40代の大人におすすめしたいグランドセイコー。洗練された名機5選を紹介

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2024.03.06

国内外の時計市場でますます存在感を高めていくグランドセイコーは、日本が誇る時計ブランドだ。40代を迎え、公私ともに若い頃とはポジションやライフスタイルが変わった男性に、ぜひおすすめしたい。本記事では、そんな40代に向けて、グランドセイコーの洗練された名機5選を紹介する。


セイコーから分離。世界へ挑むグランドセイコー

ブランド誕生から60周年を経て、グランドセイコーの勢いは増し続けている。とりわけ2017年にセイコーから独立して以降は、グローバル化とラグジュアリー化を推し進めることで、国内外の時計市場でプレゼンスを高めていった。40代の大人の男性がグランドセイコーをより深く理解するために、独立の経緯や歴史的に強みとしてきたムーブメントについて紹介しよう。

スイスの高級時計と並び称される国産時計

初代グランドセイコー""

1960年に発売された初代グランドセイコー。その無駄のないデザインと高い品質を追求する姿勢は、現在まで引き継がれている。

1961年の腕時計の輸入自由化を控えた60年、初代グランドセイコーはスイス製高級腕時計に比肩する国産最高級腕時計を目指して誕生した。

スイス・クロノメーター検定優秀級相当の精度を備えた初代モデル以降、抜群の高精度と信頼性を誇るムーブメントと腕時計を立て続けに発表し、日本発のマニュファクチュールとして国際的な評価を高めていく。

2017年には、セイコーから独立。ダイアル12時位置にあった「SEIKO」ロゴも「Grand Seiko」に統一された。これはブランド認知をより高め、2010年に始まった海外進出をより加速させる意思表明でもある。

ムーブメントはクォーツ・機械式・スプリングドライブの3種

グランドセイコーは「9F クォーツ」「9S メカニカル(機械式)」「9R スプリングドライブ」という3種類の駆動方式を使い分ける。

9Fクォーツは、クォーツの弱点であったトルクの弱さを克服。ツインパルス制御モーターの搭載により、省エネルギーながら機械式のように太い針を動かせる仕様となった。精度は年差±10秒で、クォーツとしては珍しい精度調整用の緩急スイッチも備える。

9S メカニカルは、最大約80時間のパワーリザーブや毎時3万6000振動のハイビートなどが特徴だ。高精度の実現のために、ムーブメントの心臓部である脱進機のパーツには先端技術のMEMS製法を採用。0.001mm単位の精度で加工されている。

9R スプリングドライブは、主ゼンマイによる大きなトルクとIC・水晶振動子による高精度を両立した、グランドセイコーのみが製造する新機軸のムーブメントである。なお、携帯精度は平均月差±10~15秒ほどだ。


40代の男性にグランドセイコーをおすすめする理由

40代男性の腕時計選びで重要なのは、年齢や社会的地位に見合った選択、あるいは目的に合った実用性を見極めることだ。グランドセイコーの性質が40代にふさわしい理由を見ていこう。

機能性が高く実用的

腕時計の実用性は、精度・パワーリザーブ・視認性・着用感に大きく左右される。

9F クォーツや9R スプリングドライブは前述のとおり高精度で、9S メカニカルもスイス公式クロノメーター検定協会(C.O.S.C.)基準を上回る「新GS規格」をクリアする。また、モデルにもよるが、9S メカニカルのパワーリザーブは約50時間〜、9R スプリングドライブは約72時間〜(約8日間のモデルも!)だ。なお、9F クォーツでは約3年間、電池交換の必要がない。

搭載する複雑機構はクロノグラフやGMTなどがメインで、無駄のないデザインで視認性は良好だ。ブレスレットは取り回しがよく、総合的に日常的な実用性の高さが目指されている。

高級感のあるデザイン性

44GS

グランドセイコーのデザインコード「セイコースタイル」の礎を築いた、1967年発売の「44GS」。

グランドセイコー独自のデザインは、1967年に発売された「44GS」によって「セイコースタイル」として確立されている。

ゆがみやねじれのない平面を基調とし、インデックスや針の配置・サイズ・角度が光と影を適切にコントロールするため、洗練されたスタイルと良好な視認性が得られるのだ。

ケースは「ザラツ研磨」による下地処理の後に鏡面仕上げを施し、インデックスと針にも多面カットが採用される。

優れたコストパーフォーマンス

グランドセイコーは2017年以降、100万円から時には数百万円に及ぶ高級モデルを拡充させているが、30〜80万円台ほどの中価格帯のモデルも多い。

ムーブメントの機能性や品質は高く、ビジネスシーンに映える高級感のあるデザイン性も備えるため、むしろ今までが安すぎたという見方もできる。

価格帯のシフトや海外市場からの評価でステータス性が向上することも想定されるため、比較的手に入れやすいモデルは狙い目とも考えられるだろう。


40代の男性におすすめのモデル5選

趣味としての腕時計ならば好みのモデルをチョイスすればよいが、着用シーンなどの条件によってフォーカスを絞るなら、選ぶべきモデルは限定される。40代の男性に相性がよいモデル5選を紹介しよう。

シンプルでバランスのいい「ヘリテージコレクション」Ref.SBGR315

SBGR315

グランドセイコー「ヘリテージコレクション」Ref.SBGR315
自動巻き(Cal.9S65)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。58万3000円(税込み)。

