レザーバングルのような存在感。キングセイコー「VANAC(バナック)」を解説!

2026.01.20

セイコーウオッチ本社で行われた新作撮影会に参加したライターの佐藤しんいちが、注目の新作時計として、キングセイコー「VANAC(バナック)」のレザーストラップモデルであるRef.SDKV015を紹介する。数多く並べられた新作の中でも、本作はひときわ存在感を放っていたのが印象的であった。その存在感の理由は、幅広で厚みのあるレザーストラップだ。VANACの歴史や新生VANACのコンセプトを振り返りつつ、本作の魅力に迫る。

キングセイコー バナック

Photograph by Shin-ichi Sato
2025年12月に発売されたキングセイコー「VANAC(バナック)」の新作。レザーストラップの採用と、東京の自然をモチーフとした深い緑の文字盤がトピックスだ。自然光の下では、緑の鮮やかさが引き出されそうな色調と仕上げであった。
佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
[2026年1月20日公開記事]


キングセイコー「VANAC(バナック)」にレザーストラップモデルが登場

 セイコーウオッチ本社で行われた新作撮影会で、ひときわ存在感を放っていたのがキングセイコー「VANAC(バナック)」のレザーストラップモデルRef.SDKV015だ。2025年3月にキングセイコーの新しいバリエーションとしてリリースされたVANACは、エッジの効いたケースシェイプと、文字盤に施された水平のラインが特徴だ。この特徴的なデザインについて振り返りつつ、本作の魅力に迫ってみよう。

キングセイコー SDKV015

キングセイコー「VANAC(バナック)」Ref.SDKV015
2025年12月にリリースされたVANACの新作モデル。深みのあるグリーンの文字盤にはサンレイ仕上げが施されている。なお、2026年1月9日より発売されている。自動巻き(Cal.8L45)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(縦45.1×横41.0mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。38万5000円(税込み)。

キングセイコー SDKV015

キングセイコー「VANAC(バナック)」Ref.SDKV013
グリーン文字盤のRef.SDKV015とともにリリースされたのが、ブラウン文字盤のRef.SDKV013だ。この文字盤は、木や大地を思わせるカラーリングとなっている。こちらも1月9日より、発売中だ。自動巻き(Cal.8L45)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(縦45.1×横41.0mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。38万5000円(税込み)。

 キングセイコーのVANACは初出が1972年であり、斬新な多面形のケースデザインとカラフルかつさまざまなパターンのグラデーションダイアルが異彩を放つコレクションであった。1960年代のキングセイコーとは対照的な意匠であるものの、従来のモデルとともに、VANACは往年のセイコーファンに愛されてきた。また、多彩なデザインが生まれた1970年代を象徴しており、時計デザインの歴史を俯瞰する上でもアイコニックな存在である。

 そして、2025年にセイコーは“VANAC”の名を復活させた。1970年代のデザインが再注目されている現在のトレンドを背景に、多様化する“時計との付き合い方”へのセイコーからの提案と筆者は捉えている。また、“KSK”の忠実なデザイン復刻を狙ったキングセイコー(Ref.SDKA005)とは異なり、過去のモデルの魅力を再解釈した新デザインが取り入れられている点にも注目したい。

「Tokyo Horizon」をコンセプトとするVANAC

 これらを踏まえた上で本作を眺める。本作のデザインコンセプトは、キングセイコーの誕生の地である東京に広がる広大な地平線「Tokyo Horizon」である。面を多用しつつサイドを丸めたシルエットを持ち、ラグに向かって直線的なラインを描くケースは、どこかグランドセイコースタイルを思わせるものだ。また、特徴的なカラーの文字盤やケースサイドおよびブレスレットへとつながる広い斜面、そしてその境界で際立つエッジが、過去のVANACを彷彿とさせる。十二角形に縁取りが装飾された文字盤や、レールウェイ状のスケール、そこに配されたアワーマーカーは、過去のモデルとは異なるものの、どこかオールドウォッチの趣きを感じさせる点が面白い。

