クラシックカーでユーラシア大陸を横断し、プラハから大阪万博を目指すラリー「ロボット エクスペディション」がスタートした。1950〜80年代のチェコ車を中心とした7台の名車が、13カ国・約1万6000キロメートルもの道のりに挑む。主催はチェコの時計ブランドロボット。創設者のヨゼフ・ザイーチェクは自身もステアリングを握り、伝説の旅に臨む。ラリーにあわせて、記念モデルの腕時計も発表された。
ユーラシア横断ラリー「ロボット エクスペディション」
チェコの首都プラハから2025年大阪万博のチェコパビリオンを目指し、クラシックカーでユーラシア大陸を横断する壮大なラリーが現在開催されている。その名も「ロボット エクスペディション」。ロボットとは、チェコの腕時計ブランドであり、創設者兼オーナーのヨゼフ・ザイーチェクがラリーチームを率いている。彼はこのラリーを以下のように語った。
「この旅は証明している。ヨーロッパの片隅にある小さなガレージからでも、力強い物語を携えて、世界の果てへと旅立つことができるということを。我々は、チェコとその人々が共有すべき価値ある何かを持っていると信じている。そしてこの旅が、単なるノスタルジーにとどまらず、志の力によって人々を鼓舞することを願っている」
チェコ大統領も見守る出発式
出発式は6月21日にプラハで行われ、チェコのペトル・パヴェル大統領も姿を見せた。7台のクラシックカーは、チェコパビリオンに大阪万博の「ナショナルデー」にあたる、7月24日に大阪へ到着する予定だ。このラリーは、1970年に4人の若者が徒歩とヒッチハイクでプラハから当時の大阪万博を目指した「サクラエクスペディション」へのオマージュでもある。
「このエクスペディションは、たとえ世界がどのような状況にあっても、私たちに地球はひとつしかないこと、そして共に生きる術を学ばねばならないことを思い出させてくれる。ロボット・エクスペディションは、理解と友情の旅だ。全員の無事と健康、そして予定どおりの到着を祈っている」と、チェコのペトル・パヴェル大統領は述べた。
チェコ製クラシックカーが主役
ラリーに参加しているのは、1950年代から1980年代にかけて製造されたクラシックカーだ。中心となるのは、当時チェコスロバキアで生産された自動車。タトラの名車「T603」は空冷V8エンジンをリアに搭載した高級車で、今回参加するのは1959年製。ロボットの創設者ザイーチェク本人がステアリングを握っている。
そのほかにもチェコ製の車両が4台参加している。いずれもシュコダ製で、1960年代初頭の「オクタヴィア」が2台、1973年製の「100」、1980年製の「120」が走行中だ。チェコ車以外では、1977年製のトヨタ「セリカ」と、1966年製のフォード「マスタング」もラリーに加わっている。
過酷なルートに挑む7台とサポート体制
7台のクラシックカーには、それぞれドライバーとコ・ドライバーが同乗。また、整備士2名を乗せたサービスカーも帯同し、万全のサポート体制が敷かれている。
ルートはプラハからスタートし、スロバキア、ハンガリー、セルビア、ブルガリア、トルコ、ジョージア、アゼルバイジャンを経由。その後カスピ海を渡ってカザフスタンに入り、さらにウズベキスタン、中国、韓国、日本と、計13カ国を通過する予定であった長大な旅路だ。しかしながら、実際には諸般の事情でウズベキスタンは経由せず、カザフスタンから中国へと向かった。
ラリーの様子は公式インスタグラム上で発信されており、2025年7月16日現在は中国に走行中とのことだ。
記念モデル ロボット「エクスペディション プラハ オオサカ」
この冒険を記念し、ロボットは特別モデル「ロボット エクスペディション プラハ オオサカ」を発表した。ブランドの3針モデル「アプロス」をベースとしたこのモデルは、39mm径のステンレススティール製ケースを採用。文字盤にはラリーに参加したクラシックカーを思わせる小さな自動車のシルエットが多数あしらわれ、独特の躍動感を演出している。

自動巻き(Cal.ROBOT APLOS G100)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径39.4mm、厚さ10.3mm)。5気圧防水。価格要問い合わせ。
「アプロス」の文字盤に見られたエンボス状のドットパターンは、本モデルでは自動車のシルエットに置き換えられており、ラリーの世界観がより色濃く表現されている。ストラップはライトブラウンのレザーベルトで、クラシックな魅力をさらに強調している。

ムーブメントはスイスのラ・ジュー・ペレ製の自動巻きで、パワーリザーブは約65時間。ブルーカラーのネジや、コート・ド・ジュネーブなどの伝統的な装飾仕上げも施され、凝ったディテールのものだ。