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ラドー・フロンティア ハイテクセラミックスの創造者(1/3)

ラドー・フロンティア

ラドーが、工業用素材であったハイテクセラミックスを腕時計の外装に採用したのは、1986年のことであった。
だが、ラドーは、この素材を腕時計に採用した、まさにその最初から現在に至るまで、常に、ハイテクセラミックスの創造者であり、革新者であり続ける。ラドーが生み出すハイテクセラミックスのいったい何が他社と異なるのか? その最新情報を製造現場の最前線から報告する。


ラドーのハイテクセラミックスの製造を担うスウォッチ グループ傘下のコマデュール。その炉の中で焼結されたセラモス製のケース。セラミックスの特性と金属の見た目を持つセラモス。そのローズゴールドカラーは、同社が約10年の歳月をかけて完成度を高めてきた最新成果である。
鈴木幸也(本誌):取材・文 Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)


The Latest Frontiers of High-Tech Ceramic Created by RADO

ラドー ダイヤマスター セラモス™ オートマティック
90%のハイテクセラミックスと10%の金属合金を焼結したセラモスをケース素材に採用。傷がつきにくく、いつまでも当初の美観を維持できるハイテクセラミックスの特性と、ローズゴールドのような貴金属の輝きを併せ持つ。自動巻き。2万5200振動/時。パワーリザーブ約64時間。セラモス(直径41.0mm、厚さ8.3mm)。5 気圧防水。24万円。

セラモス製のケースはモノブロックのため、ムーブメントを固定する金属製のインナーケースは搭載されていない。結果、いっそうの薄型化と軽量化が可能になった。精密な可動式の複合鋳型を用いたインジェクションによって成型されるため、複雑なケース形状が可能になった。

ラドー ダイヤマスター プチ セコンド オートマティック コスク
スイスクロノメーター検定協会によるC.O.S.C.認定を受けたムーブメントは、シリコン製のヒゲゼンマイを採用するため、高精度な上、磁力の影響を受けにくく、精度を維持できる。自動巻き(ETACal.C07.881)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。プラズマハイテクセラミックス(直径43.0mm、厚さ12.3mm)。5気圧防水。24万5000円。

ケース素材には金属のような質感と光沢を持つプラズマハイテクセラミックスを採用する。この素材は、当初は白いセラミックスである酸化ジルコニウムを水素とメタンガスとともに、プラズマによって2万℃に熱することで、表層部の酸素原子を炭素原子に置き換え、炭化ジルコニウムに変化させることで実現した。


 2018年のラドーのトピックは、何といっても、ローズゴールドカラーに彩られたセラモスである。ラドーでは、1993年に初めてこの素材をシントラに採用した。2011年には、それまで困難であったインジェクション(射出成型)によって成型する技術を開発し、ラドーは「セラモス」と命名し、商標登録した。それまでは、正方形や長方形などのシンプルな形状しかできなかったセラミックスに、丸型や楕円型、加えてファセットまで可能にし、デザインの可能性を大きく切り開いたのだ。

 11年の時点でインジェクションは可能になったものの、最終段階において最小限の切削はまだ必要であった。その後、技術開発は続けられ、精密な型の開発によって、今ではセラモスにおいてモノブロックケースを成型できるまでになった。結果、金属製のインナーケースを使用する必要がなくなり、一層時計を軽量化することができた。18年には、そのモノブロックケースをダイヤマスターに採用し、かつ約10年かけて開発・進化させてきたローズゴールドカラーのセラモスをこのモデルに投入した。上のラドー ダイヤマスター セラモス™オートマティックは、現在のラドーが持てる最先端技術が投入された最新機なのだ。ゴールドと見紛う美観を備えつつも、セラミックスの利点である傷つきにくさと軽さを併せ持つ。このふたつの利点は、傷つきやすく、重いゴールドにとっては最大の弱点であるから、セラモスの優位性が一層際立つ。

 今や、このセラモスの製造技術がすべて内製化されたことも特筆しておく。以降、ラドーが誇るハイテクセラミックスの最先端技術を製造現場から詳述する。

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