アイコニックな四角い形状を備えた「タグ・ホイヤー モナコ」。スプリットセコンドクロノグラフを備えた「タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ」に、自社開発した新素材であるTH-チタンを備えた新作が登場した。まるで迷彩のようなTH-チタンの模様が特徴的なモデルである。タグ・ホイヤーのアイデンティティと、新素材のケースを存分に堪能できる1本だ。

伝説のコレクション「モナコ」
タグ・ホイヤーは、素材革新となるこれまでにない形態のチタンを採用した「タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ」の新作を発表した。社内で一貫開発され、TH-チタンと名付けられた新形態のチタンは、独特な質感と唯一無二のビジュアルアイデンティティを特徴とする。

自動巻き(Cal. TH81-00)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約65時間。TH-チタンケース(縦41×横41mm、厚さ15.2mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
1969年の誕生以来、「モナコ」はタグ・ホイヤーのアイコンコレクションのひとつとして、腕時計製造における常識を根底から覆してきた。角型ケース、左側に配されたリュウズ、シグネチャーのブルーダイアルが特徴のモナコは、世界初の防水性能を備えた、自動巻き角形クロノグラフ腕時計として時計史におけるアイコンとしての地位を不動のものとした。
そのアヴァンギャルドな美学は、サミー・デイヴィスJr.、スタンリー・キューブリック、スティーブ・マックイーンなどの創造性に富み、先見の明のある人々に愛用された。

スプリットセコンド機構
タグ・ホイヤーにおけるスプリットセコンド クロノグラフの歴史は、1世紀以上も前にさかのぼる。1900年代初頭から、ブランドが発表したストップウォッチやダッシュボードタイマーといったさまざまな機器には、スプリットセコンド機構が搭載されていたのだ。
1916年に発表された、1/100秒単位でふたつの時間を個別に計測できる画期的なストップウォッチ、「マイクロスプリット」は大きな成功を収めた。20世紀初頭のオリンピック競技大会用ストップウォッチから、モータースポーツで使用されたダッシュボードタイマーに至るまで、高性能計時におけるタグ・ホイヤーの地位が確立されたのである。
1960年代には、F1チームのスクーデリア・フェラーリのタイムキーパーであったジャン・カンピチェが、1/10秒の精度でタイムを計測できるスプリットセコンド クロノグラフを搭載したRef.11.402を使用したことで、本作がタイム計測の伝説的なモデルとなった。
1989年に発表したクォーツ式ムーブメントを搭載したスプリットセコンド クロノグラフ腕時計は、アイルトン・セナ、ゲルハルト・ベルガー、ミハエル・シューマッハといったレーシングレジェンドたちの間で絶大な支持を得た。
2024年にタグ・ホイヤーはこの複雑機構を復活させ、タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフを発表し、タグ・ホイヤー モナココレクションをさらに充実させた。このように数十年にわたり、精度への飽くなき追求というメゾンの精神は継承され、スプリットセコンド機構を搭載した新たなタイムピースの開発が続けられている。
新開発のTH-チタン
新作タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフは、革新的なチタン素材、TH-チタンで削り出されたケースを採用。ラ・ショードフォンにあるタグ・ホイヤーの社内研究開発機関タグ・ホイヤー ラボが主導し、4年以上の歳月を要して独自の熱処理プロセスを開発し、独特の表情をもつ唯一無二の素材へと変容を遂げた。
異なる専門分野の科学者やエンジニアが結集し、最先端設備を備えた「タグ・ホイヤー ラボ」で独自の熱処理プロセスが開発された。
新たに開発した熱処理工程により、チタン合金の原子構造が再編成され、金属内部の潜在的構造が不規則な模様として表面に浮かび上がる。この模様は素材そのものによって生み出されるため、ひとつとして同じものが存在しない。

ケースの質感と模様を引き立てるために、ベゼルとダイアルにサファイアクリスタルを採用。この透明感の絶妙なバランスが、形状と機能を立体的に見せ、目で楽しめるという効果を生んでいる。
モーターレーシングとのつながり
サファイアクリスタルのダイアル上では、ブラックオパーリンのクロノグラフカウンターと、ライムグリーンのスプリットセコンド針とカウンター針がコントラストを生んでいる。モーターレーシング界でも頻繁に使用される色合いのライムグリーンカラーは、チタン製のスプリットセコンドプッシュボタンにも使用され、視認性が高められるとともに、モーターレーシングとの深いつながりを表現している。
ダークトーンのブリッジと、手作業でポリッシュ仕上げが施された面取りとの間の異なる輝きが、メカニズムを引き立てている。
チタン製のCal.TH81-00
タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフは、極限までの軽量化を追求し、ケースのみならず、ムーブメントにもチタンを採用した。ムーブメント単体でわずか30gという軽さを誇る。
ふたつの異なる時間を同時に計測できるスプリットセコンド機構は、極めて高度かつ精緻な複雑機構であり、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエと共同開発されたCal.TH81-00は、通常のクロノグラフをはるかに上回る精度と機能性を備える。

ケースバックは全面にサファイアクリスタルが使われており、Cal.TH81-00の全貌を堪能できる。タグ・ホイヤー シールドの形をしたローターが、ムーブメントの中で浮かんでいるかのような印象を与え、手作業で装飾されたチェッカーフラッグパターンの緻密なディテールが確認できる。
タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフは、チタン製バックルとテキスタイルパターンが施されたハンドステッチのブラックカーフストラップが組み合わされる。ストラップとバックルを含めてもトータルでわずか86gという、驚異的な軽量化を実現した。