2025年12月4日(木)、カサロエベ銀座がオープンした。日本最大となるこの店舗は、中央通りとみゆき通りが交差する、銀座でもっとも象徴的な場所に位置している。チョコレートやアイシングクッキーが並ぶ、世界初のギフトカウンターにも注目だ。

ロエベのフルラインナップが揃う圧巻の店内
アートコレクターの邸宅のような親密さと、洗練された店舗空間を組み合わせるカサロエベのデザインコンセプトに根ざしながら、この店舗はスペインの感性と日本のデザインの融合を示している。手仕事で制作された独特なマディグリーンのセラミックタイルは、釉薬の不規則な表情とわずかな窪みが色彩に変化を生み、光を反射する。この深みのあるマディグリーンは、かつて江戸前島の先端に広がる低湿地帯であった銀座の過去を呼び覚ます。
外装のセラミックタイルは内装へと繋がり、コンクリートの空間に色彩と輝きをもたらす。店内にはアンシェントグリーン、クリスタロ アイスバーグ、ピンタ ヴェルデ、サハラ ブラウンといった多様な大理石が点在する。真鍮の窓枠は、銀貨や金貨を盛んに製造する造幣拠点が置かれた、銀座のもうひとつの過去を伝える。

中央の階段はグリーンのセラミックタイルに囲まれ、手仕事で丁寧に仕立てられた木製の手すりとともに曲線を描き、4フロアを縦に繋いでいる。自然光が店内を満たし、石材、木材、セラミック、コンクリートが質感豊かに調和する様子をさらに引き立てる。
店内と調和する家具はジョージ・ナカシマのミラ チェアやクッション チェア、ヘリット・トーマス・リートフェルトのユトレヒト アームチェア、イサム・ノグチのAkari E ペンダントランプなど落ち着きと温かみのある作品で彩られている。

オープンに伴い、新作ハンモック「フリップ」の限定色、ライトゴーストも発売される。48万8400円(税込み)。
膨らみのあるレザーベンチや、ブラックの鉄製のマティーニ テーブル、焼木材のポディウムなどのロエベのシグネチャーデザインのほか、サステナビリティとイノベーションの探求から生まれたロエベ リクラフテッド コーヒーテーブルも新たに設置されている。
このテーブルは、ロエベのアトリエで発生した余剰レザーの95%を再利用して制作された一点物で、新たに命を吹き込まれた素材の美しさを称えている。足元にはスペインで織られた特注のカーペットが敷かれ、イギリスのテキスタイルデザイナーのジョン・アレンによる《Orkney Landscape Sunset》や《Autumn in Orkney》などの明るく抽象的なタペストリーを再解釈してロエベの世界観を堪能できる空間づくりの一翼になっている。
ミュージアムのような店内に数多くの美術品が飾られる

主なものには、ロエベがミラノサローネ2024で発表したふたつのランプがある。アンセア・ハミルトンの《Kimono Lamp》は漆塗りの木材と曇りガラスから作られた発光する衣服のような作品で、1階に展示。ケリス・ウィン・エヴァンスによる4階の天井から吊り下げられたネオン作品は、屋外からも窓越しに見ることができる。
そのほか、ルーシー・リー、エリオット・ホジキン、ヒルトン・ネル、オヴィデュ・マイテク、アルバート・ヨークらの作品も展示されている。日本人アーティストの作品も、店内の各所に配置。LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025 大賞受賞者の青木邦眞による歪像的な陶芸作品《Realm of Living Things 19》が2階の窓辺に置かれ、竹工芸家の松本破風によるレザー作品《Basket 6》は伝統技術と現代的な芸術性を融合。
また、浜名一憲による質感的なセラミックの壺は、金継ぎ師の黒田雪子とのコラボレーションによって制作されたもので、日本の修復技術の精神を体現している。
ギフトカウンターでスイーツを販売

そして世界初となるギフトカウンターには、スペインの伝統菓子であるパルメラやポルボロンをはじめ、チョコレートなどが並ぶ。オープンを記念し、日本のアイシングクッキー作家・Fioccoによる特製クッキーも期間限定で展開される。




