毎年夏に、日本橋三越本店で開催される三越ワールドウォッチフェア。第29回を数える今回、初となる試みが用意された。この初開催の企画をはじめ、本フェアの見どころを紹介する。

A/ランゲ&ゾーネ ピアジェ

(左)ピアジェ「ピアジェ ポロ 79 ツートーン」Ref.G0A51150
1979年に誕生したスポーティーなエレガントウォッチを復刻。ダイアルからブレスレットまでツートーンで統一させたデザインが特徴だ。自動巻き(Cal.1200P1)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約37時間。18KYG×18KWGケース(直径38mm、厚さ7.45mm)。5気圧防水。1601万6000円(税込み)。
(右)A.ランゲ&ゾーネ「サクソニア・アニュアルカレンダー」Ref.331.033E
自動巻き(Cal.L207.1)。56石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KPGケース(直径36mm、厚さ9.8mm)。要価格問い合わせ。
岡村昌宏:写真
Photographs by Masahiro Okamura (CROSSOVER)
野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2026年7月31日公開記事]


8月5日より日本橋三越本店で第29回三越ワールドウォッチフェアがスタート!

 1904年、日本初の百貨店として、その歩みをスタートさせた日本橋三越本店。歴史あるこの地では毎年夏、時計愛好家が訪れるイベント、三越ワールドウォッチフェアが開催される。さまざまなブランドが常設される百貨店ならではの豊富な品揃えに加え、独自の企画力を生かした多彩な催しで多くの人々を楽しませてきたワールドウォッチフェア。第29回を数える今年も、新たな企画で多くの時計好きを待ち受けている。

 そこで今回は、2026年8月5日(水)から25日(火)までの3週間にわたって開催される三越ワールドウォッチフェアについて、その見どころを紹介したい。

日本橋三越の本館1階中央ホール

日本橋三越本店の本館1階 中央ホール。壮大な天女まごころ像がそびえる、ゆったりとした空間だ。今回のワールドウォッチフェアにおいても、ここが会場のひとつとなる。


幅広く「時計」を知る場に。ワールドウォッチフェアの見どころ

 今年のワールドウォッチフェアが掲げるテーマは、「変わる景色、変わらない想い」である。時計を取り巻く環境は、徐々に変わりつつある。しかし、長い歴史の中で脈々と受け継がれてきた文化や技術など、根幹となる想いは不変だ。今年は、常に革新と伝統の狭間で進化を続けてきた時計について、その理解を深めることのできる催しが多数用意されている。ディープな時計愛好家を満足させる内容であることはもちろん、これまで時計に触れてこなかった初心者にとっても、新たな発見に満ちた充実した時間を過ごすことができるに違いない。

 なお、本会期前となる7月15日(水)から8月4日(火)までは、プレ期間としてポップアップストアやワークショップなどが企画されている。ぜひプレ期間も含め、国内最大級の時計の祭典を楽しんでいただきたい。

天女像が立つ中央ホールが、まるでジュネーブに

 それではここから、本会期中の目玉についてお伝えしていきたい。まず注目すべきはその会場範囲だ。これまでは本館6階のウォッチギャラリーがメインであったが、今年はそれだけにとどまらず、本館1階の中央ホールやステージを使った盛大な催しが予定されている。中央ホールといえば、日本橋三越本店を象徴するエリアのひとつだ。大きな吹き抜けとなった中央には「まごころ」を表現した壮大な天女像がそびえ、時おり立ち止まった客が、パイプオルガンの音色に耳を澄ます。今年のワールドウォッチフェアは、ここから始まるのだ。

 8月5日(水)から18日(火)までの間、中央ホールで開催されるのは、ワールドウォッチフェア スペシャルエキシビションだ。これは、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026の出展ブランドをはじめ、TIME TO WATCHESや独立時計師アカデミー主催のマスターズ オブ オロロジーなど、ジュネーブ市内のさまざまなイベントに参加したブランドたちを集結させ、日本橋の地に世界基準の時計の祭典を再現するという試みだ。

ブライトリング クロノマット B01

ブライトリング「クロノマット B01 クロノグラフ42」Ref.UB0158101B1U1
2026年にリニューアルを遂げた、ブライトリングを代表する万能スポーツウォッチ「クロノマット」。よりコンパクトで洗練された印象へとアップデートされている。自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KRGケース(直径42mm、厚さ13.77mm)。200m防水。206万8000円(税込み)。

ゼニス G.F.J.

