モリッツ・グロスマン オーセンティックを貫くジャパンリミテッドの系譜(前編)

FEATURE本誌記事
2023.06.29

Photographs by Takeshi Hoshi(estrellas : Watches), Yu Mitamura(Coverage Photos)
Edited & Text by Hiroyuki Suzuki
[クロノス日本版 2023年7月号掲載記事]


スモールメゾンの強みが生きるローカルリミテッドの可能性

 ドイツ国鉄のグラスヒュッテ駅から、線路に沿って流れる小川を挟んだ急斜面の中腹に建つ新生モリッツ・グロスマンの本社社屋。ウローファの工房跡地であったここには、ムーブメント製造のほぼすべてを賄えるだけの近代的な工房設備が調えられ、卓抜した技能を持つ職人たちによって、ハンドメイドのドイツ高級時計が生み出されてきた。目標として掲げる年産数は最大で1000本。しかしモリッツ・グロスマンが日本上陸を果たした2015年当時のキャパシティは年産約200本程度で、最盛期には約400本にまで数を増やしたものの、コロナ禍の影響やウクライナ侵攻に伴うインフラの高騰などを受け、2022年には約300本にまでシュリンクしてしまった。今やモリッツ・グロスマンは、望んでもすぐには入手できないブランドのひとつとなってしまった。

 カタログモデルのラインナップに対する年産数のバランスから考えれば、モリッツ・グロスマンの時計作りは、多品種極少生産型と言えるだろう。こうしたスモールメゾンならではの特性は、ローカルマーケットの嗜好に合わせたリミテッドエディションを作りやすい。ドバイなどの中東市場向けに作られたモデルを見ると、例えば砂漠をイメージしたモデルのような「これもモリッツ・グロスマンなのか?」と思わせるような作品も見出せる。これを逆から言えば、日本市場におけるモリッツ・グロスマンのキャラクター性は、一貫してオーセンティックな印象が貫かれてきたということになる。こうしたイメージを強く牽引してきたのが、2015年からスタートした「ジャパンリミテッド」の存在だ。ブランドロゴから挿し色の赤を廃するところから始まり、スモールセコンド針の追加などを経て、ついには「ベヌー 37」や「コーナーストーン」といったワールドワイドモデルへと結実していった。日本におけるモリッツ・グロスマンらしさの象徴となったジャパンリミテッドやリテイラーリミテッド。その全貌を見てゆこう。


[2015. 11]ベヌー ジャパンリミテッド

ベヌー ジャパンリミテッド

ベヌー ジャパンリミテッド
手巻き(Cal.100.0)。17石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KWGケース(直径41mm、厚さ11.1mm)。3気圧防水。限定数15本。当時価格300万円(税抜き)。

 日本法人が設立された2014年6月の時点では、Cal.100.0を搭載する「ベヌー」と、Cal.100.1搭載の「アトゥム」(現インデックス)がモリッツ・グロスマンの主力ラインだった。そのうち2010年初出のベヌー(世界限定100本)はすでに生産が終了しており、本国に残っていたストックはすべて日本にデリバリーされたが、それも早々に完売。日本側はベヌーの追加生産をリクエストしたのだが、それはある理由で叶わなかった。

ベヌー ジャパンリミテッド

 実のところ、生産コストとの兼ね合いもあって、ファーストロット100本と同価格では追加生産ができなかったのだ。そこでブランドロゴにあった赤い挿し色を廃した“ジャパンリミテッド”を企画。18KWGケース、18KRGケース共に通常モデルよりも10万円アップの価格設定とすることで、各15本ずつが追加生産された。以降この単色ロゴは、すべてのジャパンリミテッドに踏襲されてゆく。

ベヌー ジャパンリミテッド

ケースバックに刻まれた「LIMITED 15」の刻印。当時アラビックインデックスのダイアルを持つ、いわゆる“ベヌー顔”はCal.100.0搭載の第1世代機しかなく、日本限定の特別仕様を新たに設定し直すことで、30本の追加生産が可能となった。
ベヌー ジャパンリミテッド

