海外ジャーナリスト的「上半期に発表された時計」ベスト5 オーデマ ピゲ、ブライトリングなど/セルジュ・メイラード編

FEATURE本誌記事
2020.09.02

時計業界に限らず、世界がこれほど異常事態に見舞われた例を知らない。我々、時計業界に身を置く者としては、大規模な国際時計見本市が1月のドバイを除いてすべて中止となり、多くの新作に触れ、情報交換する〝場〟を失った。そんな2020年上半期発表の新作から、時計業界を代表するジャーナリストにベスト5を選出していただいた。同時に、岐路に立たされる大規模国際時計見本市に関するそれぞれの見解をうかがった。今回は時計専門誌『ヨーロッパスター』の発行人兼編集長、セルジュ・メイラード氏だ。
※本記事は2020年6月3日発売『クロノス日本版』89号を再編集して掲載しています。

セルジュ・メイラードが選ぶ上半期ベスト5

1位
オーデマ ピゲ「リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」

リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ

オーデマ ピゲ「リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」
自動巻き(Cal.4409)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KPG(直径40mm)。2気圧防水。世界限定500本(ブティック限定モデル)。555万円(税別)。

ヴィンテージウォッチへのトレンドが高まるにつれて、オーデマ ピゲはその膨大な遺産を利用して新しいインスピレーションを得ることができる。シャンパンカラーの文字盤を備えた美しい「リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」は、1943年の希少なクロノグラフ「No.1533」の後継者である。このモデルは元来、オーデマ ピゲの新しいミュージアムの開館を祝すために進められたヘリテージピースのリマスタリングプロジェクトで開発された。

2位
ブライトリング「クロノマット B01 42」

クロノマット B01 42

ブライトリング「クロノマット B01 42」
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径42mm、厚さ15.1mm。)20気圧防水。89万円(税別)。

ジョージ・カーンによる新たなリーダーシップの下、ブライトリングはここ数年、いくつかの独立系ブランドで成功を収めている「スポーティーでシックな」トレンドを追求している。その戦略の柱は、1980年代に登場したクロノマットのリニューアルだ。復活させたルーローブレスレットは、この新生クロノマットの基礎となる特徴である。

3位
ハミルトン「ハミルトン PSR」

ハミルトン PSR

ハミルトン「ハミルトン PSR」
クォーツ。SS+イエローゴールドPVD(縦34.7mm、横40.8mm)。10気圧防水。12万円(税別)。世界限定1970本。限定BOX付き。

スマートウォッチとそのデジタル画面の新たな成功により、1970年に誕生したそれまでになかった最初のデジタルウォッチであるハミルトン パルサーをリローンチする時が来た! 新しいデザインは元の時計に非常に忠実だが、より進化したテクノロジーによって、「ハミルトン PSR」のディスプレイ表示もバッテリー寿命も改善され、現代に適応している。

4位
IWC「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42」

ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42

IWC「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42」
自動巻き(Cal.82650)。46石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KRG(直径42.4mm 、厚さ13.8mm)。3気圧防水。342万円(税別)。

IWCは今年、同社を代表する有名なコレクション「ポルトギーゼ」の拡充に焦点を当てている。無駄を削ぎ落とすことで、エレガンスにおいて新たな頂に到達した。ここで取り上げた「ポルトギーゼ・パーペチュアルカレンダー 42」は、1980年代にクルト・クラウスが開発したIWC独自の永久カレンダーモジュールと、自社開発のキャリバー82000系ムーブメントを組み合わせたモデルである。

5位
デルマ「オーシャンマスター アンタークティカ」

オーシャンマスター アンタークティカ

デルマ「オーシャンマスター アンタークティカ」
自動巻き(Cal.ETA2824-2)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS(直径44mm、厚さ13.8mm)。500m防水。世界限定200本。1390ユーロ。

南極大陸が6番目の大陸として発見されてから200周年を迎えた2020年、多くの時計メーカーにとって、南極は取り組むべきテーマとなっている。デルマは、氷に囲まれた海を連想させる美しいディープブルーの文字盤を備えた「オーシャンマスター アンタークティカ」を限定モデルとして発表した。収益の一部は環境保全活動に使われる。