他と一線を画す、圧巻の精度と仕上げで、2004年に創業するや瞬く間に高級時計製造の頂点に上り詰めたグルーベル・フォルセイ。全コレクションが少量限定生産であり、生産予定本数に達するとキャリバーごと潔く廃番とする姿勢も作品のエクスクルーシブ性を高めているが、いよいよ「トゥールビヨン 24 セコンド アーキテクチャ」のファイナルエディションが日本に上陸した。「バランシエール コンヴェクス S² カーボン」のYOSHIDAスペシャルモデルと併せて、グルーベル・フォルセイのレアピースが秘める価値に改めて注目したい。

完全に露呈したムーブメントの存在そのものを装飾としたデザインはそのままに、チタン製地板をブラックとし、よりコントラストを高めたファイナルエディション。手巻き。42石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。Ti×サファイアクリスタルケース(直径47.05mm、ベゼル径45.50mm、厚さ16.8mm)。5気圧防水。世界限定11本。要価格問い合わせ。
Photographs by
Takeshi Hoshi (estrellas)
吉田巌:編集・文
Text by Iwao Yoshida
[クロノス日本版 2026年7月号掲載記事]
「アート・オブ・インベンション」のモットーを体現するレアピース
傾斜させた調速装置に象徴される、高精度を実現する革新的アプローチ、立体的かつ建築的なデザイン、そして伝統的な職人技を結集した弩級の仕上げ……。グルーベル・フォルセイが作る時計は、まさに「アート・オブ・インベンション(発明の芸術)」というモットー通りの仕上がりだ。超高額にもかかわらず、世界中の審美眼ある時計コレクターを魅了しているのも頷ける。

基本的にすべてのモデルが限定生産のレアピースであることも、同メゾンの時計にエクスクルーシブ性と、ある種の神秘性を付加する要因だろう。「トゥールビヨン 24 セコンド アーキテクチャ」も、2022年の登場時に製造期間を5年間、本数を66本に限定することがアナウンスされていた。
本作のハイライトは、やはり24秒で1回転する超高速型のトゥールビヨンだ。キャリッジを25度傾斜させており、姿勢差による誤差も最低限にとどめている。

チタン製ケースの側面にもサファイアクリスタルを配し、ダイアルからだけでなく、あらゆる角度から革新的ムーブメントの構造を眺められるように仕立てたのも魅力。まさにメゾンの新しい時代の幕開けを象徴するタイムピースと言える。
このトゥールビヨン 24 セコンド アーキテクチャはすでに55本が流通し、残り11本で構成されるファイナルエディションで幕を閉じる。冒頭のモデルは、いち早くグルーベル・フォルセイ ブティック 銀座に入荷したものだ。
感嘆するのは、ここにきてシリーズのビジュアルにさらなる磨きをかけたことだ。ブラックポリッシュされたチタン製ブリッジをはじめ、そもそもが贅沢な仕上げを多用して芸術性を高めた作品だが、今回はフロスト仕上げのチタン製地板をブラックに着色したことでコントラストが強まり、ムーブメントの建築的な構造美が一層際立っている。まさにラストを締めくくるにふさわしい特別な仕様だ。

通常の8倍にあたる16トンの圧力をかけ、コンヴェクスの複雑に湾曲したフォルムを見事にカーボンで成形。繊維の向きまで計算に入れながら、伝統の手仕上げを駆使し、実にスタイリッシュに仕上げている。手巻き。43石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。カーボン×Tiケース(直径41.5mm、厚さ12.85mm)。5気圧防水。世界限定50本。要価格問い合わせ。
「バランシエール コンヴェクス S² カーボン YOSHIDAスペシャル」も、21年発表の「バランシエール コンヴェクス S²」シリーズの掉尾を飾るものと言えよう。直径41.5mmのカーブしたケースと風防の内に、30度傾斜したテンプを特徴とするムーブメントを搭載した同シリーズは、当初チタン製ケースで登場。続いてカーボン製ケースがリリースされたが、これはそのうち日本の代理店であるYOSHIDAのスペシャルモデルとして23年から限定50本で発売されたものだ。
インラインとの違いは、パワーリザーブ表示をブルーとしてアクセントをつけていること。発売以来、クールなルックスと抜群の装着感もあり、よりスポーティーテイストなグルーベル・フォルセイを求める人たちに好評だ。

今年の5月には、シリーズの実質的なファイナルエディションとして、ブラックセラミックス製とホワイトセラミックス製モデルが、それぞれ限定11本で登場している。ブラックセラミックス製はすでに完売したが、ホワイトセラミックス製のみ、日本限定5本として、7月より順次YOSHIDAに入荷予定とのこと。
その革新性がどんなに絶賛されようとも、予定生産本数に達したら生産終了とし、二度と同じムーブメントを使用しない姿勢を貫くグルーベル・フォルセイ。今までに廃番となったキャリバーは25を数える。これは常にメゾンを進化させていくためには譲れぬポリシーなのだろう。
現実的に買えるかどうかはさておき、スーパーラグジュアリーの新たな地平を切り開いたタイムピースの生産終了を惜しむ人は多いはずだ。選ばれしコレクターは、未来の遺産となることが確実なこれら2シリーズの最終章を、ぜひグルーベル・フォルセイブティック 銀座にてチェックしてみてほしい。
メゾンの世界観を体現した唯一無二の空間

グルーベル・フォルセイ ブティック 銀座
住所/東京都中央区銀座4-3-10
営業時間/10:30~19:30
定休日/火曜(祝日を除く)
https://watch-yoshida.co.jp/greubelforsey_ginza