通常モデルに採用されていた赤い挿し色を廃した、ジャパンリミテッド用の単色ロゴ。販売価格アップを含んだ追加生産を可能とするために用意された“苦肉の策”ではあったのだが、結果的によりオーセンティックな雰囲気が強調されている。


[2016. 03]テフヌート ジャパンリミテッド

テフヌート ジャパンリミテッド

テフヌート ジャパンリミテッド
手巻き(Cal.102.0)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(直径36mm、厚さ8.32mm)。3気圧防水。限定数15本。当時価格280万円(税抜き)。

 モリッツ・グロスマン初の小径薄型モデルとして2015年に発表された「テフヌート」。オリジナルは36mmと39mmの2種で、いずれも2針のドレスウォッチとして企画されたが、それを3針の薄型モデルに仕立て直したものが、翌16年に登場した「テフヌート ジャパンリミテッド」だ。36mm用のケースをそのまま用いつつ、4番車(ベースムーブメントのCal.102.0は2番カナを加えた特殊な輪列を持つため、実際には6番車)にスモールセコンド針を追加。

テフヌート ジャパンリミテッド

 新規設計されたダイアルには、ベヌー用のアラビック書体と雰囲気を合わせた新デザインのローマンインデックスが配された。写真の18KRGケースの他、18KWGケース(当時価格290万円:税抜き)もあり、合計30本を生産。なお16年の後半からは、同仕様のダイアルをアラビックインデックスに改めた「テフヌート36」が、ワールドワイドモデルに加わった。

テフヌート ジャパンリミテッド

3針仕様として新規製作されたダイアル。スモールセコンド針の取り付け位置はかなり低く、その分ダイアルを深く彫り込んでいる。新規デザインのローマンインデックスは、セリフ(ヒゲ)の入れ方などにベヌー書体との共通点が見られる。
テフヌート ジャパンリミテッド

当時モリッツ・グロスマンに在籍していたノルウィート・ウィンデッカー設計のCal.102.0。直線的な意匠の3/5プレートから輪列がはみ出さないように、センターには“ 2番カナ”を配置。そのため実際に秒針が付くのは6番車となっている。


[2016. 11]ベヌー・ピュア ジャパンリミテッド

ベヌー・ピュア ジャパンリミテッド

ベヌー・ピュア ジャパンリミテッド
手巻き(Cal.201.0)。20石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径41mm、厚さ11.35mm)。3気圧防水。限定数20本。当時価格180万円(税抜き)。

 創業当時から変わらず、年産数の上限を約1000本と規定しているモリッツ・グロスマン。しかしそれは目標値に過ぎず、2015年当時の年産数は200本程度に留まっていた。そのため機械的に完璧な時計でありながら、よりスタンダードな仕上げを前提に開発されたのがCal.201.0を搭載する「アトゥム・ピュア」(2016年)だった。平ヒゲ仕様の同ムーブメントには、新型の可動ヒゲ持ちを導入。極低圧サンドブラストによる地板や受けの仕上げは、19世紀のグラスヒュッテスタンダードを思わせるものになった。

ベヌー・ピュア ジャパンリミテッド

 同年11月に登場した日本限定の「ベヌー・ピュア」は、初代の意匠を復刻しつつ、同社初のブラックダイアルを導入。このミリタリー調のルックスは、ムーブメントの仕上げから着想を得た“オールドロンジンのオマージュ”だという。ダイアル素材も通常のピュアと異なり、真鍮から純銀となっている。

ベヌー・ピュア ジャパンリミテッド

通常モデルでは“ピュアシリーズ”(現在はすべて廃番)にのみ採用されてきたSSケース。ベヌー・ピュアではケース側面をポリッシュ、ラグの上面とベゼルをサテン仕上げとしている。時分針は貴金属モデルと同様のハイセラム針を採用。
ベヌー・ピュア ジャパンリミテッド

50ミクロンのガラスパールを極低圧で吹き付けるブラスト仕上げが特徴の“ピュアムーブメント”。しかしベヌー・ピュアでは、角穴車の装飾を“ゾネンシュリフ”、丸穴車をブラックポリッシュとする上位機種と同様の仕上げも加えられた。


