カルティエ 今によみがえるクラシックウォッチの規範

FEATURE本誌記事
2023.12.10

1917年に誕生し、カルティエのアイコンとなった「タンク」。その豊富な派生機は、21年の「タンク サントレ」に始まる。世界中のコレクターが探し求める伝説的なモデルが、プラチナケースをまとって忠実に復刻された。

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レ エディション ドゥ カルティエ「タンク サントレ」ウォッチ
2021年に「タンク サントレ」の18KYG製復刻モデルが発表され、瞬く間に完売したのは記憶に新しい。今回はプラチナケースとルビーのカボションを組み合わせた、特別な仕様で再登場した。コレクション初の派生モデルとして1921年に誕生した「タンク サントレ」は、大胆にカーブさせたレクタンギュラーケースを特徴とする。その優雅なケースフォルムは、現在も根強い人気を誇る89年の「タンク アメリカン」にも影響を与えた。薄型かつ湾曲したケースには、限られたサイズのムーブメントでなければ搭載することができない。本作では厚さわずか1.85mmのジャガー・ルクルト製機械式手巻きムーブメント、Cal.849をベースに採用している。手巻き(Cal.9780 MC)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約33時間。Ptケース(縦46×横23mm、厚さ6.03mm)。非防水。世界限定150本。584万7600円(税込み)。
Photographs by Eiichi Okuyama
Text by Tsubasa Nojima
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年1月号掲載記事]


レ エディション ドゥ カルティエ「タンク サントレ」ウォッチ

 2021年に始まった「レ エディション ドゥ カルティエ」は、カルティエの名作にスポットを当て、それを忠実に復刻するというコンセプトを持つ。

「タンク サントレ」は、1921年に誕生した「タンク」初の派生モデルだ。フランス語で湾曲を意味する〝サントレ〞の名の通り、縦方向に引き伸ばし、手首に沿うようにカーブさせたケースを特徴とする。初代モデルの「タンク ノルマル」からの大胆な変更には、同社が多様なコレクションを生み出すに至った原動力である、デザインへの貪欲さを感じさせる。

 タンク サントレは、誕生100周年を迎えた2021年にも、「レ エディションドゥ カルティエ」として18KYGケースモデルが発売されている。今作では、プラチナモデル誕生100周年を記念し、ケース素材にプラチナを採用した。

 仄かに温かみを感じるエッグシェルカラーダイアルには、12時側と6時側の2辺を湾曲させたレイルウェイミニッツトラックが配され、その周囲に並ぶ伸びやかなローマンインデックスとともに、特徴的なケースフォルムを強調する。

 ケースサイドに目を転じる。湾曲したケースは優れた装着感に寄与するが、その効果を増幅させるのが、約6㎜というケース厚だ。同社は極薄のジャガー・ルクルト製キャリバー849ベースのムーブメントを搭載し、この薄さを実現した。

 ケースに一体化したラグと、広いラグ幅を持つ「タンク」は、腕時計のデザイン文法確立に貢献した、初期の腕時計のひとつだ。しかしその姿は、1世紀を過ぎた現代であっても、古さを感じさせない。不変を基本としつつ、一部分ではアップデートを継続することで、アイコンは次代へと受け継がれていく。「タンク」は、クラシックウォッチの規範を示す存在だ。



Contact info: カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00


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