「ダイバーズウォッチをタウンユースで楽しもう!」をテーマに、オシャレな“陸(おか)ダイバー”を特集する。昨今は、高性能ダイバーズウォッチの系譜を引きつつ、ゴールド系素材やブロンズ、セラミックスをケースに用いるモデルや、爽やかなカラーリングの文字盤を持つモデル、GMT表示を追加して機能性を向上させたモデルなど特徴はさまざまで、装いやシーンに合った1本が見つかるはずだ。

Text by Shin-ichi Sato
[2026年2月5日公開記事]
“陸(おか)ダイバー”を特集
今回は、タウンユースを想定したダイバーズウォッチを特集する。ダイバーズウォッチは潜水を想定した性能向上が図られてきた歴史があるが、そのスポーティーなスタイリングが人気を集め、タウンユースにおいても定番のジャンルとして認知されている。「陸上でしか使わない」とネガティブに捉えず、ダイバーズウォッチのスタイルと、そこから派生したデザインをタウンユースで楽しむ“陸(おか)ダイバー”としてポジティブに解釈し、オシャレに手首を彩るモデルの魅力を深掘りしてゆきたい。
オメガ「シーマスター ダイバー 300M ブロンズゴールド&バーガンディ」Ref.210.90.42.20.01.003

自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。ブロンズゴールドケース(直径42mm、厚さ13.8mm)。30気圧水。444万4000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087。
完成度の高いツールウォッチとして非常に評価が高く、数あるダイバーズウォッチの中でもアイコンのひとつであるオメガ「シーマスター ダイバー 300M」の中から、ひと際シックな「シーマスター ダイバー 300M ブロンズゴールド&バーガンディ」をピックアップする。
ケースは、オメガ独自のブロンズゴールド製であり、温かみのあるピンクを感じさせるブロンズカラーと、ゴールドに由来する輝きを楽しむことができる。また、優れた耐食性によって酸化による緑青を生じない点が特徴だ。さらに本作では、ブロンズゴールド製メッシュブレスレットが組み合わされ、よりクラシカルでエレガントなテイストに仕立てられている点が、他のモデルにはない魅力となっている。
文字盤はブラックをベースに、ゴールドカラーの針や、焼け色を思わせるヴィンテージスーパールミノバによって、ヴィンテージテイストやシックな印象を生み出している。ベゼルリングはバーガンディーのシュウ酸アルマイト加工のアルミニウム製で、ゴールドカラーの本作の差し色となっている。
搭載される自動巻きCal.8806は、METAS(スイス連邦計量・認定局)マスター クロノメーター認定ムーブメントであり、耐磁性能や精度が極めて高く、タウンユースにおいて満足度が高い。
ベル&ロス「BR-03 DIVER」Ref.BR0392-D-WH-BR/SCA

自動巻き(Cal.BR-CAL.302.)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。ブロンズケース(幅42mm)。300m防水。世界限定999本。69万3000円(税込み)。(問)ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989。
続いてもブロンズが魅力の1本を紹介しよう。取り上げるのは、ベル&ロス「BR-03 DIVER」だ。ベル&ロスは航空機コックピットに並ぶ計器から着想を得たスクエアシェイプのモデルがアイコンであり、「BR-03」においてもその系譜を引いている。
42mm角のスクエアシェイプのケースはインパクトがあり、幅広でバックル側に絞り込みの効いたカーフレザーのストラップも、ケースのボリューム感を引き立てている。ケースは、銅92%、錫8%のブロンズ製である。ブロンズは強度があり、成形しやすい。そのため船舶や潜水用具で用いられてきた歴史があり、本作のブロンズケースは、こういった歴史を取り込んだものと言える。
組み合わされる文字盤はパールホワイトカラーで、ブロンズ特有の優しい色調にマッチしている。ベゼルインサートはブラウンであり、同色のカーフレザーストラップも組み合わさることで、落ち着いた色調のシックなテイストにまとめられている点が特徴だ。その温かみのある色調から、ダイバーズウォッチから想起される夏の装いだけでなく、冬場にも合わせたくなる1本である。
チューダー「ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”」Ref.M79000-0001