[2017. 05]アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド

アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド
アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド
アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド[クリームエナメル]
手巻き(Cal.100.1)。20石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KRGケース(直径41mm、厚さ11.35mm)。3気圧防水。限定数7本。当時価格410万円(税抜き)。

 2017年3月に世界限定として発表された「アトゥム・エナメル」。名窯ドンツェ・カドランの手による純白のグランフーを奢ったこのモデルは、アトゥム由来のランセット針をそのままに、インデックスが正統派のローマン書体とされていた。ここから分針のカウンターウェイトを廃し(客注による例外も複数本あり)、特別色を別注したものが、同年5月発表の「アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド」だ。

アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド

ほぼ同時期に製作されたと思われる3種のドンツェ・カドラン製エナメルダイアルのうち、最も深い色調を持つ「クリームエナメル」。本来はアイボリーのオーダーに対して焼かれた試作品の1枚だったが、こちらも製品版として採用された。
アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド

手彫りのエングレービングで花模様を施した段差式のテンプ受け。基部には19世紀のモリッツ・グロスマンがロンドンで考案したとされる緩急微調整装置が見られる。日本限定仕様のアトゥム・エナメルには、青染めのヒゲゼンマイを搭載。

 18KWGケース用はアイボリーエナメル、18KRGケース用はさらに色調の深いクリームエナメルで、イメージソースとなったのはパテック フィリップのRef.2526、通称トロピカルだろう。おそらく10枚程度の極少ロットでの試作を経て、そのうち各7枚が製品版となった。前例のない色味だけに、ダイアルの平滑さに関しては世界限定版のホワイトエナメルに及ばないが、独特な柚肌感がかえって雰囲気を盛り上げる。

アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド

アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド[アイボリーエナメル]
手巻き(Cal.100.1)。20石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KWGケース(直径41mm、厚さ11.35mm)。3気圧防水。限定数7本。当時価格440万円(税抜き)
アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド

ホワイトとクリームの中間にあたる「アイボリーエナメル」。少し濁りのある乳白色といった印象で、こちらが本来のオーダーに近い。レイルウェイと組み合わされる秒目盛りは、世界限定版のアラビック入りから全バーに変更されている。
アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド

モリッツ・グロスマンらしさが凝縮された2/3プレート上のディテール。幅広の“バントシュリフ”(グラスヒュッテストライプ)や盛り上がったゴールドシャトン、独特なホワイトサファイアを使った受け石など、見所は数多い。

エナメルダイアルの製造工程

グランフー・エナメルの製造工程
グランフー・エナメルの製造工程

 名窯ドンツェ・カドランによるグランフー・エナメルの製造工程。一連の写真は最も一般的なホワイトエナメルのものだが、特注色のクリームやアイボリーでも大きな差はない。ただし、同時に多くの枚数を焼くホワイトエナメルの場合は、巨大な乳鉢を使って釉薬の粒状性を整えるため、焼き上がりの表面も比較的平滑になりやすいようだ。もちろん焼く色に対する経験値の差、つまり釉薬そのものの特性に対する経験値の差も大きく影響してくるだろう。

グランフー・エナメルの製造工程

 ドンツェ・カドランでは古式ゆかしい銅板をダイアルエボーシュとして用いるため、高温焼成直後のダイアルは大きく波打っている。それを木炭で平滑に均す過程でも、ダイアル表面に独特な柚肌感が残る。ドンツェ・カドラン製のエナメルダイアルは、単色の場合には表面を研ぐことをしないので、高温焼成から冷却過程で生まれる質感が、そのまま表面に残ることになる。

グランフー・エナメルの製造工程
グランフー・エナメルの製造工程


日本市場からの提案で実現した2本のワールドワイドモデル

 新生モリッツ・グロスマンの個性を牽引した、初代主任設計者のイェンス・シュナイダー。氏の在職中、最後に手掛けたムーブメントが2代目テフヌート用のCal.102.1だった。初代Cal.102.0の繊細な造形美に対して、2代目の仕様はいかにも質実剛健。まさに“クライネ・グロスマン”とも呼ぶべき性格に仕上がっていた。2017年にCal.102.1が発表されるとすぐ、新たなジャパンリミテッドの企画が起ち上がる。それは実際に“小さなベヌー”と“小さなアトゥム”を製作してしまおうというものだった。

