3気筒エンジンってしっかり走るんですね

LIFE編集部ブログ
2019.10.26

お気付きの方も多いかもしれませんが、webChronosでは昨年末あたりから自動車関係の記事を少しだけ掲載するようになりました。私の周りもそうなんですけど、時計好きには車好きが多いから、需要もあるのではないだろうかと思った次第です。

そんな“時計が好きな自動車愛好家”に向けて、今後増やしていきたいなと考えているのが『腕時計の評価軸で自動車を評論したらどうなるのか』というインプレッション記事。昨年の年末にアップロードしたこちらの記事なんかがそうです。

自分たちが時計媒体(=運転の素人)なのをいいことに、インプレッションをうたっていながら車の内外装ばかりをネチネチと解説し、走りに関しては一切触れないというなかなか珍しい自動車記事です。自動車評論ながら文章はまさに“ヒロタ節”炸裂で、読み応えが非常にあるのでまだ見ていないよ、という方は是非読んでみてください。

さて、自分たちが車のプロではないからとはいえ、全く車に乗らずに「あーだこーだ」言っているのかというとそうではありません。車の本質は走りのはずで、そもそもそこが悪かったら取り上げることはできませんし、本質を理解しないまま、インプレッション記事を作ることもできないからです。

ということで、運転する機会を得られればその都度乗せていただいております。そして大分前にはなりますが、さきほど紹介したDSオートモービルさんから新作の試乗会にご招待いただきました。

試乗したのは「DS 3 クロスバック」。全長4120mm×全幅1790×全高1550mmのBセグメントのSUVです。今一番ホットな市場ですね。日本でよく見るBセグメント車というとトヨタのアクアやホンダのフィットなどが挙げられますが、それらが5ナンバーサイズなのに対してこちらは全幅が1790mmもありますから、同じ車格と言われると少しピンとこないですね。

ただ、見切りがいいため、実際に運転した後にコンパクトボディーですと言われれば、「そうですね」と納得できます。それにこの全幅なら、都内にある機械式駐車場の大半には入れられる印象。実際このサイズがネックになることって少ないのかなと思います。

 さて、話は多少それますが、多くの車好きにとって“アシ”に最適な車と本当に自分が乗りたい車って別だと思うんです。でも、どうしても家族構成や駐車場事情、もちろん維持費の都合などで、なかなか2台持ちともいかない。

 そうなると、車好きなお父さんとしては「アシ」と「趣味性」を両立した車をなんとか探したくなるところ。便利ならなんだっていい訳じゃないと思うんです。

エンジンキーを持った人物が近づくと、自動でドアミラーの展開やドアの解錠などを行うプロキシミティスマートキーを搭載する。写真は同機能より、自動でドアハンドルがせり出す「リトラクタブルドアハンドル」。こういった手がふさがっている際に重宝される機能は、奥様の説得材料にもなるはず。

 要は何が言いたいかというと、東京に住む核家族が使用する車としてはすごくいいんじゃない? と。

 Bセグメントながら車幅はそこそこあるので、後部座席に子供を乗せて5人フル乗車も可能。駐車場に困ることもなく、そしてなにより税金が安い!なんたって1.2Lの3気筒ですから。“アシ車”としては文句なし、というよりアシなんて言ったら怒られてしまうくらいにしっかりとしたパッケージングです。

 じゃあ肝心の趣味性はどうなのよ、と思うかもしれませんが、そこはさすがDS。デザインは内外装ともに凝っています。エクステリアでは賛同を得られたことがないのですが、大きな目とグリルがなんとなく「アミ」っぽさを感じます。後者のパターンにはクル・ド・パリが使用されており、時計好きは思わずにやけてしまいそう。精悍な表情はいかにも現代SUVらしさが漂っていて、なかなか美形。

 インテリアもクル・ド・パリをふんだんに使用しています。デジタルメーター(下画像、左上)やインストゥルメントパネル(同、左下)、またセンターコンソール(同、右)などなど。

 そして最も大切な乗って楽しいか。正直「3気筒エンジンなんて走らないに決まってるだろ」くらいに舐めてかかっていました。でも、しっかり走るんです。ターボのおかげで日常使うエンジンの回転域では常にトルクフルで、信号が多い都心でのストップ&ゴーや坂道でもストレスを感じることはありませんでした。

 小排気量車にありがちな高速巡航時のエンジンノイズのうるささなんてものもなく。スペックを見たら乾燥重量1280kgと見た目の割に軽量で、その上馬力が130PS出ているとのこと。そりゃよく走る訳だ。

 足回りはかつて「魔法の絨毯」と呼ばれていたハイドロと比べると大分変わりましたが、個人的にはこっちの方が好み。ノーマルモードでも適度に路面情報は伝えてくれて、しかしドイツ車ほどカチッとしていない。少し意地悪でイタリア街の石畳の上を走ったところ、ちゃんといなしてくれるあたりはDSだな、と。すくなくともリアサスペンションがトーションビームとは思えないくらいに落ち着いていました。それにバネなら簡単に壊れないし。

「見てくれ良し」「かかあ受け良し」。おまけによく走ってくれて、税金も安い。国産Bセグメントと比べるとどうしても値段が張るけど、「価格相応の手の込んだ作り」が楽しめる。DS 3 クロスバックは、“違いの分かる大人”でありたいお父さんにとって、いい選択肢のひとつになるんじゃないでしょうか。