セイコーが展開するクレドール「ゴールドフェザー」の最新作として、ブルーグラデーションの伊万里鍋島焼文字盤が特徴の限定モデルが発表された。この文字盤にはゴールドフェザーの名から想起される羽根のモチーフが描かれ、5回の焼成によって深みや奥行きを感じさせる仕上がりとなっている。

「伊万里鍋島焼」を文字盤に用いたクレドール「ゴールドフェザー」の限定モデル
セイコーは、クレドールの薄型ドレスウォッチ「ゴールドフェザー」の新作として、伊万里鍋島焼製の文字盤を採用した限定モデルを発表した。江戸時代の鍋島焼は大名や将軍への献上品だけでなく、ヨーロッパの王侯貴族向け輸出品となっており、「白き黄金」と称されていた。このような歴史と技術を引き継ぐ現在の伊万里鍋島焼を用いた本作の文字盤には、コレクション名に通ずる羽根がモチーフとして取り入れられつつ、ホワイトとブルーの柔らかなグラデーション仕上げとなっている。

手巻き(Cal.6890)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約37時間。SSケース(直径37.1mm、厚さ8.3mm)。日常生活用防水。世界限定60本(うち国内50本)。198万円(税込み)。2026年2月6日(金)発売予定。
本作の伊万里鍋島焼製の文字盤は、佐賀県伊万里市の「秘窯の里」大川内山を拠点とする名門窯元「畑萬陶苑(はたまんとうえん)」との協働によって製作されている。磁器ならではの透明感のある白と、呉須(ごす)と呼ばれる下絵具が生み出す深い青のグラデーションが見どころだ。本作では、通常よりも多い5回もの焼成を繰り返して羽根のモチーフを描くことで、吸い込まれるかのような奥行き感を表現する。
また、文字盤はゴールドフェザーの特徴である優美なカーブを描いて、薄型でありながら立体感のある仕上がりだ。このシルエットを実現するため、本作では最終形状よりも大きく焼き上げた伊万里鍋島焼から削り出す製造工程が取られている。これにより、焼成時の反り返りを防ぐとともに、歪みを抑えた仕上がりとなっている。

時計仕上がり厚さ8.3mmという薄くエレガントなシルエットを実現するのが、搭載する厚さ1.98mmの手巻きムーブメントCal.6890である。Cal.6890が属する68系のムーブメントは、最高級ドレスウォッチのために、薄さや工芸的な審美性の高さを追求して開発されてきた歴史がある。
Cal.6890のように薄型のムーブメントは、わずかな誤差が精度や耐久性に大きく影響するため、高度な調整技術と経験が不可欠である。本作は、岩手県雫石町の「雫石高級時計工房」において、高度な技能を有する時計師が、ムーブメント組立、調整、ケーシングに至るまで一貫して担当し、製作されている。

名門窯元「畑萬陶苑」の歴史
江戸時代の伊万里で製造された焼き物は、民間の窯で焼かれていたものと、日本初の磁器製造の技術を門外不出とすべく鍋島藩直営の窯で製作されたものに大別される。現在では、前者は「伊万里焼(古伊万里)」、後者は「鍋島焼」と呼ばれる。鍋島焼は、民衆への販売は行われず、将軍家や大名家、朝廷へ献上と、欧州の王侯貴族向けの輸出を主な目的として製造されていた。そのため、極めて高い技術が藩直営の窯では醸成され、これが現在の伊万里鍋島焼へと繋がっている。
昭和元年に創業の畑萬陶苑は、伊万里鍋島焼の歴史と技術を背景に、伝統的な意匠と技術を継承する担い手として活動しつつ、素材、技法、美への飽くなき探究心のもと、新たなものづくりにも挑戦している。その姿勢は、クレドールのブランドフィロソフィーである「The Creativity of Artisans(匠たちの探求と豊かなる創造)」に通ずるものであり、今回の協働へと繋がっている。




