特筆すべきダイバーズウォッチ8選

FEATUREWatchTime
2021.05.03

オリス

 オリスの“非営利団体による世界の海の浄化・保護・再生”を目的としたオーシャンズプロジェクトは、「グレートバリアリーフ リミテッドエディションIII」と「クリーンオーシャン リミテッドエディション」という、海洋保護を目的とした2つのモデルからスタートした。またその後、3つのモデルからなる“オーシャントリロジー”の一部としてのみ販売される、希少性の高い「ブルーホエール リミテッドエディション」により、そのピークを迎えることとなった。

 オリスの「アクイス」をベースとしたブルーホエールは、大振りの45.5㎜径のケースを持ち、500mの防水性を特徴とする。ラチェット式の逆回転防止機能付きダイバーズベゼルは、アクアブルーのセラミック製。同様にアクアブルーのグラデーションが施され、3時・6時・9時位置にクロノグラフのサブダイアルが配され、その文字盤外周を美麗なブルーベゼルが取り囲む布陣となっている。この文字盤のデザインは、「アクイス」のクロノグラフでは初の採用となるもの。ソリッドケースバックにはクジラがエングレービングされており、その内側にてセリタSW500-1をベースとしたオリスのキャリバー771がビートを刻む構成だ。ちなみにこのモデルの売上は、絶滅の危機に瀕するクジラとイルカの保護に充てられている。

ブルーホエール リミテッドエディション

オリス「ブルーホエール リミテッドエディション」
自動巻き(Cal.Oris771)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径45.5mm)。500m防水。


パネライ

 パネライの「ルミノール」コレクションから派生した、堅牢かつ男性的なダイバーズウォッチとして人気を博す「サブマーシブル」。2019年のSIHHで発表された完成度の高いその新作は、このリストをまとめる上で見逃せないモデルとなった。なかでも47㎜径、300m防水機能を持つ「サブマーシブル マイク・ホーン リミテッドエディション」は、特許取得のリュウズプロテクターや回転式ダイバーズベゼルに加え、エコチタニウム製のエングレービングが施されたケースバックなど、特徴ある要素を数多く備えている。

 エコチタニウムはパネライが時計業界にもたらした新素材であり、100%リサイクルされたチタンを原料とする。“Panerai SubmersibleとAutomatic 300m/1000ft”の文字は、ドーム型サファイアクリスタル製風防にシルクスクリーン・プリントにて配されており、水中での視認性はブラック文字盤にたっぷりと塗布されたスーパールミノバによって確保されている。“Automatic”の文字はもちろんパネライの自社製自動巻きキャリバー「P9010」を意味し、双方向回転のローター、3日間のパワーリザーブ機能を備えている。ストラップもケース同様、環境に優しいリサイクルされたPET樹脂を使用。

サブマーシブル マイク・ホーン リミテッドエディション

パネライ「サブマーシブル マイク・ホーン リミテッドエディション」
自動巻き(Cal.P9010)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ti(直径47mm)。300m防水。完売。


ロレックス

 ロレックスは“オイスタースチール”と、18Kイエローゴールドを組み合わせたロレゾール製の新作を2019年のバーゼルワールドで投入した。それにより最も高い堅牢性を持ち、よりダイバーズに特化したモデルとして君臨する「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」に、ラグジュアリーなエッセンスを追加することに成功。つまり「シードゥエラー」では初の、イエローゴールドの採用となったのだ。シードゥエラーでは初めてイエローゴールドが回転式ダイバーベゼルやねじ込み式リュウズ、オイスターブレスレットのセンターのコマに使われるだけでなく、1967年のオリジナルモデルで使われていたレッドがイエローゴールドに差し替えられているところも特徴だ。

 深海に赴くプロフェッショナルダイバーのための、ツールウォッチとして開発されたいくつかの特徴のなかに、ロレックスが特許を取得しているヘリウムエスケープバルブも今回の新作には含まれている。43㎜径のケースにはキズに強いサファイアクリスタル製風防が合わせられ、馴染み深いサイクロプスレンズが3時位置に設けられている。搭載する機械はロレックスの自社製ムーブメントであるキャリバー3235。ロレックスが特許を取得している耐磁機構であるクロナジーエスケープメントが組み込まれている。

シードゥエラー ロレゾール

ロレックス「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」
自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KYG(直径43mm)。1220m防水。153万円(税別)。


チューダー

 最も話題にのぼるだけでなく、同時に議論も呼んだチューダーの2019年新作は、そのプロトタイプが1967年に、アメリカ海軍のダイバーズウォッチとして設計されるなどの歴史的背景を持つ「ブラックベイ P01」である。オリジナルモデルのP01(Prototype1の意)は“コマンド”と呼ばれ、アメリカ海軍が別のチューダー製ダイバーズウォッチRef.7016を採用したため、量産されずに消えていった幻のモデルだ。

 注目の新作は4時位置にあるねじ込み式リュウズに加え、1968年特許取得のベゼルロック機構を設けたヒンジのエンドピースなど、ダイバーズウォッチとセイリングウォッチの要素を兼ね備えるところなど、歴史に埋もれてしまったP01を想起させる仕上がりがひとつの特徴だ。またオリジナルモデルでは、手入れを容易にする意図から取り外し可能なベゼルが採用されていたが、そのような設計が新作でも自由に取り入れられ、12時位置のモバイルリンクが双方向回転のダイバーズベゼルの固定用として用いられている。文字盤には「ブラックベイ」シリーズに見られるヴィンテージ調“スノーフレーク”針が採用され、ムーブメントはチューダーによる自社製クロノメーター取得のキャリバーMT5612を搭載し、約70時間のパワーリザーブを保持している。

ブラックベイ P01

チューダー「ブラックベイ P01」
自動巻き(MT5612)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径42mm)。200m防水。38万8000円(税別)。


彩り豊かな現行ダイバーズウォッチ8本を紹介

https://www.webchronos.net/features/60284/
ロレックス オイスター パーペチュアルの魅力とは。歴史と現行モデル

https://www.webchronos.net/features/53866/
海軍由来パネライの看板「ルミノール」を解説。主要モデルと選び方

https://www.webchronos.net/features/52700/