国内外で高い人気を誇るオリエントの「オリエント マコ」に、2026年、シリーズ初となるGMTモデルが加わった。ダイバーズウォッチを思わせるタフな外装や20気圧防水、豊富なカラーバリエーションといった従来の魅力を受け継ぎながら、ふたつのタイムゾーンを表示するGMT機能を搭載した本作。旅時計として新たな可能性を手に入れた「オリエント マコ GMT」を深掘りする。
Text by Tsubasa Nojima
[2026年10月16日公開記事]
国内外で高い支持を得る「オリエント マコ」
オリエントが2026年新作として発表した「オリエント マコ GMT」。本作を理解するためには、まずベースとなった「オリエント マコ」について振り返っておきたい。
オリエント マコの初代モデルが登場したのは2004年のこと。ダイバーズウォッチを思わせるスポーティーなデザインと20気圧防水、自社製の機械式ムーブメントなどを備えながら、比較的手の届きやすい価格を実現したことで、国内外で支持を集めてきた。現在ではオリエントのスポーツコレクションを代表するシリーズのひとつとなっている。なお、ダイバーズウォッチらしい意匠や機能を備えているものの、ISO規格に準拠したダイバーズウォッチではない。
興味深いのがマコという名前の由来だ。もともとマコはブランドが正式に与えた名称ではなく、海外の愛好家から生まれた愛称だった。裏蓋に刻印されたイルカのマークをサメと見間違え、マオリ語でサメを意味する「Mako」と呼び始めたことがきっかけとされている。その呼び名が海外のユーザーを中心に定着し、現在ではオリエント自身も正式なシリーズ名として使用するまでになった。
近年は、そのバリエーションも急速に拡大している。スタンダードな機械式モデルに加え、ケース径39.9mmのコンパクトな「オリエント マコ 40」や光発電クォーツモデル、クォーツクロノグラフなどを展開。ダイアルカラーについても、定番色から鮮やかなシーズンカラーまで数多く用意されている。ひと口にマコと言っても、好みや用途に応じて選べるシリーズへと成長しているのだ。
そして今回、そのラインナップに新たなモデルが加わった。シリーズとして初めてGMT機能を搭載した、オリエント マコ GMTである。

通称「Kamasu(カマス)」の特徴を受け継ぐダイアル
オリエント マコ GMTのデザインは、海外で「Kamasu(カマス)」の愛称でも親しまれてきたバーインデックス仕様のマコに通じるものだ。ダイアルには幅広のバーインデックスを並べ、12時位置にはトライアングル型のインデックスを配置する。時針は力強いアロー型、分針は先端が分目盛りまで届く長いローザンジュ型だ。それぞれに発光力に優れるルミナスライトが塗布されており、暗所でも時刻を判読しやすい。3時位置には日付表示も備え、スポーツウォッチとしてだけではなく、普段使いの腕時計としての利便性も確保している。
さらに、GMTモデルとなったことで、ダイアル中央には24時間で1周するGMT針が追加された。外周を囲む回転ベゼルには24時間目盛りを配し、昼夜を判別しやすいようインサートをツートンカラーに色分けしている。逆回転防止式ベゼルはベースモデルの面影を残す120ノッチで、滑らかなクリック感にも配慮されたものだ。
カラーバリエーションの豊富さも、現在のマコらしいところだろう。レギュラーモデルにはブラック、グリーン、ネイビー、オレンジの4色を用意。ブラックやネイビーはビジネスシーンにも取り入れやすく、グリーンやオレンジはアウトドアや休日の装いで手元のアクセントになってくれる。さらに飛行機から見下ろした空をイメージしたブルーグラデーションダイアルも、世界限定4000本でラインナップされる。
ダイアルには光の角度によって表情を変える放射目仕上げが施されており、タフなスポーツウォッチでありながら金属的な華やかさも楽しめる。GMT針にはダイアルとのコントラストを意識したカラーが用いられ、情報量が増えながらも判読しやすくまとめられている。オレンジダイアルではGMT針を同系色とすることで、ただ色数を増やすのではなく、全体のまとまりにも配慮していることがうかがえる。

ブラックダイアルを採用したレギュラーモデル。サンバースト仕上げによる光沢がスポーティーな外観に上品さを添えている。GMT針と「GMT」の文字にはレッドを採用し、モノトーンのダイアルにアクセントを加えている。ビジネスシーンにも取り入れやすいカラーリングだ。自動巻き(Cal.F6P22)。22石。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.8mm、厚さ13.4mm)。20気圧防水。6万6000円(税込み)。

