グランドセイコーが自動巻きクロノグラフ「テンタグラフ」搭載モデルに新作を加えた。岩手山に昇る朝日を映したカッパーピンクのダイアルを備える、「エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC006」だ。サブダイアルとスモールセコンドにはやや色味の異なるブラウンを採用。インデックスやベゼルの一部はローズゴールドを採用した、暖色系統でまとめあげた意欲的なデザインのモデルだ。
夜明けの色彩をまとったテンタグラフ
グランドセイコーのデザイナーが目指したのは、山が見せる特別な色彩の移ろいを「テンタグラフ」に映し取ることだった。雫石のグランドセイコースタジオから望む岩手山は、その特徴的な稜線と険しい地表によって、これまでも同社の時計デザインの装飾や色彩の着想源となってきた。今回の新作クロノグラフでは、日の出の瞬間にこの山が見せる特別な夜明けを表現している。
もっとも印象的なのはカッパーピンクの文字盤だ。朝の光を浴びているかのように輝き、サンバースト仕上げによって岩手山の険しい稜線を描き出す。この仕上げにより、文字盤は見る角度によってまったく異なる表情を示す。

自動巻き(Cal.9SC5)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタン(直径43.2mm、厚さ15.4mm)。10気圧防水。世界限定300本(日本限定100本)。302万5000円(税込み)。
ローズゴールドが織りなすディテール
数多くのローズゴールドの要素が全体を調和させる。植字インデックス、プッシャーとリュウズ、ブランドロゴ、日付窓のフレーム、さらにはベゼルの一部までも同素材で統一された。サブダイアルの色調はより力強いが、全体のトーンに調和している。クロノグラフ用の積算計と3時位置のスモールセコンドは意図的に区別され、針の仕上げも機能に応じて変えられている。

「エボリューション9」コレクションのクロノグラフとして、本作はブラックのジルコニウムオキサイド製セラミックベゼルにホワイトのタキメータースケールを備えたものだ。
自社製クロノグラフムーブメント
時刻表示と計測を担うのは、2023年に発表された自社製自動巻きクロノグラフCal.9SC5である。毎時3万6000振動で駆動し、センタークロノグラフ針は1秒間に10ステップ進む。停止時には必ず目盛りの上か、その中間に正確に止まるよう設計されている。
約72時間以上のパワーリザーブを備え、日差−3〜+5秒に調整されている。操作を確実に制御するコラムホイールや、針飛びを防ぐ垂直クラッチも搭載。外観も高い装飾性を持ち、ブリッジには雫石川を想起させるストライプ仕上げが施される。中抜きされたセンターローターには、ブランドの象徴である獅子のメダリオンが配されている。
ケースと仕様
「エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC006」は、直径43.2mm、厚さ15.3mmのブライトチタン製ケースを採用する。3つ折れ式バックル付きブレスレットも同素材製だ。ねじ込み式リュウズとシースルーバックを備え、100m防水を確保。反射防止コーティング付きボックス型サファイアクリスタルが文字盤を覆う。