時計の小型化はここ数年のトレンドであったが、長年待ち望んでいた「適度なサイズ感」を、一部の重要なモデルがようやく取り入れ始めたのは、つい最近のことだ。デザインに惚れ込んで試着してみたものの、屈強なハリウッドスターの腕にしか似合わないような特大サイズに落胆する……そんな時計愛好家の長年の悩みが、ついに解消されようとしているのだ。今年は、既存の名作たちが「数ミリのサイズダウン」という英断を下した注目作が目白押しである。たった数ミリの縮小がいかに決定的な違いを生み、絶妙なフィット感をもたらすのか。我々が待ち焦がれた理想のサイズへと到達した、5つの実例を紹介しよう。

[2026年8月5日掲載記事]
ついに理想の(小ぶりな)ケースサイズを手に入れた5つの新作時計
おそらく読者の皆様もこんな経験があるのではないだろうか。大いに引かれる腕時計があるのに、実際に試着してみると、ドウェイン・ジョンソンのような体格向けに作られているか、あるいは2010年代の「手首で誇示する男らしさ」を好む特大サイズのトレンドに合わせて作られていることが判明する、といった経験だ。
トレンドが逆の方向、時には極端な小型化へと振れている中でさえ、多くのブランドは「より適度なサイズを」という声に応えるのに、いささか遅れをとっていた。即座に修正できるものではないケースもあっただろうが、サイズ感や人間工学に再び焦点が当てられるようになったことは、我々にとっても喜ばしいことだ。
だからこそ、今年これまでに発表された注目すべき新作のいくつかは、「単なる」既存モデルのケース径縮小版なのである。しかし、これが実に決定的な違いを生み出す。もちろん、他の変更点が組み込まれているものもあるが、長年憧れていた腕時計をついに理想的なサイズで楽しむ機会を得られることは、多くの人にとってエキサイティングなことだろう。実際に実物を見て試着した結果、ついに「完璧」と呼びたくなるような実例を以下に紹介する。
ブルガリ「オクト フィニッシモ」:40mm → 37mm

自動巻き(Cal.BVF 100)。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径37.00mm、厚さ6.45mm)。3気圧防水。753万5000円(税込み)。
(中)ブルガリ「オクト フィニッシモ」Ref.104351
今回発表されたモデルのチタンの仕上げは、サテンとポリッシュを使い分けたものと、サンドブラスト仕上げの2種類だ。このモデルは前者の仕上げが施されている。自動巻き(Cal.BVF 100)。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径37.00mm、厚さ6.45mm)。3気圧防水。270万6000円(税込み)。2026年9月発売予定
(右)ブルガリ「オクト フィニッシモ」Ref.104089
こちらはサンドブラスト仕上げが施されたチタンをケースに採用している。自動巻き(Cal.BVF 100)。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径37.00mm、厚さ6.45mm)。3気圧防水。262万9000円(税込み)。(問)ブルガリ・ジャパン Tel.0120-030-142
ブルガリ「オクト フィニッシモ」の3mm分の小型化は、ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ 2026のハイライトのひとつであり、本記事のテーマを象徴する出来事であった。オクト フィニッシモは常に多方面で魅力的な腕時計であったが、その独特な形状ゆえに、手首の上ではスクエアウォッチと同程度の面積を占めることになり、結果として同径のラウンドウォッチよりも大きく感じられていた。
今回の小型化に伴い、新たなムーブメントが必要となり厚みが1mm増したが、それだけの価値は十分にある。ちなみに、このムーブメントは息を呑むほど美しい。そして、大きな話題を呼んだこの腕時計は現在、あなた(少なくとも多くの時計愛好家)が常に望んでいた通りのフィット感を手首にもたらしてくれるのだ。
フレデリック・コンスタント「クラシック ワールドタイマー マニュファクチュール」:42mm → 40mm

自動巻き(Cal.FC-719)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40.00mm、厚さ12.53mm)。5気圧防水。88万円(税込み)。(問)フレデリック・コンスタント相談室 Tel.0570-03-1988
他のフレデリック・コンスタント「マニュファクチュール」コレクションと同様に、このワールドタイマーは長年、スイス製の自社製ムーブメントを非常に競争力のある価格で提供しており、同カテゴリーにおいて最高のコストパフォーマンスを誇るモデルのひとつであった。

