梅沢富美男、セイコー製国産高級時計を愛用するのは自身の美学の表れか?

さすが“永世名人”。風流な感性を持つ梅沢富美男はグランドセイコーを愛す

大衆演劇役者として女形のキャリアを築いてきた梅沢富美男。2000年代に入るとバラエティ番組への出演も増え、さらなる存在感を発揮している。特にTBS系列で放送中の「プレバト‼」における活躍は、多くの方々がご存知のことだろう。今回は、季節の移ろいに着目する繊細な感性を持つ梅沢富美男が選んだ時計に注目したい。

写真:Pasya/アフロ
2023年12月、佐賀県主催のPRイベント「さがしてたのはこの味ですレストランby佐賀県」が表参道に期間限定でオープン。その際に、ゲストとしてトークショーに登壇した梅沢富美男。梅沢富美男の妻の母親と祖母が佐賀生まれであることから佐賀に縁があり、梅沢富美男は毎年、佐賀で講演を行っている。
沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年9月7日掲載記事]

多方面で活躍を続ける“下町の玉三郎”

 現在放送中のテレビドラマ「浅草ラスボスおばあちゃん」で主演を務める梅沢富美男。ラスボスおばあちゃん「松子」が、困っている人からの依頼を相手と同じ目線に立って全力で解決していくハートフルストーリーだ。破天荒な松子であるが、その松子との触れ合いを通じて若者たちが少しずつ変わっていく様子が温かく描かれている。歯に衣着せぬ発言やキツイことを言っているようで実は人情味に溢れるキャラクターは、バラエティ番組で目にする梅沢富美男の人柄にも重なって見える。そして、さすがは女形。おばあちゃんにしか見えないのも、梅沢富美男の演技力の為せる技だ。

 また、8月から展開されているローソン「からあげクン」の全国7つの地域ごとに発売されるご当地フレーバーCMでも好演。それぞれの地域に合わせ、梅沢富美男はご当地名物にちなんだ姿に変身。各バージョンに渾身の台詞が用意されているので、ぜひ見比べてほしい。

俳句永世名人として築いた新たな境地

 2012年から放送されている「プレバト‼」での俳句を競い合うコーナーにおける梅沢富美男の才能は、並々ならぬものがある。俳人・夏井いつき氏と梅沢富美男の掛け合いは、番組内の見どころのひとつであり、永世名人に格付けされた実力は本物だ。

 その傑作句は「句集 一人十色(いちにんといろ)」として、ついに書籍化に至っている。タイトルは梅沢富美男が自ら選定したもので、役者、女形、歌手、コメンテーターなど、たくさんの役を担ってきた梅沢富美男の人生に「俳人」という新たな役割が加わったことへの想いが込められている。

 名人・特待生限定のタイトル戦においては2連覇を達成する腕前を見せ、2020年の放送回からは永世名人に昇格。現在では番組を通じて新たに梅沢富美男のファンになった子供たちからも、ファンレターやプレゼントが届くという。

大衆演劇隆盛期のスターから、多彩なタレントへ

 1939年に旗揚げした剣劇一座「梅沢劇団」の創始者である梅沢富美男。浅草などの劇場を満員にした花形役者の父と、娘歌舞伎出身の母の間に、8人兄弟の第7子として誕生した。わずか1歳7ヶ月で初舞台を踏み、中学生の頃には贔屓にしてもらっていた漫画家の石ノ森章太郎のリクエストで、ちあきなおみの「矢切の渡し」を踊ることになった。この時、初めて女形を演じ、そのまま女形に転身。たちまち話題となり、“下町の玉三郎”と呼ばれるスターへ。以降は副座長として、兄を支えてきた経歴を持つ。

 歌手としても紅白歌合戦に1983年に出場し、大ヒット曲「夢芝居」を披露している。2000年代以降はバラエティ番組やワイドショーでのコメンテーターとして活躍し、また料理が得意な一面を披露したこともある。現在も舞台だけにとどまらず、多方面でその才能を発揮し続けている。

 さて、そんな梅沢富美男であるが、彼の公式Instagramには京都髙島屋で開催された「プレバト才能アリ展トークショー」に出演することをPRした投稿がある。「僕もグッズ売場で才能アリクッションをゲットしました。」と笑顔で報告している画像の腕元には、グランドセイコーが確認できる。


二十四節季を表現したモデルと自身の感性が共鳴

梅沢富美男自身による2025年3月8日のInstagram投稿。この投稿には3743件もの「いいね!」が付いている。満面の笑顔が印象的だ。そして、手首にはグランドセイコーが!

 俳句の世界には季語が存在する。俳人はその季語を駆使しながら、自然の様子や季節の移り変わりを限られた文字数の中で表現する。そんな俳句の世界に通じるモデルがグランドセイコー「エレガンスコレクション」には存在する。梅沢富美男が着用しているモデルは「SBGJ249」だ。

 このモデルは梅雨明け後、本格的な夏の到来を予感させる「小暑」(しょうしょ)の頃を表現している。ダイヤルパターンは、初夏の太陽のもと、爽やかな風で湖や池が揺らめく様子、梅雨明けに吹く「白南風(しらはえ)」によって起こる絶え間ないさざ波のイメージだ。

 もちろん詩情を追求するだけでなく、実用性も兼ね備えている。時差のあるもうひとつの地の時間を爽やかな青色のGMT針で表示するのだ。搭載ムーブメントは10振動(3万6000振動/時)のハイビートムーブメントCal.9S86であり、約55時間のパワーリザーブを持つ。


日本の美意識を体現する匠の技と俳人の感性

 グランドセイコーの精度への追及も特筆すべきだ。1998年に制定された「新GS規格」は、スイス・クロノメーター検査基準優秀級規格のさらに上を行く基準である。クロノメーター優秀級の平均日差が-4〜+6秒であるのに対し、新GS規格では-3〜+5秒なのだ。ムーブメントは17日間におよぶ厳格な検定試験を受け、基準値内に収まったものだけが出荷される。

 四季折々の豊かな表情を見せる雫石にアトリエを持つグランドセイコーだからこそ表現できるエレガンスコレクションに本作が追加されたのは2021年5月28日。小暑(7月7日から22日頃を指す)の頃の白南風によるさざ波を表現したという点が、風流な感性を磨き続ける俳人・梅沢富美男の心に響いたのではないだろうか。

 季節の機微を17音に込める俳人の感性には、このダイヤルに刻まれた白南風のさざ波が、どのような詩情として映ったのだろう。永世名人の腕に輝くグランドセイコーは、単に時を刻む道具としてではなく、日本の美意識を体現する“芸術”として選ばれたに違いない。

SBGJ249

グランドセイコー「エレガンスコレクション メカニカルハイビートGMT」Ref.SBGJ249
自動巻き(Cal.9S86)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ14.1mm)。日常生活用防水。100万1000円(税込み)。


Contact info:セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) Tel.0120-302-617


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