ゼニス「デファイ」の歴史と現行モデルの種類を解説

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2026.04.11

ゼニスの「デファイ」は、1969年に誕生し、現在では1/100秒クロノグラフや重力制御機構を備えるなど、ブランドの革新性を象徴するコレクションに位置付けられている。本記事では、デファイの歴史から、現在展開されている多彩なシリーズそれぞれの特徴と選び方までを解説する。

ゼニス「デファイ」


1969年から続く「デファイ」の歴史

 デファイという名称は、初代モデルが発表された1969年よりさらに古い。「DEFI」として1902年に商標登録され、1969年に「DEFY」へと改称された。そもそもDIFI(ディフィ)とはフランス語で「挑戦」を意味する言葉であり、ゼニスはデファイを「革新的で究極の精度を追求し続ける姿勢を象徴する」コレクションであると説明している。

堅牢な設計と独創的なデザインの出発点

 1969年に登場した初代デファイは、八角形ケースや14面ベゼル、ラダーブレスレットに象徴される堅牢で個性的な外装が特徴だった。事実、1969年のオリジナルモデルは "bank vault"(金庫)または "bolt"(ボルト)と称されており、鋭いライン、多面的な仕上げ、建築的な存在感を特徴とする新しいデザイン言語を確立した腕時計であった。

 こうした造形の特徴は、現在のデファイ スカイラインにも受け継がれている。なお、初代を原型とした復刻モデルの説明には「グラデーションダイアル」の記載もあるが、これもオリジナルを踏襲した意匠である。

ゼニス「デファイ」

1969年に発売されたデファイ A3642の広告。「これほど厳密に精度が守られたことは、かつてない」「他の頑強な時計が機能しなくなるような過酷な環境下でも、正確な時を刻み続ける」といったキャッチコピーによって、高い堅牢性をアピールしている。

2017年以降に強まった現代的な展開

 デファイは1969年の初代モデルに連なるコレクションでありながら、2017年以降に大きく姿を変えた。ゼニスは「デファイ エル・プリメロ 21」と「デファイ ラボ」を発表しており、いずれも現代的な路線を打ち出している。この年を境に、初期の堅牢なスポーツウォッチとしての顔に加え、先端技術を前面に出すコレクションとしての色合いが濃くなった。

 2017年以降のデファイの展開は以下のとおりだ。
•2017年:デファイ エル・プリメロ 21、デファイ ラボ 発表
•2021年:デファイ エクストリーム 登場(ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2021)
•2022年:デファイ スカイライン 導入、デファイ リバイバル A3642 復刻
•2023年:デファイ リバイバル A3691(1971年リファレンス)復刻
•2024年:デファイ エクストリーム ダイバー(現代版)発表、デファイ リバイバル A3648 登場
•2026年:デファイ リバイバル A3643 再導入

 現行のデファイには、1/100秒クロノグラフや重力制御機構を搭載したモデルから、初期の意匠を忠実に再現した復刻モデルまで、幅広いカテゴリーが並ぶ。

ゼニス「デファイ」

デファイ エル・プリメロ 21に続いて「デファイ」の名を冠したのが、2017年秋に発表されたデファイ ラボ。1秒間に30振動という高速振動で精度を高めるのみならず、テンワやヒゲゼンマイ、アンクルといった調速機構の役割を担うシリコン製のオシレーターを搭載した、革新的なタイムピースだった。


ライフスタイルに合わせて選べる多彩なバリエーション

 2026年3月28日時点で確認できる、デファイの現行ラインナップは7シリーズ。それぞれの特徴をまとめると以下のとおりだ。
•デファイ ゼロ G:ジンバルにグラビティ コントロール モジュールを載せ、重力の影響を抑制
•デファイ スカイライン:星モチーフの文字盤と交換式ストラップを備え、1/10秒計測が行えるエル・プリメロを搭載
•デファイ リバイバル:初期デファイの八角形ケースとラダーブレスレットを現行品質で再現したシリーズ
•デファイ エクストリーム ダイバー:ダイバーズ仕様として、防水性と堅牢性を前面に
•デファイ エクストリーム:毎時36万振動のクロノグラフを持つ1/100秒計測モデル
•デファイ 21:計時用5Hzとクロノグラフ用50Hzの2系統の調速機関を独立搭載

デファイ ゼロ G

 デファイ ゼロ Gの核心は、「グラビティ コントロール(重力制御)」と呼ばれる独自の発想にある。

 このグラビティ コントロールは2008年に初導入された。ジンバルに載せたグラビティ コントロール エスケープメントモジュールが調速機構を常に水平に保つことで、重力の影響そのものを抑制する仕組みだ。トゥールビヨンが重力による誤差を、時間をかけて平均化するのとは根本的に異なるアプローチで設計されており、2018年には初期の30%の体積にまで小型化したモジュールへと改良されている。

 現行コレクションでは限定モデルとして展開されており、時計の機構そのものに関心がある人に向くシリーズだ。

ゼニス「デファイ」

ゼニス「デファイ ゼロ G」Ref.04.9003.8812/51.R584
手巻き(Cal.エル・プリメロ 8812)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。サファイアケース(直径46mm)。3気圧防水。世界限定10本。283万8000円(税込み)。

デファイ スカイライン

 デファイ スカイラインは2022年に誕生。1960年代後半の初期デファイのデザインコードを受け継ぎながら、現代都市のダイナミズムに合わせて再解釈されたコレクションである。

 主な特徴は、星のモチーフを取り入れた文字盤デザインにインターチェンジャブルストラップシステム、そして1/10秒の計測が可能なエル・プリメロ高振動自動巻クロノグラフムーブメントを搭載していること。現行ラインナップは以下のとおりだ。
•デファイ スカイライン
•デファイ スカイライン 36
•デファイ スカイライン スケルトン
•デファイ スカイライン クロノグラフ
•デファイ スカイライン トゥールビヨン

