ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングアトリエ「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」が手掛ける作品の第3段として、日本の武士道をテーマとした「タンブール ブシドウ・オートマタ」が発表された。ボタン操作で兜の装飾が動き、奥にのぞくジャンピングアワーと、刀によるレトログラードによって分を表示し、それらと同時に武士の目つきや表情が変化する点が見どころとなっている。
手巻き(Cal.LV 525)。50石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約100時間。18KPGケース(直径46.8mm、厚さ14.4mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
武士道をテーマとしたオートマタウォッチの新作
ルイ・ヴィトンは、ウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が手掛ける作品の第3段として「タンブール ブシドウ・オートマタ」を発表した。本作のテーマは日本、特に日本の精神性と深くつながる武士道である。文字盤には、面と兜を身に着けた武士が配され、その横には富士山の装飾と、刀のモチーフが配される。
これら以外にも武士文化を取り入れたモチーフとして、ケース側面は刀の鞘や鞘に用いられる金具の意匠、ストラップには甲冑に用いられた革を思わせる仕上げが盛り込まれている。
兜の装飾と面が動いて時刻が表示される
本作はオートマタ(からくり)機構を有しており、時刻表示はボタン操作によって行う。ボダンを操作すると兜の額部分に取り付けられた立物と呼ばれる装飾が横にずれ、その奥に隠されたジャンピングアワー表示が見える仕組みとなっている。分は、刀のモチーフによるレトログラード表示によって指し示される。

通常時は、右目は無表情で自信に満ちた様子であるが、オートマタの作動時には強い決意を秘めた厳しい目つきとなり、左目のモノグラム・フラワーはモノグラム・スターフラワーへと変形する。さらに、面の顎が下がって口が広がり、勇ましい表情を見せる点も見どころである。
職人たちの技術を駆使して表現された甲冑の質感
武士の兜は防具としての役割の他に、アイデンティティーを表現し、地位を象徴する存在でもあった。武士道の精神を本作に取り組む上で兜の表現が重要な意味を持つものであり、それを反映してさまざまな技術が駆使されている。
注目は、兜の黒の質感と金の煌びやかさのコントラストである。ローズゴールドの彫金によって兜を形作った後に、カラミン技法を用いて高温で焼成することで薄い炭化物層を形成している。これにより、金属の硬質な質感と焦げたようなマットな質感を兼ね備えた仕上がりとなっている。ここから、エッジ部分などを削り取って仕上げることでベースのゴールドが見え、輝きが加えられている。