ベヌー 37

ベヌー 37[日本限定仕様]
手巻き(Cal.102.1)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(直径37mm、厚さ9.2mm)。3気圧防水。2018年4月~9月末までの限定受注生産。当時価格320万円(税抜き)。

ベヌー 37

2018年にワールドワイドモデルとして発表された、ブレゲ調のアラビックインデックスを持つ「ベヌー 37」(写真)と、2016年の「テフヌート ジャパンリミテッド」に似たローマンインデックスの「アトゥム 37」。時分針は前者がローザンジュ針、後者がランセット針だったが、日本からの発注分はいずれも、期間限定で写真のスケルトン針がオーダーできた。搭載されるCal.102.1は、薄型小径機ながら十分な堅牢さを確保。香箱の大径化、ガンギ車先端の形状変更、可動ヒゲ持ちの搭載など、全体的なブラッシュアップが図られている。

 このプランは開発中にワールドワイドモデルへと企画変更され、翌18年に「ベヌー 37」「アトゥム 37」として正式発表されるのだが、日本からの発注分のみ、期間限定で「テフヌート・スリーピングビューティー」用をアレンジした、スケルトン針(写真)がオーダー可能だった。2019年に発表された「コーナーストーン」も、企画の発端は日本市場からのリクエストだった。

コーナーストーン

コーナーストーン
手巻き(Cal.102.3)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KWGケース(縦46.6×横29.5mm、厚さ9.76mm)。3気圧防水。610万5000円(税込み)。

コーナーストーン

テフヌートに搭載されるCal.102系の輪列をベースに、角型ムーブメントとして再設計されたCal.102.3。香箱径が大幅に拡大されたことで、約60時間のロングパワーリザーブを実現。発表時は他のCal.102系と同じジュエルドバレルだったが、製品版ではすべて、動作の安定と内部の容積を重視したセンタースクリュー式に改められた。秒針位置を適正に配置するため、秒カナを用いたインダイレクト・スモールセコンドを採用。


[2020. 07]コーナーストーン ジャパンリミテッド

コーナーストーン ジャパンリミテッド

コーナーストーン ジャパンリミテッド
手巻き(Cal.102.3)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(縦46.6×横29.5mm、厚さ9.76mm)。3気圧防水。限定数3本(ブティック専売モデル)。当時価格330万円(税抜き)。

 日本からのリクエストによる“初の新規開発”となった角型ムーブメント搭載の「コーナーストーン」。企画自体は2016年末から始まり、約2年の開発期間を経て、19年3月のジャパンロードショーで初披露された。

コーナーストーン ジャパンリミテッド

 その日本由来のレクタンギュラーモデルをベースとしたジャパンリミテッドは翌20年7月に完成。限定数が3本と極端に少ないのは、オリジナルモデルの開発過程で試作されたスティールケースを用いたため。もちろん試作品が製品版に流用されることなど異例中の異例で、ジャパンスタッフ側も「ダメ元のオーダーだった」と語っている。ダイアルは同じくドンツェ・カドラン製のホワイトエナメルで、落ち着いた色味のブルーレターを採用。これに合わせてテンパー針の焼き色も、完全なブルースティールとされている。完成した3本は、すべてブティックのみで販売された。

コーナーストーン ジャパンリミテッド

2019年の初出時に同時発表された世界限定版(各25本)と同じ、ドンツェ・カドラン製のホワイトエナメル。ただしブラウンカラーだったインデックス類は、すべてブルーへと変更。これに合わせてテンパー針の焼き色もブルースティールに。
コーナーストーン ジャパンリミテッド

ブティックのみの専売品となった3本には、オプションとしてミラネーゼブレスレットが付属した。これはブティックスタッフが独自に調達したというフォルツハイム産の“社外品”。バックル側は、フィッティングのためのリンク構造を持つ。


