特筆すべきカムフラージュ・ウォッチ 6選

FEATUREWatchTime
2019.11.11

 最近のカムフラージュ柄は、屋外活動のためだけでなく、トレンドとしてその領域を広げ、腕時計のデザインの選択肢のひとつにもなってきた。ストラップと文字盤の両方に見られるこのミリタリーテイストの色合いは、今までであれば高級志向のウォッチメイキングの世界とは結びつかないはずだった。
 しかし現在では、ミリタリーテイストと洒落たスタイルの境界が交錯するデザインを探す者にとって、魅力的な外観を持つものとして進化を遂げたのである。カムフラージュを採用するブランドは次から次へと増えていき、時計業界という森の中で迷ってしまいそうなほどである。そこで今回は、過去数年に発表された中から、特筆すべき6モデルを紹介する。

Text by Logan R.Baker

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア・クロノグラフ」

 2018年のSIHHでオーデマ ピゲは、多くの新作を発表した。中でも特に注目を集めたのが、カムフラージュのストラップ、カーキグリーンのセラミックベゼル、それにベージュの文字盤を合わせた「ロイヤル オーク オフショア・クロノグラフ」である。ストラップは完全にカムフラージュの外観であるが、そこにベゼルと文字盤のコンビネーションが特に際立っている。ベージュのカラーからクリーミーなカリスマ性が時計全体ににじみ出ていて、それがなめらかにブラウンのサブダイアルと森のようなグリーンのベゼルと調和しているのである。

ロイヤル オーク オフショア・クロノグラフ

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア・クロノグラフ」。自動巻き(Cal.3126/3840)。59石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径44mm、厚さ14.4mm)。100m防水。ラバーストラップ。351万円(税別)。㉄オーデマ ピゲ ジャパン ℡03-6830-0000


ベル&ロス「BR 03-92 ブラック カモ」

 ベル&ロスはカムフラージュレースの中で、2007年からブランドのラインナップの中心に、この特徴を打ち出してきた先駆者的な存在である。最新作は2017年夏に発表された「BR 03-92 ブラック カモ」である。ダークな文字盤には、マットなグレートーンのパッチワークで構成された、ステルス作戦に携わるエリート士官によって使われたのと同じようなミリタリーテイストのトリカラーコーティングを、独自に開発して採用している。マット仕上げの42mm径ブラックセラミックス製ケースを持つ時計は、暗闇ではほとんど感知されず、また光を反射することもないため、これもまた実際の作戦で役立つ要素のひとつである。セラミックスケース素材の採用には他の実用的な理由もある。全体的にほとんど傷がつきにくく、ステンレススティールより軽いにもかかわらず耐久性に優れ、アレルギーを起こしにくく、世界の中でも特に気温の高い戦闘地域で着用するのにも耐えうる耐熱性を持っているからである。100m防水のケースの中には自動巻きムーブメントBR-CAL.302(ETA2892-A2ベース)が時、分、センターセコンドそしてデイト表示というミッションをこなしている。完全に巻き上げた状態で約40時間のパワーリザーブを保持する。この時計にはブラックラバーストラップまたは「ウルトラ・レシリエント」ブラックファブリックストラップにブラックのPVD加工が施されたステンレススティールのピンバックルが付属する。

BR 03-92 ブラック カモ

ベル&ロス「BR 03-92 ブラック カモ」。自動巻き(BR-CAL.302/ETA2892-A2ベース)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。セラミックス(直径42mm、厚さ10.5mm)。100m防水。ブラックラバーストラップ。52万円(税別)。㉄オールブルー ℡03-5977-7759


グラハム「クロノファイター・ブラックアロー」

 2016年に最初にバーゼルワールドで発表された、グラハムの「クロノファイター・ブラックアロー」はクロノファイターコレクションにミリタリーテイストの要素を加えた派生モデルだ。ブルー、グレー、ベージュそしてグリーンの4色展開となっており、文字盤外周にはテレメーター表示を備える。テレメーターとは、観察者と対象との間の距離を音速で測るものであり、本モデルは、時間と日付だけを確認する時計に比べ、実用的な機能を搭載している。47mm径のケースにセラミックスベゼルを合わせ、6時位置に30分積算計を備える。内部には、約48時間のパワーリザーブを持つムーブメントを搭載。

クロノファイター・ブラックアロー

グラハム「クロノファイター・ブラックアロー」。自動巻き(Cal.G1747)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。PVD加工SS(直径47mm)。100m防水。キャンバスファブリックストラップ。83万円(税別)。㉄DKSHジャパン ℡03-5441-4515


タグ・ホイヤー「アクアレーサー キャリバー5 カモフラージュ」

 2017年にタグ・ホイヤーは、ブルー&グレーカラーのカムフラージュ文字盤を搭載したアクアレーサーを発表した。300mの防水性能を備え、自動巻きムーブメントのキャリバー5を搭載、43mm径ブラックPVD加工のチタン製ケースに反射防止加工を施したサファイアクリスタル製のフラットな風防が採用されている。落ち着いたスタイルとミリタリーテイストを融合させているブルー&グレーカラーの文字盤は、時計好きの冒険の友として最適であろう。

アクアレーサー キャリバー5 カモフラージュ

タグ・ホイヤー「アクアレーサー キャリバー5 カモフラージュ」。自動巻き(Cal.5)。25または26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。Ti(直径43mm)。300m防水。NATOストラップ。30万5000円(税別)。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー ℡03-5635-7054


アノーニモ「ミリターレ・アルピーニ カモフラージュ」

 2017年、アノーニモはミリターレ・アルピーニにふたつのカムフラージュモデルを追加。文字盤がブラウンまたはカーキグリーンの2色展開であり、ギヨシェパターンがミリタリーテイストの外観にアクセントを加えている。43mm径の時計は一目で分かるアノーニモのミリターレ仕様で、12時位置のリュウズは特許取得のプロテクターで守られており、12時、4時、8時のアワーマーカーは大きく表示され、アルピーニの頭文字Aをかたどっている。時計の内部には、セリタSW260-1自動巻きムーブメントが搭載される。パワーリザーブは約38時間。ステンレススティール製ケースバックには、イタリアとスイスにまたがるマッターホルンのイメージが配される。ブラウンとカーキグリーンのいずれも97本の限定モデルだ。

ミリターレ・アルピーニ カモフラージュ

アノーニモ「ミリターレ・アルピーニ カモフラージュ」。自動巻き(セリタCal.SW260-1)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。ブロンズ(直径43mm、厚さ14.50mm)。120m防水。カーフストラップ。国内未入荷。㉄ユーロパッション ℡03-5295-0411


ジン「U1カムフラージュ」

 今回のリストで唯一のドイツブランド、ジンは2016年にU1カムフラージュを500本限定で発表している。時計全体がビーズブラスト仕上げのドイツの潜水艦の鋼鉄Uボート・スティールで出来ており、1000mの防水性を持つ。ベゼルは特許取得の金属硬化技術であるテギメントを用いて硬化されており、傷がつきにくいようになっている。44mm径の時計には、グリーンシリコンのストラップが合わせられ、スペアのオリーブテキスタイルストラップも付属する。

U1カムフラージュ

ジン「U1カムフラージュ」。自動巻き(セリタCal.SW200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。Uボート・スチール(直径44mm、厚さ14.3mm)。1000m防水。シリコンストラップ(ナイロンストラップ付属)。36万円(税別)。㉄ホッタ ℡03-6226-4715