シチズンから発表された「シリーズエイト」のGMTモデルを、手に取りやすい価格帯のGMTウォッチとだけ思い込んでいないだろうか? このモデルの見どころは、実は意外な高スペックにあるのだ。まずは売りのGMT機能。時針を動かす、いわゆるトラベラーGMTであることに加え、なんと30分刻みで設定することができる。加えて耐磁性能は1万6000A/mと、電磁波にまみれた日常生活で大いに活躍する。“ラグスポ”な見た目に目が行きがちな本作だが、そのムーブメント性能に注目したい。

[2026年6月17日掲載記事]
スペックが強い “真の”GMT機構搭載ウォッチ
いわゆる“真の”GMT機能(トラベラーGMT)を備えた腕時計は、長距離の旅において秒単位の精度を失うことなく、時針を素早く簡単にリセットすることを可能にする。目的地に到着したら、通常はリュウズを前後に回し、正しい現地時間を示すまで1時間単位で時針の位置を合わせるだけでよい。文字盤を24時間かけて1周するホームタイム用のGMT針は、元の位置を維持し、ホームタイムゾーンの時刻を示し続ける。

インド対応! GMT機構は30分単位のタイムゾーンにも対応可能
シチズンの「シリーズエイト」の「880 メカニカル」には、この実用的な第2時間帯表示機構が搭載されている。さらに、必要に応じてベゼルを左右どちらの方向にも回転させることで、第3のタイムゾーンの時刻を表示することも可能だ。これを容易にするため、ベゼルは48ステップのクリック式となっており、隣接するゾーンとの時差が1時間ではなく30分単位のタイムゾーン(インドやオーストラリア、カナダの一部地域など)の時刻表示にも対応している。
東京の街並みを映す一貫したデザイン

振動数は8振動(2万8800振動/時)のハイビートであり、日差マイナス10~プラス20秒/と比較的高い精度を実現した。数多のハイスペックを併せ持つ腕時計と言えるのではないだろうか? 自動巻き(Cal.9054)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41.0mm、厚さ13.5mm)。10気圧防水。22万円(税込み)。
シリーズエイトが復活を遂げたのは2021年のことであり、GMT機構を搭載した880 メカニカルは、同シリーズにおいて初めて第2時間帯表示を備えたものだ。そのデザインは、おなじみの配色のツートンカラーベゼル、多面的なケースとブレスレット、そしてポリッシュ仕上げとサテン仕上げのコントラストによって特徴付けられている。

自動巻き(Cal.9054)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41.0mm、厚さ13.5mm)。10気圧防水。22万円(税込み)。
黒文字盤(Ref.NB6031-56E)と、青文字盤(Ref.NB6030-59L)のふたつのスティールカラーケースのモデルは、日本で非常に人気のある市松模様を現代的に解釈したパターンで装飾されており、無数の様々な形をした窓が並ぶ東京のスカイラインを暗示している。

自動巻き(Cal.9054)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41.0mm、厚さ13.5mm)。10気圧防水。24万2000円(税込み)。
ゴールドカラーメッキが施されたモデル、Ref.NB6033-51Eにも要注目だ。このモデルでは2色のメッキが使い分けられ、見た目のメリハリ感を実現した。ベゼル、リュウズ、ケース側面、そしてブレスレットの中ゴマには、落ち着いたローズゴールドカラーを採用。他方のケースとブレスレットの残りの部分はイエローゴールドで仕上げるという作り分けがなされた。

「耐磁性能」と「パワーリザーブ」を強化した搭載ムーブメント
シースルー仕様のケースバックからは、シチズンの飯田殿岡工場で製造されたCal.9054を鑑賞することが可能だ。

シチズン傘下ミヨタのGMTムーブメントであるCal.9075と比べてみると、ムーブメントのパワーリザーブは約50時間、耐磁性能は4800A/mに対し1万6000A/mとアドバンテージを持つ。これは極端に強力な保護というわけではないが、一般的な電子機器から発生するような、中程度の磁場からは腕時計を効果的に守ってくれる。
このムーブメントには控えめな装飾仕上げが施されており、日差-10秒から+20秒の範囲に収まるよう工場で調整されている。そのため、このムーブメントは「信頼性の高い日常用ムーブメント」という、我々がシチズンに期待するものを、まさに体現していると言えるだろう。
日常に寄り添う忠実な相棒としての実用性
装着感に関して言えば、ケースは41.0mmという適度な大きさの直径を持ち、手首に向かって先細りになっているため、13.5mmというやや厚みのあるケース厚の難点を補っている。フラットで無反射コーティングが施されたサファイアクリスタル製風防が、文字盤のクリアな視界を確保しているのだ。
リュウズの溝は、針合わせやゼンマイの巻き上げ作業を容易にする。ふたつのプッシャーを備えた独自デザインのフォールディングクラスプにより、腕時計の着脱も快適である。ブレスレットはクラスプに向かって細くなっており、装着感をさらに高めているが、クイックエクステンション機構は備わっていない。その代わりに、着用者はフルサイズのコマと半サイズのコマを利用して、可能な限り最適な長さにブレスレットを調整する必要がある。

フル活用できる日常用時計にふさわしく、本作は10気圧防水を備えており、金属製のブレスレットが水に浸かっても悪影響を受けることはない。価格設定については、ステンレススティールの地をあらわにしたモデルが22万円(税込み)であり、ゴールドカラーメッキモデルが24万2000円(税込み)だ。