自動巻き(Cal.MT5400)。27石。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径37mm)。200m防水。66万円(税込み)。(問)日本ロレックス/チューダー Tel.0120-929-570。
先の2本はシックな雰囲気であったので、爽やかでポップなモデルを紹介しよう。ピックアップするのはチューダー「ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”」である。本作は、直径37mmの小ぶりなケースに、夏の海を思わせる淡いターコイズブルー文字盤を組み合わせたモデルである。
従来のブラックベイシリーズに見られるストイックな印象とは対照的で、よりカジュアルでリラックスした表情が魅力である。また、文字盤表面には、細かく波打つ水面のようなサンドテクスチャー仕上げが施される。光が当たることでランダムな反射が生じて“表情”となるのと同時に、針やインデックスを際立たせて視認性を確保している。
ベゼルは、ポリッシュで仕上げられたステンレススティール製インサートが組み合わされる。本格的なダイバーズウォッチとしては視認性の低下が気になってしまうところだが、タウンユースの陸ダイバーでは本作の爽やかでポップなテイストにマッチしており、従来モデルと異なるドレッシーさを加えるアクセントとなっている。
また、5列リンクのブレスレットが採用されている点も特徴だ。5列リンクのブレスレットはダイバーズウォッチよりもドレスウォッチやパイロットウォッチに多い意匠であり、この点からも本作がタウンユースに着目したデザインとなっていることが分かる。ブレスレットはサテン仕上げとポリッシュ仕上げのコントラストが効いており、丸みを帯びたリンクの造形と相まって、街で洒脱に装いたいデザインにまとめられている。
スウォッチ「バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス インディアンオーシャン」Ref.SO35I100

自動巻き(SISTEM 51)。パワーリザーブ約90時間。バイオセラミックス(直径42.3mm、厚さ14.4mm)。91m防水。6万1600円(税込み)。(問)スウォッチ グループ ジャパン Tel.0570-004-007。
続いては、スウォッチとブランパンのコラボレーションモデルである「バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス インディアンオーシャン」をピックアップする。本シリーズは、現代的なダイバーズウォッチの起源からの系譜を引くブランパン「フィフティ ファゾムス」をベースとして、スウォッチがバイオセラミック製の専用ケースとともにカラフルに仕立て直したモデルが並んでいる。
バイオセラミックとは、原料の3分の2がセラミックス、3分の1がヒマシ油というバイオ由来素材で、スウォッチが特許取得済みのものとなる。セラミックス系材料であるので型を使った成型となり、削り出しではコストのかかるフィフティ ファゾムスの丸みを帯びた特有のケースシェイプを、スウォッチらしい手に取りやすい価格で実現している点が本作の魅力である。ケースサイドに刻まれた“swatch”のロゴはフィフティ ファゾムスのオマージュだ。
取り上げるのはインド洋をモチーフとしたグリーンのモデルである。ケース、リュウズ、ファブリックストラップの尾錠もグリーンで、文字盤はグリーンとブラックのグラデーションとなり、カラーコーディネートが図られている。秒針はオレンジで、ファブリックストラップのセンターにオレンジのラインを配して挿し色となっている。ケースバックにはインド洋とアカフチリュウグウウミウシのイラストがデジタルプリントされる。

搭載されるのは自動巻きのCal.SISTEM 51であり、パワーリザーブは約90時間と実用性が高い。機械式時計ファンが気分を変えて着用する1本として選んでも満足度が高く、機械式時計所有経験のないユーザーが気軽に時計の扱い方を学べる1本として選ぶのも好適な完成度だ。
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 GMT」Ref.WBP5115.BA0013

自動巻き(Cal.TH31-03 COSC)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.1mm)。300m防水。69万8500円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7054。
続いてもグリーンが鮮やかな1本をピックアップする。「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 GMT」だ。スポーティーなモデルを多く擁するタグ・ホイヤーは、特にモータースポーツ向けモデルが有名で人気があるが、アクアレーサー プロフェッショナル 300も完成度が高く、魅力的なモデルである。
取り上げるのは、アクアレーサー プロフェッショナル 300のデザインをベースに、GMT針を追加し、24時間表示のベゼルへと置き換えたモデルである。グリーン文字盤には、同コレクションに共通して用いられる波状のテクスチャーが与えられており、テクスチャーに沿ってグリーンの濃淡があり、表情豊かである。また、セラミックス製ベゼルインサートは昼夜で色を分けたツートンカラーの仕立てである。セラミックス特有の艶がある仕上がりで、発色も良いことが魅力だ。十二角のベゼルはアクアレーサーコレクションのアイコンとなっており、これを際立たせるアクセントにもなっている。
GMT針は、セオリー通りにUTCに合わせて運用しても良いし、ローカルタイムの24時間表示とするのも良いだろう。また、やり取りの多い海外拠点のローカルタイムに合わせておく運用もおすすめである。タイムゾーンを跨ぐ移動の多いユーザーだけでなく、ビジネスシーンにも役立つ機能だ。
ケース径は42mmで、厚さは13.1mmとなる。筆者の感想を述べると、ベゼルとケースにメリハリがあり、ケースからラグにかけて薄く仕立てられているため、数値よりも本作は薄く感じる。また、ラグを短く切っていることから装着感が良好である。これらの効果によって本作は引き締まった印象となっており、長袖との組み合わせの多いタウンユースに好適なモデルと言えるだろう。




