2025年の新作から、直径38mm以下の小径ケースを採用したモデル5本を紹介する。国産から舶来ブランドまで、昨今の小径化トレンドを牽引する傑作たちが、ジェンダーレスの時代の腕時計の楽しみ方を教えてくれるはずだ。

Text by Tsubasa Nojima
[2025年12月18日公開記事]
腕時計に多様な楽しみ方を提供する、小径ケースの新作5選
昨今の腕時計のトレンドのひとつとして挙げられるのが、ケースサイズの小径化だ。かつては大ぶりな男性用の腕時計と小ぶりな女性用の腕時計で明確にサイズの差が設けられていたが、その中間にあたるミドルサイズのモデルが各社から発表されるようになった。
その傾向は2025年も変わらず、男女問わず着用しやすい直径38mm以下のケースを採用した傑作が続々と発表されている。
今回はその中から5本を厳選して紹介。腕時計もジェンダーレスの時代に突入した今、自分にぴったりの腕時計を探すべく、これらの新作に目を向けてみてはいかがだろうか。もちろん、パートナーと共用するシェアウォッチとしてもおすすめだ。
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.」Ref.SLGB003
年差±20秒という驚異的な精度を誇る新型自動巻きスプリングドライブムーメント、Cal.9RB2を搭載したシンプルな3針のグランドセイコー。2025年度グッドデザイン賞を受賞したことでも記憶に新しい。
複雑なパターンの型打ちが施された淡いブルーのダイアルは、スプリングドライブが製造される信州地方で、冬の間に見られる樹氷を表現したものだ。6時位置には、U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)の文字が誇らしげに配されている。
ケースは、軽く耐蝕性に優れ、輝きと審美性を備えたブライトチタン製。驚くべきは、これまでのスプリングドライブモデルから一気に小径化を果たし、直径37mmとなっていることだ。これはCal.9RB2が薄型シングルバレルと新型のオフセットマジックレバーを採用し、小型化を果たしたためである。
Cal.9RB2には、スプリングドライブムーブメント初となる緩急調整機能が備わったほか、厳選された水晶振動子とICを真空パッケージに封入した、高精度スプリングドライブパッケージICを採用するなど、精度を追求するためにこれまでのムーブメントとは一線を画す機構が与えられている。

Cal.9RB2初のレギュラーモデル。樹氷をモチーフとしたダイアルと、小径化されたブライトチタン製ケースを採用している。自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RB2)。34石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径37mm、厚さ11.4mm)。10気圧防水。151万8000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー)Tel.0120-302-617
オメガ「シーマスター ミラノ・コルティナ 2026」Ref.522.53.37.20.04.001
2026年2月6日から開催されるミラノ・コルティナ 2026冬季オリンピックを記念した、「シーマスター」のスペシャルエディション。オメガは、同大会でオフィシャルタイムキーパーを務める。
現行のシーマスターは、その多くがスポーツウォッチらしいデザインを与えられているが、本作はヘリテージモデルに着想を得たドレッシーなデザインが特徴だ。ホワイトのダイアルは、グラン・フー エナメル製。18Kムーンシャインゴールド製のインデックスには多面カットが施され、煌びやかな輝きを放つ。
ラウンド型のミドルケース、フラットなベゼル、エッジの立ったラグなど、アイコニックなデザインのケースは、18Kムーンシャインゴールド製。直径37mmのコンパクトなサイズ感が魅力だ。プラスチック風防を想起させる、大きく盛り上がったサファイアクリスタルが装着されている。
ケースバックには、ミラノ・コルティナ 2026冬季オリンピックの大会エンブレムが刻まれ、スペシャルエディションならではの特別感を高めている。ムーブメントは、マスタークロノメーター認定を取得した自動巻きのCal.8807を搭載する。

