ARNOLD & SON 「HM パーペチュアル・ムーン」

FEATURE本誌記事
2019.08.12

巨大かつ高精度なムーンフェイズシステムを搭載する HM パーペチュアル・ムーン。その新作として星空に見立てたアベンチュリンダイアルモデルが発売された。

HM パーペチュアル・ムーン

HM パーペチュアル・ムーン
満天の星に見立てたアベンチュリンダイアルが美しい1本。そのため、新月時も含め、朔望月を楽しめる。コンセプトを考えると同モデルとアベンチュリンの組み合わせは相性が良いが、残念ながら限定販売。手巻き(Cal.A&S1512)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。18KRG(直径42mm、厚さ11.43mm)。3気圧防水。世界限定28本。384万円。
Photographs by Masanori Yoshie
Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)

アベンチュリンが演出する腕上の星月夜

 ムーブメントとほぼ同寸という大型のムーンディスクを搭載するHMパーペチュアル・ムーン。ムーンフェイズウォッチの中でも随一の迫力を有し、時計愛好家からも高い支持を得ている同作に待望の新作が追加された。それが星空を連想させるアベンチュリンをダイアルに使用した限定モデルだ。

 HM パーペチュアル・ムーンを端的に言えば、審美性と使い勝手の両面を突き詰めたムーンフェイズウォッチだ。前者は言うまでもなく、手彫りの型に18Kゴールドを流し込むことでクレーターまで再現したリアルな月や、ギヨシェが施されたムーンディスクによって実現している。

 対する後者は、約122年で1日の誤差という高精度のムーンフェイズ表示を誇っているところが大きい。だが、ムーンフェイズ表示を長期間調整する必要がない精度を持っていても、時計自体が止まってしまったら意味がない。そのため同作ではツインバレルとすることで、約90時間ものロングパワーリザーブを得ている。また、いくらムーンフェイズの精度が高くても、正確にディスクの位置を合わせられなくては意味がない。そのため、HM パーペチュアル・ムーンではムーブメントに設定用の第2ムーンフェイズ・インジケーターを設けた。これらによって高い使い勝手を得るに至ったのだ。

 一見、隙のない同作にもムーンフェイズならではの弱点が存在する。ディスク上の月を存分に楽しめない期間が新月の前後1週間ほど発生してしまうのだ。しかし、ダイアルを星空に見立てるアベンチュリンを採用したことで、この問題も解消された。新月でも同素材が輝きを放つため、月の出ていない夜に星が輝く、〝星月夜〞を楽しませてくれるのである。

Cal.A&S1512

針の付いている部分が月齢表示調整用インジケーター。針を新月に合わせ、直近の新月を調べ、そこから経過した日数分を進めて文字盤側の月齢表示をセットする。通常のムーンフェイズウォッチに比べ、より正確に設定が可能だ。


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