ゼニス「G.F.J.」Ref.30.1865.0135/56.C216
世界限定161本の稀少モデル。ブラッドストーン ジャスパーとマザー・オブ・パールを組み合わせた、グリーンダイアルが特徴だ。ムーブメントは、名機Cal.135を搭載している。手巻き(Cal.135)。22石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径39mm、厚さ10.5mm)。5気圧防水。世界限定161本。722万7000円(税込み)。

 出展ブランドは、A.ランゲ&ゾーネにピアジェ、ゼニス、ブライトリング、フレデリック・コンスタント、ユリス・ナルダン、フランク ミュラー、ボーム&メルシエ。2026年も注目度の高い新作を投入してきた各ブランド。それらを見比べることのできる、またとない機会である。

 さらに、過去のジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPHG)の受賞作が展示されるほか、スイス政府観光局やスイス時計協会FHとのコラボレーションによる、時計の学びや食、旅などをテーマとした企画も用意されている。

 GPHG受賞作は、ドイツのマイクロブランド、クドケが手掛ける3本の時針と扇状の開口部によって時刻を示す「クドケ3」や、手頃な価格帯とネオ・ヴィンテージのコンセプトによって注目されるレイモンド ウェイル「ミレジム」、1979年のモデルを復刻したスポーティーなエレガントウォッチ、ピアジェ「ピアジェ ポロ 79」、グレゴリオ暦における閏年の例外や超高精度なムーンフェイズを機械的にプログラムしたIWC「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」、ゼニスの傑作ムーブメントCal.135を復刻させた「G.F.J.」など錚々たる顔触れが並ぶ。

フランク ミュラー グランド セントラル トゥールビヨン レインボー

フランク ミュラー「グランド セントラル トゥールビヨン レインボー」
高度な時計製造技術と卓越したジュエリーセッティング技法が融合した、豪華なコンプリケーションウォッチ。文字盤中央にあるトゥールビヨンは、キャリッジ径17.7mmと、存在感を放っている。ミステリアスな時刻表示や約84時間のロングパワーリザーブを誇る自社製ムーブメントを搭載している。自動巻き。パワーリザーブ約84時間。18KPGケース(縦53.10×横36.0mm)。日常生活防水。4851万円(税込み)。

ユリス・ナルダン フリークX

ユリス・ナルダン「フリーク X ブルー」Ref.2323-500-3A/7A
直径41mmのコンパクトなケースを採用した「フリーク X」。中央には、ムーブメントそのものが回転し、針としての役割を果たすカルーセル機構が鎮座している。自動巻き(Cal.UN-232)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.60mm)。100m防水。SSブレスレット:676万5000円(税込み)。

ボーム&メルシエ リビエラ

ボーム&メルシエ「リビエラ」Ref.10845
シャープな十二角形のベゼルを備えた、ブレスレット一体型のスポーティーウォッチ。2026年新作では、1973年に登場した初代「リビエラ」を再解釈したデザインが与えられている。クォーツ。SSケース(直径39mm、厚さ7.65mm)。50m防水。28万4130円(税込み)。

フレデリック・コンスタント「クラシック ワールドタイマー マニュファクチュール」

フレデリック・コンスタント「クラシック ワールドタイマー マニュファクチュール」Ref.FC-719BLW3H6
世界地図をあしらった立体的なダイアルが魅力のワールドタイマー。外周には都市名と24時間表記が配され、世界の主要都市の時刻を容易に知ることができる。自動巻き(Cal.FC-719)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.53mm)。5気圧防水。88万円(税込み)。

