何世紀にもわたる伝統が支配する高級時計の世界において、わずか数十年でルールを書き換えた異端のブランドが「ドゥ・ベトゥーン」である。2002年の設立以来、芸術的な美しさと圧倒的な機械的革新を融合させ、瞬く間にオートオルロジュリーのエリートへと登り詰めたのだ。ブランドの代名詞である鮮烈な「セレスティアルブルー」や、122年間調整不要の球体ムーンフェイズなど、時計愛好家を熱狂させ続けるそのアバンギャルドな魅力と歴史に迫る。

手巻き(Cal.DB2019)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約120時間。Ti(直径38mm、厚さ8mm)。世界限定10本。
[2026年4月8日掲載記事]
オートオルロジュリーの鮮烈な青の狂詩曲。ドゥ・ベトゥーン
時計の世界において、何世紀にもわたる遺産とともに生まれるブランドもあれば、わずか数十年でルールを書き換えるブランドもある。ドゥ・ベトゥーンは間違いなく後者のカテゴリーに属する。
2002年にダビッド・ザネッタとドゥニ・フラジョレによって設立されたこの独立系マニュファクチュールは、機械的革新、芸術的な大胆さ、そしてその特徴であるセレスティアルブルー(天空の青)の美学によって名声を築き上げてきた。

約20年ほどの間に、多くのブランドが何世紀もかけて成し遂げること、すなわちオートオルロジュリー(高級時計製造)のエリートたちの間での揺るぎない地位を確立したのだった。
起源とビジョン

手巻き(Cal.DB2109V4)。43石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約96時間。Ti(直径42mm、厚さ10.3mm)。3気圧防水。世界限定5本。
ドゥ・ベトゥーンは決して虚栄心から立ち上げられたプロジェクトではなく、完全な創造的自由を生み出すための手段であった。美術商であり時計コレクターでもあるザネッタと、4代目時計師であるフラジョレは、他にはないタイムピースを生み出すため、デザインと技術的熟練という互いを補完し合う世界を融合。

手巻き(Cal.DB2005)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約144時間。Ti(直径38.7mm、厚さ7.4mm)。
彼らの初期のコラボレーションは、機能と形態の双方の限界を押し広げ、歴史からインスピレーションを得ながらも、急進的な現代性を受け入れていた。
デザインとイノベーション

球体ムーンフェイズ表示から、熱処理によって豊かで鮮烈なブルーに染められたチタン製ケースに至るまで、ドゥ・ベトゥーンの美学的な革新は、その機械的な進歩と同じくらい重要だ。その最たる例がこのブランドを特徴付けるムーンフェイズ表示であり、さらには122年に1度しか調整を必要としないほどの正確さを誇る。
コラボレーションとクラフツマンシップ
ドゥ・ベトゥーンの創造性はコラボレーションにも及び、例えば「メティエ・ダール」モデルにおける精巧なエングレービングや、「死者の日」のためのオーダーメイドの解釈などが挙げられる。それぞれのプロジェクトは、技術的なスキルと視覚的なストーリーテリングの融合を反映するものなのだ。
評価と遺産
設立から10年足らずで、ドゥ・ベトゥーンは業界で最も権威のある賞であるジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)の「金の針賞」を獲得した。これにより、コレクターや同業者から等しく賞賛される、独立系時計製造における牽引力のひとつとしての地位が確固たるものとなった。30以上のムーブメントを創り出し、数え切れないほどの革新を遂げてきたドゥ・ベトゥーンは、現代の時計製造が伝統を重んじながらも、未来へと大胆に冒険できることを証明し続けている。