[2021. 07]ベヌー 37 ジャパンリミテッド

ベヌー 37 ジャパンリミテッド

ベヌー 37 ジャパンリミテッド
手巻き(Cal.102.1)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径37mm、厚さ9.2mm)。3気圧防水。限定数各2本。当時価格260万円(税抜き)。

 モリッツ・グロスマン(グロスマン・ウーレン社)の創業12周年を記念する「Ⅻ バースデーエディション」(2020年/世界限定計12本)に採用されたシルバーフリクションダイアル。グラスヒュッテ近郊に住む老職人が手掛けるこのダイアルは、18〜19世紀のクロックなどに多く用いられていた、真鍮のベースに銀粉を擦り付ける「銀磨き」の手法で作られていた。

ベヌー 37 ジャパンリミテッド

 この風情に惚れ込んだジャパンスタッフは、すぐさまジャパンリミテッドの企画を打診。『REVOLUTION』誌や『THE RAKE』誌の創業者であるウェイ・コーが別注していた「ベヌー 37」のスティールケース(エナメルダイアルで8本製作)を7本分のみ確保し、それをマット仕上げに改めた。ジャパンリミテッドとして完成したのはその内の4本で、針は「パワーリザーブ・ヴィンテージ」などでお馴染みとなっていったヴィンテージ針が採用された。

ベヌー 37 ジャパンリミテッド

軽く荒らした真鍮製のベースに銀粒子を擦り込むことで作られるシルバーフリクション。手彫りされたインデックスや目盛りに黒の合成顔料を流し込んでおくことで、そこだけ顔料が銀粒子を弾く。表面の梨地は焼き付けの際に生じるもの。
ベヌー 37 ジャパンリミテッド

ダイアルに彫り込まれた“ヴィンテージロゴ”に合わせて、ムーブメントの受けに施されるモリッツ・グロスマンのネームも筆記体へと変更。この部分のエングレービングは手彫りで施されているため、仕様変更が可能だったようだ。


[2022. 02]セントラルセコンド ジャパンリミテッド

セントラルセコンド ジャパンリミテッド

セントラルセコンド ジャパンリミテッド
手巻き(Cal.100.11)。22石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径41mm、厚さ12.0mm)。3気圧防水。限定数3本(ブティック専売モデル)。当時価格350万円(税抜き)。

 古式ゆかしい出車式インダイレクトセンターセコンドのCal.100.11を搭載する「セントラルセコンド」(2021年初出)。これをベースとするジャパンリミテッドは翌22年2月に発表された。それまでセントラルセコンドは、色鮮やかなダイアルで展開される例が多かったが、本機では一転してマットブラック地にアラビックインデックスを採用。顔だけを見れば16年に発表された「ベヌー・ピュア」の兄弟機といった風情だが、本作ではスティールケース全体にブラッシュ仕上げを施すことで、よりシンプルなテイストを強調。

セントラルセコンド ジャパンリミテッド

 一方ムーブメントの仕上げは従来と同様(この時点でピュアは廃番)なので、ケースバック側の表情は一気に芳醇なものに。機構自体もかなり秀逸で、出車を適正位置に置くため3番車の位置を変更して同軸に配置。さらに秒カナ付け根には専用ローラーを配し、その溝に規制バネを沿わせている。

セントラルセコンド ジャパンリミテッド

モリッツ・グロスマンでは極めて珍しいマットブラックのダイアルに、ハイセラムを象嵌したスティール針の組み合わせ。余談だが近年のモリッツ・グロスマンでは、初期に使われていたステンレス鋼から、炭素鋼へと針の素材を変更している。
セントラルセコンド ジャパンリミテッド

「ベヌー37 ジャパンリミテッド」などと同様、全面にサテンブラッシュを施した“マット仕上げ”のケース。コロナ禍の影響で生産量が最も落ち込んだ22年発表とあって、たった3本しか製作されず、すべてブティックでの取り扱いになった。



[モリッツ・グロスマン ブティック]
東京都文京区小石川4-15-9 Tel.03-5615-8185
www.grossmann-uhren.com

[正規取扱店]
日本橋三越本店 Tel.03-3241-3311
伊勢丹新宿店 本館5階 Tel.03-3352-1111(大代表)
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