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本田雅一、ウェアラブルデバイスを語る/第5回『wena wristという存在』(1/3)

本田雅一:文
Text by Masakazu Honda

テクノロジーの分野で、知らぬ人はいないほどのジャーナリストが、本田雅一氏だ。その本田氏が、腕に着ける装置「ウェアラブルデバイス」を語る。第5回目はディスプレイウォッチとは真逆の方向性で市場にアプローチをかける、ソニーのwena wristについてだ。

各社がとってきたそれぞれのアプローチ

 Apple Watch Series 3が発表されたとき、スマートウォッチを開発、販売するメーカーの数人から「やられた。これは独自路線がやりにくくなる」なんて話を聞いた。確かにApple Watchは過去にない成功を収めたディスプレイウォッチになったが、そんな同作でさえ良質なアプリの確保に苦心している点は、前回のコラムで指摘した通りだ。

 いきなり野暮ったい話で恐縮だが、面白そうなプラットフォームだからと開発者を引きつけたとしても、商売にならなければ長続きはしない。あるいは、アプリを作ったとしても力を入れてもらえない。“ランニング”という狭い世界ながら、深く掘り下げた機能でシェアを伸ばし、ハードウェアとセット販売することで収益性を高めているガーミンとの対比は興味深い。

 と、このあたりは連載の間が開いてしまった故の復習だが、ではガーミンほど掘り下げた特定用途のディスプレイウォッチを作ろうと思えば、それはそれで大変なことだ。大変なことではあるが、しかし難しいことに挑戦しているからこそ、消費者は製品を通じた新鮮な体験を他人に伝えたくなる。

 インターネットを通じ、さまざまな情報が交換される時代、個々のユーザーが体験する質を高めることでSNSを通じた拡散が連鎖し、新しいブランド価値、商品価値の伝播が発生する。ひとりひとりの力、伝播力はメディアの力より小さくとも、それが重なり合い、連鎖することで新商品の魅力が伝わっていく。

 Apple Watchはマスに対する圧倒的なブランドの力で、そのスマートウォッチとしての魅力を訴求し、ガーミンはランナーという限られたユーザー層に対して、最も優れた製品を出すことに集中した。両社はいずれもグローバルでのシェアで躍進したが、そのアプローチは異なる。

 しかし、デジタル業界の巨人であるアップルに、まったく別の視点、アプローチから挑戦したメーカーがもうひとつある。それはソニーだ。ソニーといえば、ソニーモバイルコミュニケーションズが発売したスマートウォッチも過去にあったが、それとはまったく別のプロジェクトから生まれた製品である。

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