クロノス日本版編集長 広田雅将
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独立時計師 菊野昌宏
独立時計師 菊野昌宏
1983年北海道生まれ。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。2005年に自衛隊除隊後、ヒコ・みづのジュエリーカレッジに入学して時計づくりを学ぶ。卒業後も研修生として自身の作品を製作。同校講師を経て2012年に独立。2011年、スイスの独立時計師協会(AHCI)に日本人で初めて準会員として入会。世界最大の宝飾と時計の見本市「バーゼル・ワールド」に初出展。2013年、AHCI正会員。
https://www.masahirokikuno.jp/
1983年北海道生まれ。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。2005年に自衛隊除隊後、ヒコ・みづのジュエリーカレッジに入学して時計づくりを学ぶ。卒業後も研修生として自身の作品を製作。同校講師を経て2012年に独立。2011年、スイスの独立時計師協会(AHCI)に日本人で初めて準会員として入会。世界最大の宝飾と時計の見本市「バーゼル・ワールド」に初出展。2013年、AHCI正会員。
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第3回「今までにない画期的な腕時計を模索中」
広田:菊野さんのような、自らの手を使って時計を作っている作り手が、現代における機械式時計の意味についてどのように考えているかはとても興味深いです。
菊野:機械式時計がある意味とか、ずっと考えてはいましたが、ようやくちゃんと言葉にできるようになった感じですね。機械式時計の魅力って、科学と哲学が融合しているものであることだと思います。科学という観点で見た時計は、クオーツ時計でほぼ完成していると思います。たとえば、1,000円であんなに正確でクオリティも高いものが手に入る。これってもの作りの究極。効率や合理性を求めた時に、こんな製品はないですよね。一方でこうした科学の推移や進化に対して、今の人たちは感動しないじゃないですか。1,000円で買えるものなんて大したものじゃないよと。その科学で埋められない哲学の部分、そこがまさに手作業で時計を作る意味ではないでしょうか。だからクオーツが出た後に、あえて機械式時計に戻ろうという流れは、科学では説明はできない、哲学の世界だと思うんですよ。
広田:その考え方は一貫しているというか、ブレがないですね。僕個人は、手作業で作ることに関しては、やれることは機械でやればいいじゃんと思っている。でも菊野さんの場合は筋が通っている。話を聞いていて「あぁ、なるほどな」と正直思いました。
詳細は三越WORLD WATCH GALLERYにて掲載中