松山猛のバーゼル日記【3月21日】その2・ブルガリ

LIFE
2019.03.25

バーゼル日記3月21日その2・ブルガリ

 “ブルガリ”からは世界で最も薄いという、オクト・フィニッシモのクロノグラフモデルの発表があった。
 薄くありながらもエレガントさを追求し続けるオクト・フィニッシモの世界だが、クロノグラフを搭載しながら3.3mmという、時計史上最も薄いタイムピースを作り上げる、その技術力には脱帽するほかはない。
 しかもこの時計はそれに加えGMT機能も備えていて、海外へ旅行することの多い人にとってはありがたい機能を持つ時計として完成度を高めている。

 外装はフロステッド加工を施したチタンの、シックなグレー。そこに読み取りやすいブラックのインデックスがあしらわれ、いかにもスマートな印象を持つ。
 オクト フィニッシモ クロノグラフGMT オートマティックの自動巻き機構は、ムーブメントの外周を回転してメインスプリングを巻き上げる、ペリフェラルローターによってこの薄さを実現している。そして、この薄さでありながら約55時間のパワーリザーブを実現している。

 それにしてもこの薄い空間にコラムホイールや、水平クラッチを備え、クロノグラフのための歯車類をレイアウトするのには、相当な努力が必要だったろう。
 この時計によってブルガリは、5つ目の世界記録を打ち立てることができたそうだ。

 さらにもうひとつ、すべての要素をブラック仕上げにしたオクトフィニッシモ・オートマティックも素敵なオーラを放っていた。
 ケースやブレスレットのすべてのパーツを、セラミックスで作った時計というのも珍しく、多くの場合セラミック時計といっても、フォールディングバックルの嚙み合わせの部分などには通常は金属素材を用いるものだが、ブルガリはそれをよしとはせず、すべてをセラミックスというところにこだわった。

 マットな感じに仕上げられたブラックセラミックスの時計だが、時刻を読み取りやすくするために、インデックスや時分針の仕上げを光沢のあるものとし、オールブラックなのに時間が読み取りやすい不思議な時計となっていた。

 ブルガリを率いるジャン-クリストフ・ババン氏も、時計部門の責任者グイド・テレーニ氏も、デザイナーのファブリツィオ・ボナマッサ氏も、今年のコレクションの充実ぶりを誇らしく思っていることだろう。そしてさらなる時計の革新への熱意を高めているようだった。