【インタビュー】モンブラン インターナショナルCEO「ニコラ・バレツキー」

FEATURE本誌記事
2020.07.29
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

高級消費財に異なる評価を持ち始めた愛好家への回答

そもそも 『クロノス日本版』 でも評価の高かったモンブラン。手の届く価格帯で魅力的な時計を作るという方向性は、昨年のコレクション整理でいっそう明確になった。あまりにも多すぎたラインナップを4つに絞り、分かりやすくカテゴライズしたのである。指揮したのは2017年にCEOとなったニコラ・バレツキーだ。

ニコラ・バレツキー

ニコラ・バレツキー
モンブラン インターナショナルCEO。1970年、フランス生まれ。HEC経営大学院を卒業後、シンガポールのカルティエでマーケティングディレクターとなる。本社国際部門の責任者となった後、2002年にジャガー・ルクルトへ転籍。13年にはモンブランのセールス担当副社長に抜擢され、17年4月より現職。「今後目指すべきは、デジタル戦略を再考して、本物で刺激的であると感じるような体験を提供できるように模索すること」。

「明確なセグメンテーションは当社の柱です。12のコレクションを4つに集約することで各ラインをモンブランの定番に変えることができます。加えて今年は、ミネルバの遺産にインスピレーションを受けました」

彼が言うミネルバのインスピレーションを最もよく体現したのが、1858コレクションだろう。 モンブランの位置付けでは、これはスポーツかつヴィンテージになる。

「2019年、私たちはグリーンの時計で表現された周囲の世界や自然と再びつながることを呼びかけました。今年は登山家が遠征中に遭遇する氷河や雪山からインスピレーションを得た新色のブルーを加えました。ジオスフェールの新作は氷河と雪山がいただく氷の色から着想を得たものです」

もっとも、着想がうまくとも、製品が練られていなければ支持は得られない。モンブランの巧妙さは、青を打ち出すにあたって、わざわざ夜光塗料の色を従来のグリーンからブルーに変えたことからも分かる。

「ミネルバは説得力のあるストーリーを持っていますが、その遺産だけに頼るのではなく、他の方法で既存の時計愛好家と新しい顧客に関わろうと努めています。遺産と新しい技術革新、ヴィンテージと今のデザイン表現を組み替えて、さまざまな方向でつながりを築いています」

彼が強調した通り、モンブランは時計愛好家を積極的につなぎ留めるようになった。時計好きがうなるようなディテール、例えば青い夜光などは、そういった試みがもたらしたといえるだろう。

「時計愛好家やラグジュアリーショッパーは、高級消費財に対する異なる評価を持ち始めたようです。彼らは、ブランドと自分が互いに相乗効果を生むことを期待するようになりました。そこで私たちは、顧客や愛好家との会話からもたらされる確実でヒントに満ちた相互作用を、クリエイティブな方法で時計作りに反映させようと模索しています」 。彼らしい慎重な物言いだが、モンブランは愛好家に対して、いっそうコミットする、という表明だろう。

正直筆者は、モンブランがミネルバの扱いをどうするのか疑問に思っていた。しかし、最近の新製品が示す通り、その方向性はいよいよ明確だ。単なる復刻ではなく、その良さを盛り込んだ現在の時計。この路線が続くことを強く期待したい。


モンブラン 1858 オートマティック 24H

モンブラン モンブラン 1858 オートマティック 24H
モンブランの提案する新しいスポーツウォッチ。ジオスフェール譲りの発光する北半球の地図に、24時間表示の1本針というユニークなデザインを持つ。価格も実に戦略的だ。実物は未見だが、非常に魅力的な時計だ。自動巻き(Cal.MB 24.20)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS×ブロンズ合金(直径42mm、厚さ11.2mm)。10気圧防水。33万円。


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