第6回目を迎える、スイスの時計見本市であるジュネーブ・ウォッチ・デイズ。今年も参加するオリスからは、ふたつの新作モデルが発表された。ひとつは約10日間のロングパワーリザーブにトリプルカレンダー+年間52週表示を備えた「ビッグクラウン キャリバー113」、もうひとつはバンフォードとコラボレーションした「プロパイロット アルティメーター “ミッションコントロール”」である。
Text by Tomoyo Takai
[2025年9月7日公開記事]
「ビッグクラウン キャリバー113」
自社製ムーブメント開発の革新と大胆なデザイン性を融合させ、1938年の初代に端を発する「ビッグクラウン」の伝統を更新するモデル。

手巻き(Cal.Oris 113)。40石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約240時間。SSケース(直径43.00mm、厚さ13.50mm)。5気圧防水。114万4000円 (税込み)。
ダイアルは鮮やかなミントグリーンを基調に、ローズピンクのアクセントを加え、インデックスや針にはゴールドやホワイトを配色。多くの情報を盛り込みながらも、強いコントラストで視認性を確保している。
搭載するのは、自社製キャリバー113。2014年のキャリバー110を起点に、111、112と発展を重ねたシリーズの第4作で、いずれもシングルバレル構造による10日間パワーリザーブと特許取得のノンリニア・パワーリザーブ表示を備えてきた。キャリバー113ではこれに加え、「フルビジネスカレンダー」を搭載。曜日、日付、月に加えて年間52週を中央ポインター針で表示し、すべての調整をリュウズひとつで行える操作性を実現している。
ケースバックはトランスパレント仕様で、ムーブメントの駆動を鑑賞可能。人間工学に基づいた柔らかなテーパーを描くメタルブレスレットと相まって、装着感も高められている。
「プロパイロット アルティメーター ミッションコントロール」
オリスと、ロンドン発のカスタムウォッチハウス「バンフォード・ウォッチ・デパートメント」が初めて手を組み、世界限定250本の特別モデル「プロパイロット アルティメーター ミッションコントロール」を発表した。ベースとなるのは、世界で唯一「自動巻き機械式ムーブメント」と「機械式高度計」を同時に搭載した腕時計、「プロパイロット・アルティメーター」である。

自動巻き(Cal.Oris 793/Sellita SW300ベース)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約56時間。カーボンファイバーコンポジット+チタン(直径47mm、厚さ16.7mm)。10気圧防水。世界限定250本。120万6700円(税込み)。
本作は第2世代アルティメーターをベースに、最大6000mまで計測可能な高度計を備えつつ、キャリバー793の採用により厚さ16.7mmのスリム化と約56時間のパワーリザーブを実現。高度計用リュウズには特許取得済みの防湿機構を組み込み、過酷な環境でも安定した機能性を確保する。

ケース素材には、チューリッヒ工科大学発の9T Labsによる革新的な積層造形+成形技術を応用したカーボンファイバー複合材を採用。チタンより軽く、ステンレススティールを超える強度を誇るこのケースは、木目状の模様が1本ごとに異なる独自の表情を生む。
デザイン面では、バンフォードならではの遊び心が存分に発揮されている。ブラックを基調に、イエローやグリーンのビビッドなアクセントを配し、視認性を高めながらポップカルチャー的な鮮烈さを加えている。ジョージ・バンフォードは「宇宙からでも見分けられる色使い」と語り、このモデルを「2001年宇宙の旅」の世界観に重ね合わせた。