IWC「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」

IWC「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」Ref.IW505701
2024年6月に「最も精密なムーンフェイズの腕時計」としてギネス世界記録に認定された、IWCの技術力を示すモデル。約4500万年にわずか1日のみの誤差しか生じない超高精度なダブルムーンフェイズを搭載している。自動巻き(Cal.52640)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約168時間。Ptケース(直径44.4mm、厚さ14.9mm)。5気圧防水。要価格問い合わせ。

過去の名作から現代の稀少なタイムピースまで。多彩なブランドの展示・販売

 このワールドウォッチフェアで、人とは違う自分だけの特別な1本を手に入れたいというユーザーにお勧めしたいのが、昨年も好評を博したヴィンテージストックや認定中古の販売だ。百貨店は基本的に、現行新品を取り扱うことが一般的だ。特に昨今、モデルチェンジや生産終了となったモデルが、そのアナウンスとともに一斉に店頭から姿を消すことも珍しくはない。

 しかし、ワールドウォッチフェアであれば、そのような稀少性の高い過去の名作を手にすることができるのだ。例えば、すでに生産終了となったゼニスの「パイロット タイプ20」は、同社のパイロットウォッチの歴史を物語るクラシカルなデザインが特徴だ。洗練されたデザインの現行「パイロット」コレクションとは、一味違った魅力を味わうことのできる1本なのである。認定中古においても、同様に今では入手困難となったモデルが並ぶ。保証や品質、メンテナンスなどの面で中古品に抵抗のあるユーザーも少なくないだろう。しかし、ブランドの正規サービスとして展開された認定中古であれば、安心して手に取ることができる。

ゼニス ペアウォッチ

ヴィンテージストックとして販売される予定のゼニス。クラシカルなパイロットウォッチである「パイロット タイプ20」(右)と、華やかなレディースウォッチ「スター 33MM フラワー」(左)だ。

 一方で、現行モデルの充実ぶりも見逃せない。普段から約60ブランドを取り揃えている日本橋三越本店のウォッチギャラリーだが、ワールドウォッチフェアの期間中はそこに、通常は取り扱っていないブランドも加わる。ジェラルド・チャールズやパルミジャーニ・フルリエ、アントワーヌ・プレジウソ、レゼルボワール、ジェイコブ&コーなど、通好みのブランドを見比べることのできる絶好の機会だ。時計本体だけではなく、ワインダーやウォッチケースなどを手掛けるウルフ(WOLF)の販売会も予定されている。

 さらに1階ステージでは、8月5日(水)から11日(火)まで、グランドセイコーの展示が企画されている。新作や限定モデルの展示をはじめ、ムーブメントの組立実演なども行われる予定だ。続く8月12日(水)から18日(火)までは、ヴァシュロン・コンスタンタン一色に染まり、新作やレアモデル、ヘリテージピースが展示される。

エルメス「エルメスH08 スケレット」

©Joël Von Allmen
エルメス「エルメスH08 スケレット」Ref.W408393WW00
スケルトン仕様のデザインが目を引く、「エルメスH08」の新作。視認性を確保しつつ、立体的なダイアルに仕上げている。自動巻き(Cal.H1978S)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(縦42×横39mm)。10気圧防水。346万5000円(税込み)。

パルミジャーニ・フルリエ トンダPF クロノグラフ ミステリューズ

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF クロノグラフ ミステリューズ」
一見してシンプルな3針ウォッチ。普段は時分針に隠れているクロノグラフ機能を使用する際には、7時30分位置のプッシュボタンを押下する。自動巻き(Cal.PF053)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×Ptケース(直径40mm、厚さ13mm)。100m防水。601万7000円(税込み)。

『クロノス日本版』編集長、副編集長も登壇。トークショー等のイベントが多数開催

 ワールドウォッチフェアといえば、トークショーをはじめとするイベントを楽しみにしているユーザーも多いのではないだろうか。『クロノス日本版』から編集長・広田雅将、副編集長・鈴木幸也が登壇する各トークショーのほか、さまざまなイベントが目白押しだ。