 コレクションに共通するケースの八角形フォルムは、初代デファイの造形を踏襲したもの。またブレスレットとストラップの交換が容易なため、幅広いシーンで着用できる。

ゼニス デファイ スカイライン 36

ゼニス「デファイ スカイライン 36」Ref.03.9400.670/01.I001
自動巻き(Cal.エリート 670)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径36mm)。10気圧防水。126万600円(税込み)。

デファイ リバイバル

 デファイ リバイバルは、1960年代後半から1970年代初頭の初期デファイを再解釈するコレクションだ。ゼニスが「大胆なデザインを蘇らせる」コレクションと説明する通り、八角形の多面ケース、鮮やかなカラーダイアル、ラダーブレスレット、自動巻ムーブメントのCal.Elite 670を共通のエレメントとしている。

 各モデルは、過去の実在するモデルをもとに復刻されている。
•デファイ リバイバル A3642:1969年の最初期デファイ モデルのひとつを精密に再解釈した作品。2022年復刻
•デファイ リバイバル A3691:1971年リファレンスの復刻。2023年登場
•デファイ リバイバル A3643:1969年リファレンス。2026年再導入
•デファイ リバイバル A3648:2024年登場

 またA3690、A3691は「デファイ初のカラー文字盤を持つ腕時計の一つ」で、初期デファイはデザイン面でも当時から先鋭的であった。

ゼニス デファイ リバイバル A3643

ゼニス「デファイ リバイバル A3643」Ref.03.A3642.670/01.M3642
自動巻き(Cal.エリート 670)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径37mm)。30気圧防水。103万9500円(税込み)。

デファイ エクストリーム ダイバー

 デファイ エクストリーム ダイバーは、現行デファイの中でダイバーズモデルとして独立したカテゴリを持つシリーズだ。現代版はデファイ リバイバル A3648とともに、2024年に登場した。現在は「デファイ エクストリーム ダイバー シャドウ」と、複数の「デファイ エクストリーム ダイバー」がラインナップされている。

 水回りに触れる機会が多い環境や、防水性と堅牢性を軸に時計を選びたい人に向くシリーズだ。

ゼニス「デファイ」

ゼニス「デファイ エクストリーム ダイバー シャドウ」Ref.97.9600.3620/21.I300
自動巻き(Cal.エル・プリメロ 3620)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径42.5mm)。60気圧防水。178万5300円(税込み)。

デファイ エクストリーム

 デファイ エクストリームは「最も頑強な1/100秒計測のクロノグラフ」を掲げ、2021年に誕生したシリーズだ。搭載するエル・プリメロ 21キャリバーは、計時部が毎時3万6000振動、クロノグラフ部が毎時36万振動という二重構成を持つ。

 その後も素材や意匠のバリエーションを拡充し続け、現在は以下の5モデルをラインナップしている。
•デファイ エクストリーム
•デファイ エクストリーム カーボン
•デファイ エクストリーム ダブル トゥールビヨン
•デファイ エクストリーム クロマ
•デファイ エクストリーム ラピスラズリ

 同じ「エクストリーム」の名を冠してはいるものの、前出のダイバーズモデルとは役割が異なる。デファイ エクストリーム ダイバーがダイビング用途に特化しているのに対し、デファイ エクストリームは1/100秒クロノグラフを前面に出した性能志向のシリーズとなっている。大型ケースとメカニカルな外装表現に惹かれる人に向くシリーズだ。

ゼニス「デファイ」

ゼニス「デファイ エクストリーム ミラー」Ref.03.9102.9004/90.I001
自動巻き(Cal.エル・プリメロ 9004)。53石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径45mm)。20気圧防水。389万7300円(税込み)。

デファイ 21

 デファイ 21は「画期的、そして革新的なクロノグラフの頂点」と位置付けられているシリーズ。計時用とクロノグラフ用で独立して動作する2つの調速機関(5Hzと50Hz)を搭載し、1/100秒精度の時間計測を実現している。

 2017年に「Defy El Primero 21」として発表されたこのシリーズは、現行コレクション上では「デファイ 21」の名称でラインナップされており、デファイ 21 ウルトラヴァイオレット、DEFY 21 Chroma II、デファイ 21 ウルトラブルーなどを擁している。

 エル・プリメロの高振動技術を前衛的な外装に収めたシリーズで、クロノグラフの機構そのものを楽しみたい人に向く。

ゼニス「デファイ」

ゼニス「デファイ 21 ウルトラブルー」Ref.97.9001.9004/81.R946
自動巻き(Cal.エル・プリメロ 9004)。53石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径44mm)。10気圧防水。179万3000円(税込み)。


伝統と革新が融合したゼニスの傑作コレクション

 デファイの原点は、1969年に "bank vault" と呼ばれた堅牢なスポーツウォッチにある。八角形ケースと14面ベゼルが刻む鋭いラインは、当時から際立った存在感を放っていた。そのルーツを保ちながら、現代のデファイは1/100秒クロノグラフや重力制御機構といった先端技術を取り込み、コレクションとしての幅を広げ続けている。

 復刻から超複雑機構までの、多彩なシリーズが同じコレクション名のもとに並ぶデファイは、時計への入り口を探す人にも、機構や素材に夢中になる人にも、それぞれの関心に応える選択肢を用意している。堅牢な実用時計としてのルーツを守りつつ、最新技術を取り入れ進化し続けるこのコレクションは、幅広い層に支持される現代のスタンダードだ。



Contact info:ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861


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