自動巻き(Cal.FC-719)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40.00mm、厚さ12.53mm)。5気圧防水。88万円(税込み)。(問)フレデリック・コンスタント相談室 Tel.0570-03-1988
同ブランドは長らく大きめのケース径に傾倒しており、特に42mmを好む傾向が見受けられた。しかしここ数年、率直に言ってこのようなクラシックなスタイルの腕時計にふさわしいサイズ感の新作を着実に発表し始めている。2024年にはムーンフェイズが42mmから40mmへ、昨年にはクラシック パーペチュアルカレンダーが小型化され、そして今回、ワールドタイマーが2mm縮小して40mmとなった。断言しよう。これこそが、あなたが待ち望んでいたフレデリック・コンスタントのワールドタイマーである。
A.ランゲ&ゾーネ「サクソニア・アニュアルカレンダー」:38.5mm → 36mm

自動巻き(Cal.L207.1)。56石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KPGケース(直径36.00mm、厚さ9.80mm)。3気圧防水。価格要問い合わせ。
A.ランゲ&ゾーネの「サクソニア・アニュアルカレンダー」は、以前の直径38.5mmでも、決して巨大だったわけでも、完璧からほど遠かったわけでもない。だが、今回の新作は間違いなく「より完璧」なものとなった。ケース径は36mmとなり、何十年も前によく見られたような、そして我々が再び広く普及することを願ってやまない、クラシカルなトリプルカレンダーウォッチを彷彿とさせる。

自動巻き(Cal.L207.1)。56石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KWGケース(直径36.00mm、厚さ9.80mm)。3気圧防水。価格要問い合わせ。
しかし、変わったのはケース径だけではない。以前のサクソニア・アニュアルカレンダーは、マイクロローターを備えたムーブメント「L085.1 SAX-O-MAT」を搭載していたが、新モデルの「L207.1」はフルローターを採用しつつも、同じ9.8mmの厚さを維持している。詳細については、こちらのリリース記事を参照されたい。
グランドセイコー「スプリングドライブ 300mダイバーズ ”潮(Ushio)”」:43.8mm → 40.8mm

(右)グランドセイコー「Evolution 9 Collection スプリングドライブ U.F.A. Ushio 300 Diver」Ref.SLGB025
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RB1)。33石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径40.8mm、厚さ12.9mm)。300m防水。165万円(税込み)。(問)セイコーウオッチ(株) お客様相談室(グランドセイコー) Tel.0120-302-617
かつて分厚いダイバーズウォッチで知られていたセイコーは、すでに扱いやすいサイズを求める市場の声に応えている。一方でグランドセイコーは、この動きに対してより慎重な姿勢を見せてきた。そして今回、ついに40.8mm径という、グランドセイコーのダイバーズウォッチとしてこれまでで最小となる新リファレンス、ブルー文字盤の「SLGB023」とグリーン文字盤の「SLGB025」が登場したのである。
これらは単なる既存モデルのマイナーチェンジではないかもしれないが、同ブランドのダイバーズウォッチはコレクション全体において直径43.8mm径であることが多く、重厚なプロポーションを特徴としてきた。これらの新作は、ブランドのおなじみのルックスを新しいケース径の領域へと持ち込み、まさに我々が40mmのダイバーズウォッチに期待し、望む通りの着用感を実現していると言えるだろう。軽量なチタン構造がその快適さをさらに高めている。詳細についてはこちらのリリース記事をお読みいただきたい。
レイモンド・ウェイル「ミレジム クロノグラフ」:39mm → 37mm

手巻き(バルジュー Cal.23-6)。18KWG×SSケース(直径37.00mm、厚さ10.75mm)。5気圧防水。209万円(税込み)。(問)ジーエムインターナショナル Tel.03-5828-9080
過去数年にわたる「ミレジム」コレクションの大きな成功を受け、レイモンド・ウェイルは2026年に創立半世紀の節目を迎える。この記念すべき年に、ブランド創業の年である1976年に製造されたオリジナル(手巻き)のバルジュー Cal.23-6を修復し、手作業による装飾を施して搭載した、特別かつ上質なミレジム クロノグラフだ。

4つのパーツで構成される文字盤も手作業で作られており、全体として見事な仕上がりとなっている。しかし、同じく注目すべきは、既存のミレジムのサイズ(35mmと39mm)のちょうど中間にあたる37mmに収まっており、多くの人の手首にとって理想的なフィット感をもたらすということだ。このサイズ感は、コレクション全体に波及していくことを我々に期待させるものである。