 まずはチャペックのザビエル・デ・ロックモーレルCEOによるトークショー。同社は、1845年に時計師であるフランソワ・チャペックが、スイス・ジュネーブに創業した高級時計ブランドだ。今回は、ブランド復活10周年の節目を飾るモデル、「タイムジャンパー」の発表を記念してロックモーレルCEOが来日し、2026年新作「アンタークティック・レヴェラシオン チタニウム コスミックブルー」と「アンタークティック・トゥールビヨン コスミックブルー」について語る。

 世界中の時計愛好家をうならせる日本のマイクロブランド、Naoya Hida&Co.創業者の飛田直哉氏と、ラグジュアリーライフスタイルマガジン『RAKE』によるトークショーも見逃せない。クワイエットラグジュアリーをテーマに、長年にわたって時計業界を見守ってきた飛田氏ならではの見識に満ちたトークを楽しむことができる。

 さらに、8月5日(水)の19時40分からは、時計メディアHODINKEE JAPANによるInstagramでのライブも予定されている。これからワールドウォッチフェアに訪れようとするユーザーにとっては、事前にイメージを膨らませることのできる絶好の機会だ。

広田雅将

『クロノス日本版』の編集長を務める広田雅将。スイスの時計ブランド「ルイ モネ」が展開する「TIME TO RACE」シリーズを軸に、ファッションディレクター大坪洋介氏とのクラシックカー文化と高級時計の世界観を横断的に語るトークショーが予定されている。

鈴木幸也

『クロノス日本版』の副編集長である鈴木幸也もトークショーに登壇する予定だ。対談相手は同じく時計専門誌『世界の腕時計』の編集長である香山知子氏。


日本橋三越本店で新たな「時計の発見」を

 第29回三越ワールドウォッチフェアも、これまでと同様に多くの時計愛好家を満足させるイベントとなるに違いない。時計の購入を検討している方にとっては、運命の1本に巡り合えるかもしれないヴィンテージストックや認定中古、さらには通常時には取り扱っていないブランドと比較することのできる貴重な機会となるはずだ。さらに、新作やGPHG受賞作の展示、トークショーをはじめ、見て聞いて楽しむことのできる企画が多数用意されている点も見逃せない。

 加えて、ディープな時計愛好家にとってはもちろん、これまで時計に興味を持ってこなかった人にとっても、新たな世界に足を踏み入れるきっかけを提供する場として、大いに意義のあるフェアと言える。1階の中央ホールは、日本橋三越本店を訪れる人の多くが通りかかるメインスポットだ。6階まで行かずとも、時計に接する機会を設けたことは、将来の時計愛好家を増やし、時計業界を盛り上げることにも寄与するだろう。

 間もなく始まる、年に一度の時計の祭典。新たな「時計の発見」に期待を寄せて、特別な3週間を全力で楽しもうではないか。

開催概要

【会期】
2026年8月5日(水)~8月25日(火)
【営業時間】
10時~19時※本館1階は19時30分まで
【会場】
日本橋三越本店 本館1階 ステージ・中央ホール/本館1階 宝飾、本館6階 ウォッチギャラリー/ジュエリーギャラリー
【問い合わせ】
日本橋三越本店 電話 03-3241-3311(大代表)
【特設サイト】
https://www.mistore.jp/shopping/event/nihombashi_e/world_watch_50



Contact info: 日本橋三越本店 Tel.03-3241-3311(大代表)


復活した「ピアジェ ポロ 79」にツートンモデルが登場。超薄型ムーブメントを搭載したスポーツウォッチ

FEATURES

2026年 A.ランゲ&ゾーネの新作時計を一挙紹介!

FEATURES

伝説的ムーブメント搭載モデルを拡充! 2026年のゼニスの新作時計を一挙紹介

FEATURES