「ヘリテージコレクション」Ref.SBGR315は、シンプルで飽きのこないデザインとムーブメントの高機能性を両立した、末長く使っていける自動巻きモデルである。

反射を抑えた上品なシルバーカラーは、ビジネスシーンとの相性がよい。ケース径40mmというほどよいサイズ感で、取り回しのよいブレスレットを備えているため、日常的な着用に活躍するだろう。

搭載するCal.9S65は9Sメカニカルを代表するスタンダードなムーブメントで、日差+5秒〜−3秒の精度を保持し、パワーリザーブは最大約72時間(約3日間)である。金曜の夜に外しても、月曜には問題なく動作するのも魅力だ。

“大人”のスポーツウォッチ「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGA015

グランドセイコー SLGA015

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5 Days Diver’s 200m」Ref.SLGA015
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RA5)。38石。パワーリザーブ約120時間。ブライトチタンケース(直径43.8mm、厚さ13.8mm)。200m防水。151万8000円(税込み)。

「エボリューション9 コレクション」は、44GSから続いてきたセイコースタイルを進化させ、審美性、視認性、装着性をさらに追求したデザイン文法が備わったコレクションだ。同社が外装に対してさらなる高みを目指す姿勢が、垣間見える。

本作は、そんなエボリューション9 コレクションの中でも、スポーティーなダイバーズウォッチとなっている。スポーティーとはいえ、ゆがみのない面や稜線が際立つケースとブレスレットは高級機らしい風格を放っており、“大人”のダイバーズウォッチと言えるだろう。黒潮などといった、日本の海流をイメージした文字盤も、本作の魅力のひとつである。

次世代スプリングドライブCal.9RA5を搭載していることも特筆すべき点だ。このムーブメントは2020年、グランドセイコー誕生60周年の節目の年に発表された新たなる旗艦ムーブメントで、従来品の約1.66倍にあたる約120時間のパワーリザーブを実現したことに加えて、衝撃や温度変化への耐性も高まっている。

白樺林をイメージした「エボリューション 9 コレクション」Ref.SLGH005

エボリューション 9 コレクション SLGH005

グランドセイコー「エボリューション 9 コレクション」Ref.SLGH005
自動巻き(Cal.9SA5)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.7mm)。10気圧防水。115万5000円(税込み)。

同じくエボリューション9 コレクションから、グランドセイコースタジオ 雫石の周辺に群生する白樺林を文字盤で表現したモデルを紹介しよう。この文字盤から、通称“白樺”と呼ばれている。

本作は2021年に発表されたモデルで、独特な型打模様をあしらった文字盤が大きな特徴である。さらに、輝く繊細なカラーリングが施されていることで、冬の白樺林を雪が覆うさまをほうふつさせる。

搭載するムーブメントは、次世代メカニカルCal.9SA5。3万6000振動/時のハイビートはそのままに、約80時間の実用的なパワーリザーブを実現しており、シースルーバックからはストライプ模様の「雫石川仕上げ」が施されたこのムーブメントを観賞できる。

“春分”がテーマとなった「エレガンスコレクション」Ref.SBGJ251

グランドセイコー「エレガンス コレクション」Ref.SBGJ251
自動巻き(Cal.9S86)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ14.1mm)。日常生活用防水。91万3000円(税込み)。

他社とは一線を隠す文字盤意匠は、グランドセイコー人気を押し上げた大きな要素である。文字盤装飾はさまざまに存在するが、規則的なパターンが多い。一方のグランドセイコーは、日本の自然や美意識をテーマに、不規則であったり有機的であったりするパターンによって、独自の表現を確立しているのだ。

深みのあるグリーン文字盤の本作も、そんなグランドセイコーの魅力を味わえる1本だ。二十四節気のうちのひとつ「春分」の頃、人里離れた山奥でひっそりと可憐に咲く山桜をイメージしてデザインされた。グリーンを背景に、GMT針やGMTのロゴがピンクゴールドで彩られているところに、さりげなく春の雰囲気が配されているというわけだ。

独創性はあるものの、派手ではなく、優美なラウンドフォルムはエレガントだ。ビジネスにも、カジュアルにも着けこなせるGMTウォッチである。

クラシカルでおしゃれな「エレガンスコレクション」Ref.SBGW257

グランドセイコー「エレガンスコレクション」Ref.SBGW257
手巻き(Cal.9S64)。24石。2万8800振動/時。Ptケース(直径38mm、厚さ10.9mm)。日常生活用防水。489万5000円(税込み)。

1960年に登場した初代グランドセイコーのデザインを、現代技術で復刻したモデル。ケース径を35mmから38mmにサイズアップさせてモダナイズし、ケースバックもトランスパレント仕様に変更した。ムーブメントは手巻きで約72時間のパワーリザーブを実現した薄型のCal.9S64を搭載。クラシックな中にも高い視認性を誇り、おしゃれな大人の魅力を引き出すモデルだ。

なお、60年当時、ごく少数のみ製造されたプラチナモデルにのっとって、素材にはプラチナ950を採用。12時位置のロゴも初代モデルと同じ書体だ。

ドレスウォッチのお手本のようなモデルだけに、スーツの袖口を上品に演出するだろう。


年齢に合った腕時計を

40代の大人の手元には、20代や30代が憧れる高級腕時計を着用したい。本物を選ぶ審美眼が求められる年代ともいえるだろう。

機能性や品質に申し分ない、海外でもさらなる飛躍を目指すグランドセイコーは、まさに40代向けの高級腕時計だ。

川部憲 Text by Ken Kawabe


グランドセイコーの定番モデル6選。ムーブメント別に紹介

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