ロンジンのフラッグシップ「ロンジン マスターコレクション」に加わった蒼きエレガンス

FEATURE本誌記事
2021.12.18

スウォッチ グループ傘下のブランドは、いずれもが競争力の高いプロダクトを擁する。そして計18ブランド中、特にその傾向が強いのがロンジンだ。そんな同社の魅力を、美しいブルー文字盤を持つ2本のモデルから読み解く。

ロンジン マスターコレクション

(左)ロンジン マスターコレクション L2.909.4.92.6
美しいブルーのサテン文字盤をより堪能できる3針モデル。6時位置のムーンフェイズ外周に指針式のカレンダーを置くことで、文字盤デザインをシンプルにまとめた。ブレスレットの出来も秀逸だ。自動巻き(Cal.L899.2)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS(直径40mm、厚さ11.1mm)。3気圧防水。30万6900円(税込み)。
(右)ロンジン マスターコレクション L2.673.4.92.0
ディスク表示による月と曜日、ポインターデイトを組み合わせたカレンダー表示にムーンフェイズとクロノグラフを併載。9時位置のインダイアルにはスモールセコンドと24時間計が備わる。自動巻き(Cal.L687.2)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約66時間。SS(直径40mm、厚さ14.30mm)。3気圧防水。41万9100円(税込み)。
井置修:写真 Photographs by Osamu Ioki
細田雄人(本誌):文 Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年1月号掲載記事]


完成度の高いミドルレンジウォッチ「ロンジン マスターコレクション」

ロンジン マスターコレクション

直径30mmのムーブメントを直径40mmケースに収めた「ロンジン マスターコレクション」のクロノグラフ。そのサイズ感は絶妙で、3つのインダイアルは理想的な位置に配されている。さらにポインターデイトによる文字盤外周の日付表示や、より外に描かれた分と秒のスケールによって、文字盤の凝縮感を見事に表現した。また、見逃せないのが各種針である。特にリーフ型の時分針やクロノグラフ秒針は、プレス加工ながらほどよく立体感を伴っている。ディテール含め、ロンジンのフラッグシップコレクションを名乗るにふさわしい仕上がりだ。

 時計ブランドやエボーシュメーカーのみならず、文字盤や針、ケースに脱進調速機など、数多くの時計パーツの製造および組み立て会社を擁するスウォッチ グループ。傘下の、特にミドルレンジを手掛けるブランドのプロダクトがどれも驚くほどに高い競争力を持っているのは、グループ内で時計製造に関わるパーツを安定的かつ安価に賄えるためだ。

 そして同グループのミドルレンジブランドでも、殊更その恩恵をプロダクトに反映しているのがロンジンである。「ロンジン マスターコレクション」を手に取れば、それがよく分かるはずだ。

 ひとつはムーブメント。搭載されるのは3針モデル、クロノグラフ共に、同じグループに属するETA製ながら、ロンジン専用のエクスクルーシブキャリバーとして差別化が図られたものだ。具体的にはベースにETAで最上位の「クロノメーター」グレードを使用し、そこにペルラージュやコート・ド・ジュネーブの仕上げを追加している。クロノグラフに至っては、機構を制御するカムをコラムホイールに変更するほどの入念さである。

 外装もこの価格帯では白眉の出来だ。ケースサイドだけでなく、ベゼルも含めて面は均一で、歪みなく磨かれている。そしてブルー文字盤の美しさ。文字盤にあらかじめ彫られた繊細なヘアラインを潰さないようにブルーとクリア、2種類のラッカーを塗布することで放射線状に広がるサンレイ模様を得ている。通常、ラッカーは厚く塗るとのっぺりしてしまうため、美しいサンレイを出すのは難しい。さすがフラッグシップコレクションといった仕上がりだ。ムーブメント、外装共にこれだけの質を持ったミドルレンジウォッチは、なかなか見つけられない。

Contact info: ロンジン Tel.03-6254-7350


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