ミラノ・コルティナ 2026冬季オリンピックを記念したスペシャルエディション。クラシカルなデザインが特徴のドレスウォッチだ。自動巻き(Cal.8807)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kムーンシャインゴールドケース(直径37mm、厚さ11.55mm)。10気圧防水。306万9000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
A.ランゲ&ゾーネ「1815」Ref.220.028
創業者であるフェルディナント・アドルフ・ランゲの生誕年を冠する「1815」コレクション。懐中時計のデザインコードを取り入れたドレッシーなデザインが特徴の1815に、直径34mmのスモールセコンドモデルが加わった。従来のラインナップでは直径38.5mmであったが、大幅なサイズダウンを図り、細腕の男性や女性に対して魅力的な選択肢を提供した。
ブルーのダイアルは、シルバー925製。1815を象徴するアラビア数字インデックスとレイルウェイミニッツサークルがプリントされ、6時位置のスモールセコンドが立体感を創出している。
ラウンド型のケースは18Kピンクゴールド製。厚さは6.4mmと薄く、シャツの袖口に引っ掛かることなく収まる上品なサイズ感だ。3気圧防水を備え、日常生活の範囲であれば不自由することなく使用することができる。
ムーブメントは、手巻きのCal.L152.1を搭載する。薄型でありながらも171個もの部品で構成され、さらに約72時間のパワーリザーブを備えている。エングレービングされたテンプ受けや4分の3プレートなど、シースルーバックからグラスヒュッテ様式の仕上げを鑑賞することが可能だ。

34mmケースにダウンサイズされた1815のスモールセコンドモデル。シルバー製のブルーダイアルと、18Kピンクゴールドケースを組み合わせている。手巻き(Cal.L152.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KPGケース(直径34.0mm、厚さ6.4mm)。3気圧防水。要価格問い合わせ。(問)A.ランゲ&ゾーネ Tel.0120-23-1845
ロレックス「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー 36」Ref.127285TBR
ロレックスの新たなコレクションとして登場した、「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」。ブレスレット一体型ケースを採用した、現行のコレクションとは大きく異なる外観が与えられている。
ダイアルは、ハニカムモチーフのパターンが刻まれたデザイン。3時位置には日付表示、12時位置にはブランドのシンボルであるオイスターマークが配されている。宝飾モデルである本作では、バゲットカットダイヤモンドのインデックスが並び、華やかな印象だ。シャープなケースと、フラットジュビリーブレスレットには、変色に強い独自のゴールド合金である、18Kエバーローズゴールドが採用されている。
本作の特徴は、その外観だけではない。内部に搭載されたCal.7135は、新型脱進機であるダイナパルスエスケープメントと、耐磁性に優れたシロキシ・ヘアスプリングを採用している。ロレックスとしては珍しくシースルーバックを採用しており、Cal.7135を隅々まで鑑賞することができる。

ロレックスの新コレクション。ダイナパルスエスケープメントを採用したCal.7135を搭載する。インデックスとベゼルには、バゲットカットダイヤモンドがセットされている。自動巻き(Cal.7135)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約66時間。18Kエバーローズゴールドケース(直径36mm)。100m防水。
ベル&ロス「BR-05 36MM ICE BLUE STEEL」Ref.BR05A-S-BU-ST/SST
ベル&ロスのアーバン・インストゥルメントウォッチコレクション、「BR-05」のラインナップに加わった、直径36mmのコンパクトなモデル。ラウンドダイアルにスクエア型のブレスレット一体型ケースを組み合わせたデザインをそのままに、男女問わず着用しやすいサイズ感に改められている。
ダイアルのカラーは、爽やかなアイスブルー。サンレイ仕上げによって上品な印象に仕上がっている。アイスブルーのほか、ブラックやシルバー、マザーオブパールなどのカラーバリエーションも豊富に揃っている。3、6、9、12時のインデックスに丸みを帯びたアラビア数字、そのほかにバーインデックスを採用し、長さに明確な違いを持たせた時分針によって、高い視認性が確保されている。ノンデイト仕様のため、すっきりとしたデザインであることも魅力だ。
ケースは、ヘアラインを基調として随所にポリッシュを施した、ラグジュアリースポーツウォッチらしい仕上げ。厚さは8.5mmに抑えられ、取り回しやすい。

36mmケースを採用したBR-05の新作。視認性や防水性などの基本スペックが高く取り回しやすい本作は、デイリーウォッチとして相応しい1本だ。自動巻き(BR-CAL.329)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。SSケース(直径36mm、厚さ8.5mm)。100m防水。64万9000円(税込み)。(問)ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989



