かになった顧客向けに、少量の時計をシリーズ生産することを考え、針が 1 本しかない実に簡素な時計「スースクリプション ウォッチ」の予約販売を開始した。顧客が広告パンフレットを参照して時計を選び、注文の際に価格の 4 分の 1 を前払いする仕組みもブレゲが考案したもので、時計界で前例のないものだった。
1799 年にブレゲは、「スースクリプション ウォッチ」を元に、ケースの外に設けられた針とマーカーに触れることで時刻がわかる「モントレ・ア・タクト」を導入した。さらに「スースクリプションウォッチ」で使用されたものと同じキャリバーを使用し、時には小さなダイアルも追加していた。