セイコー「プロスペックス SBDC101」をレビュー。ファーストダイバーはいかにして現代に甦った?

FEATUREインプレッション
2023.04.09

セイコーは1965年に国産初の本格ダイバーズである通称ファーストダイバーの発表から、ダイバーズウォッチ製造を牽引してきたブランドだ。現在、そのレガシーを色濃く受け継ぐのがスポーツウォッチラインの「セイコー プロスペックス」であり、プロ向けからタウンユースのスポーツウォッチまで、幅広いモデルをラインナップしている。今回はそんなプロスペックスの中でも、ファーストダイバーを現代的にブラッシュアップした「SBDC101」をレビューする。

阿形美子:文・写真 Text & Photographs by Yoshiko Agata
2023年4月9日掲載記事

プロスペックス SBDC101

1965年の“ファーストダイバー”の現代版「SBDC101」。オリジナルのディテールをほぼ踏襲しながら、現代に日常使いしやすいケース径に仕立て、ロングパワーリザーブの新ムーブメントを搭載するなど、外装も中身もブラッシュアップさせた。


セイコー ダイバーの歴史を受け継ぐデイリーウォッチ

 セイコーのダイバーズウオッチの歴史は、1965年に国産初の本格メカニカルダイバーズを発表したことから始まる。以来、世界中のプロダイバーや冒険家から支持され、また、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)におけるダイバーズウォッチ規格の制定に大きく貢献するなど、ダイバーズウォッチの進化に寄与し続けてきた。

セイコー ファーストダイバー

1965年に誕生したセイコーの“ファーストダイバー”。日本初の150m防水を実現した自動巻きの機械式腕時計。そのタフな性能から、翌1966年には第8次の南極越冬隊にも採用された。

 本作「SBDC101」は、その進化の原点であるファーストダイバーを現代的にアレンジしたモデルだ。上掲が、そのファーストダイバー。

 その現代版である「SBDC101」では文字盤のデザインからケース、ラグの形状に至るまで、ほぼオリジナルモデルを再現している。デザイン上の相違点は、針の形状とベゼルの起点の逆三角形マークが変更されたくらいか。針の形状は単純なバトンから、先端を尖らせ、磨き分けることで視認性と高級感を高めている。

プロスペックス SBDC101

セイコー「プロスペックス SBDC101」
自動巻き(CAl.6R35)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径40.5mm、厚さ13.2mm)。200m防水。15万9500円(税込み)。

 そしてケースサイズは、同ブランドの中ではコンパクトな40.5mm径に収めた。ケース厚は13.2mm。200m潜水用防水というスペックを鑑みると、厚すぎるということはない。

 ケースとブレスレットは全体的にサテン仕上げで、ケース上面のエッジのみポリッシュをかけている。ものすごく磨き込んでいるわけではないが、控えめな輝きで、タフな時計のキャラクターに合っている。使い込んでキズが入っても、むしろ渋みが増しそうだ。その意味で、ガシ使いしても安心なモデルと言えるだろう。


ヘッドと好バランスの肉厚ブレスレット

 短めのラグにより、腕周15cmの筆者の腕にも難なく載った。200m潜水用防水ということもありヘッドは軽くはないが、ブレスレットも肉厚なため、バランスは悪くはない。

プロスペックス SBDC101 ケース

短めのラグで腕載りは良好。上面のエッジにポリッシュを施すことで、メリハリのある印象に。

 これは個人の好みにもよるとは思うが、重量がある分、ブレスレットに余りがあると振られる。なので、できるだけジャストサイズに調整すると良い装着感が得られるように思った。

 ブレスレットはピン式なので、クロノス日本版編集部の土井くんに5コマ抜いてもらって調整。それでもまだ調整コマがあるので、細腕でも問題なく着けられる仕様となっている。

 フィッティングにおいて重宝したのが、バックルのアジャスターだ。片開きのバックルに4段階の微調節があり、これはバネ棒によるものなので、手軽に調整ができる。

プロスペックス SBDC101 バックル

肉厚のブレスレットとバックルにより、ヘッドとのバランスも悪くない。バックルの微調整機能は3mmほどの間隔だが、時計が重い分、この調整によって装着感が大きく変わるように感じた。

 本来はダイバーのための調節機能だが、腕周りは体調(むくみ)などによって意外と変わるので、デイリーの着用にも役に立つのだ。ただ、バックルが厚めのため、デスクワーク時にやや気になる人もいるかも知れない。