 なお、文字盤上の水平なラインは、コンセプトのTokyo Horizonを象徴するもので、これまで東京の夕暮れ時を表現したパープルのRef.SDKV003や、さんさんと光が降り注ぐ東京の景色から着想を得たRef.SDKV009がラインナップされてきた。

キングセイコー

キングセイコー「VANAC(バナック)」Ref.SDKV001
自動巻き。(Cal.8L45)35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(縦45.1×横41.0mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。39万6000円(税込み)。

セイコー「キングセイコー VANAC」Ref.SDKV009

キングセイコー「VANAC(バナック)」Ref.SDKV009
自動巻き。(Cal.8L45)35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(縦45.1×横41.0mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。39万6000円(税込み)。セイコーフラッグシップサロン、セイコードリームスクエア、セイコーブティックおよびセイコーオンラインストア専用。

都市の中にも自然が残る東京の魅力を表現したRef.SDKV015

 本作の文字盤は、超高層ビルが立ち並ぶ都心にありながら、緑に包まれた公園や庭園が点在し、近郊の自然にもアクセスが良好な東京をテーマに、深いグリーンを文字盤に用いている。冒頭に掲載した筆者撮影の写真では暗く見えているが、実際には奥行き感と鮮やかさのあるグリーンが魅力的であった。自然光の下ではさらに鮮やかさが増すことだろう。明度を落とした色調で、シックな印象も備えている点が良い。

キングセイコー SDKV015

グリーンにイエローゴールドカラーという組み合わせも、どこかレトロさを感じさせる。

 そして本作のトピックスは、従来モデルにはなかったレザーストラップを組み合わせている点だ。従来の専用設計ブレスレットは、水平のラインとエッジの効いたデザインがケースシルエットと呼応し、VANACのコンセプトを反映したものであった。

 これに対して本作では、ケースのサイドラインからつながる基本的なデザインをブレスレットから継承しつつ、ふっくらとして立体的なレザーストラップを組み合わせている。使用されているレザーのシボからも、柔らかさが感じられる。

キングセイコー SDKV015

シンプルなブラックのカーフレザーが備わっているため、さまざまなコーディネートに合わせやすい。なお、Ref.SDKV013には、ブラウンカラーのレザーが付いている。

 横幅41mmのケースに対して文字盤が小径なため、時計のヘッドは数値よりもコンパクトに感じる。ここに、バックル側を絞り、ケース側の幅が広いストラップを組み合わせることで、ストラップの存在感を強調している。ここまでストラップの存在感を押し出したセイコーのモデルは珍しい。

 手首に載せてみた筆者は、カットの効いたケースが“宝石”のように見え、宝石がセッティングされたレザーバングルを思い浮かべた。オリジナルのVANACは、宝石を思わせるカットガラス風防を採用していたので、この連想は的外れではないと思う。

 ケース径などから考えて、本作の想定ユーザーは男性であろうが、インパクトのある大型のレザーバングルなら女性もコーディネートに取り入れている。男女問わず、興味を持たれた方はぜひ手首に載せてみてほしい。

最新のCal.8L45を搭載した基本性能に優れるVANAC

 キングセイコー「VANAC(バナック)」には、新開発の自動巻きムーブメントCal.8L45が搭載されている。Cal.8L45は、セイコーの現行メカニカルムーブメントとして最も安定した精度である日差+10~-5秒を実現し、パワーリザーブも約72時間と基本性能が高い。ダイバーズウォッチへの搭載が想定された堅牢性が備えられており、日常使用にも安心感がある。

 新作撮影会では、本作のほかにも新作や限定品が数多く並んでいた。また、各モデルは個性豊かで、新たなチャレンジが盛り込まれていたことが印象的であった。セイコー入魂の文字盤の質感や、各所の仕上げ、着用バランスなどは実際に手に取って見るのが一番だ。この記事をきっかけに、店頭に足を運んでいただけると幸いだ。

Contact info:セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012


キングセイコー「バナック」に初のレザーストラップ仕様が登場

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