深みのあるグリーンダイアルを採用したモデル。24時間表示ベゼルにもグリーンを取り入れ、ブラックとのツートンカラーに仕上げている。レッドのGMT針が鮮やかなアクセントとなり、アウトドアや休日の装いにもよく似合う。自動巻き(Cal.F6P22)。22石。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.8mm、厚さ13.4mm)。20気圧防水。6万6000円(税込み)。
20気圧防水を誇るタフなケース
外装にはステンレススティールを採用。ケース径は42.8mm、厚さ13.4mmだ。数値だけを見れば比較的大ぶりだが、ケースの縦方向は49.5mmに抑えられており、細身のラグやシャープなリュウズガードも相まって、ダイバーズスタイルらしい存在感を持たせながらケースを引き締めている。
大きく張り出したリュウズは操作しやすい形状で、ねじ込み式だ。スクリューバックと組み合わせることで20気圧防水を実現している。風防には傷に強いサファイアクリスタルを採用し、JIS1種耐磁も備えるなど、日常生活からアウトドアまで気兼ねなく使えるスペックも魅力だ。
ケースバックには、マコを象徴するドルフィンマークを刻印。限定モデルには、これに加えてシリアルナンバーも刻まれる。ステンレススティール製ブレスレットの中留は、ダブルロックの三つ折り式。不意に中留が開くことを防ぎやすい、スポーツウォッチらしい仕様だ。
そして内部には、本作のために開発された自動巻きムーブメント、Cal.F6P22を搭載する。手巻きにも対応する両方向巻き上げ式を採用し、パワーリザーブは40時間以上だ。

ネイビーダイアルを採用したモデル。ブルーとブラックを組み合わせた24時間表示ベゼルが、ダイアルと調和した落ち着いた印象を生み出している。サンバースト仕上げによる華やかさも備え、ビジネスからカジュアルまで幅広いシーンで活躍してくれそうだ。自動巻き(Cal.F6P22)。22石。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.8mm、厚さ13.4mm)。20気圧防水。6万6000円(税込み)。

鮮やかなオレンジダイアルが目を引くモデル。ブラックとグレーの24時間表示ベゼルを組み合わせ、力強いコントラストを生み出している。GMT針にはダイアルと調和する同系色を採用し、個性的なカラーリングながらも全体のまとまりに配慮されている。自動巻き(Cal.F6P22)。22石。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.8mm、厚さ13.4mm)。20気圧防水。6万6000円(税込み)。

飛行機から見下ろした空をイメージした、世界限定4000本のブルーグラデーションモデル。ダイアル中央の鮮やかなブルーから外周のブラックへと変化する色彩が、上空から望む空の広がりを表現している。GMT針にもブルーを採用し、旅をテーマとする本作ならではの特別感を演出した。自動巻き(Cal.F6P22)。22石。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.8mm、厚さ13.4mm)。20気圧防水。世界限定4000本。7万400円(税込み)。
回転ベゼルで第2時間帯を設定するGMT機能
本作最大の特徴となるのが、シリーズ初採用のGMT機能だ。現在の機械式GMTウォッチには、ローカルタイムを示す通常の時針を1時間単位で単独修正できるものや、GMT針を単独で動かして第2時間帯を設定するものなど、いくつかの方式が存在する。しかし、オリエント マコ GMTはそのどちらとも少し異なる。
Cal.F6P22では、通常の12時間針と24時間表示のGMT針が常に連動して動き、GMT針だけを単独で修正する機構を持たない。これは1950年代に開発された最初期のGMTウォッチに見られた方式と同じであり、第2時間帯を設定する際には、24時間目盛りを備えた回転ベゼルを操作する必要がある。メジャーな例を挙げるなら、ロレックス“GMTマスターⅠ”と同じ方式だ。例えば日本と9時間の時差がある地域であれば、その時差に合わせてベゼルを回すことで、GMT針とベゼルの目盛りから第2時間帯を読み取ることができる。
時針やGMT針を独立して操作できる現代的なGMTムーブメントに比べれば、やや利便性に欠ける。しかし針を単独でジャンプさせる必要がないシンプルな機構であることに加え、時針単独修正可能なムーブメントとは異なり、通常の3針ムーブメントと同様に日付の早送り機能を使用できるというメリットもある。
そして何より、回転ベゼルを使って時差を設定するという操作そのものが、本作のキャラクターによく似合っている。ダイバーズスタイルのマコが従来から備えてきた回転ベゼルという意匠を、GMTモデルでは第2時間帯を表示するための機能へと転換しているからだ。マコらしい外観を構成してきたベゼルに、新しい役割を与えたのである。

トラベルウォッチの決定版となるか?
GMTウォッチが最も活躍する場面のひとつが旅行だ。自宅のある地域と旅先、ふたつの時刻を同時に把握できる機能は、タイムゾーンをまたいで移動するときに重宝する。しかし旅先で身に着ける腕時計には、普段とは少し異なる条件も求められるのではないだろうか。高価な時計であれば盗難が気になり、慣れない土地で傷を付けてしまうことにも神経を使う。水辺へ出掛けるのであれば、防水性能も欲しい。旅の道具として考えるほど、いかに気兼ねなく使えるかということが重要になってくる。
その点、本作は20気圧防水にサファイアクリスタル、ステンレススティール製の外装を備え、自動巻きムーブメントを搭載する。レギュラーモデルの価格は定価6万台だ。高級機のように扱いに際して過度に神経を使うことなく、海辺でも街中でも手首に着けたまま行動しやすいのは心強い。
マコは2004年の登場以来、手の届きやすい価格と高い実用性によって、世界各地のユーザーから支持されてきた。その背景を思えばこそ、色々な場所で着けて実用することが、本作にふさわしい扱い方なのではないだろうか。世界中で親しまれてきたマコは今年、GMT機能を手に入れることで、さらに活躍の場を広げたのだ。



