世界のウォッチパーソン紳士録 2020年度版

FEATURE本誌記事
2021.03.20

本誌において「世界のウォッチパーソン紳士録」2018年版を掲載してから早2年。2年とはいえ、世の中は目まぐるしいスピードで変わっている。言うまでもなく、今や世界はデジタルとSNS抜きには語れない。もちろん、時計の世界も例外ではない。それに伴い、時計業界のトップにも続々と新たな才能が迎え入れられ、その活躍が期待されている。加えて、2020年はCOVID-19の影響で、時計フェアをはじめとするリアルなタッチポイントが次々と消失するという、未曾有の事態となった。時計業界をリードする世界のウォッチパーソンたちは、果たして、COVID-19が常態として存在する新世界とどう対峙していくのか? 今回の「世界のウォッチパーソン紳士録」では、業界の誰もが注目するCOVID-19の影響と、その対策も各人に問うた。

[凡例] ①経歴 ②主な実績 ③初めて所有した時計 ④COVID-19の影響と今後の対策は?

[クロノス日本版 2020年11月号初出]


Raynald AESCHLIMANN
レイナルド・アッシェリマン[オメガ/社長兼CEO]

レイナルド・アッシェリマン

1970年/スイス、ベルン生まれ。
①ザンクトガレン大学で経済学のMBAを取得した後、投資コンサルタントとして勤務。1996年、オメガに入社。2000年以降、オメガ スペインとブランパンのディレクター、オメガUSA支社のディレクターなどを歴任。01年にオメガ副社長兼、営業・小売・販売部門のインターナショナルディレクターに就任。16年より現職。20年7月からスウォッチ グループ エグゼクティブグループ運営委員会のメンバーに就任。
②オメガ キャリバー321の復活プロジェクト。映画「007」シリーズとのコラボレーション。
③スウォッチでした。
④ブティック閉鎖に伴い、お客様との直接のやり取りがなくなったことです。しかし、Eコマースのセールス、マーケティング、そしてサポートシステムにおいて大きな成果を上げています。欧米ではオンラインショッピングの機会を提供しています。


Uwe AHRENDT
ウヴェ・アーレント[ノモス グラスヒュッテ/CEO]

ウヴェ・アーレント

1969年5月16日/ドイツ、グラスヒュッテ生まれ。
①大学で機械工学と経済学を修め、工学と産業工学の共同学位を取得する。卒業後は、IWC、A.ランゲ&ゾーネなどで製造責任者を務め、2000年にノモス グラスヒュッテのCEOに就任。
②同社CEOを20年務め、技術力を底上げする。同社初の自動巻きムーブメント「イプシロン」、自社製脱進機「ノモス スウィング システム」、薄型自動巻きムーブメント「ネオマティック」などが代表作に挙げられる。
③IWC「インヂュニア」。卒業論文でIWCについて書き、合格した記念に購入。
④都会から離れた小さな町グラスヒュッテではほとんど感染者は出ませんでしたが、警戒を怠らず、社員が在宅勤務をできるよう柔軟に対応しました。最新の限定版モデルが数時間で売り切れたように、顧客の時計への関心は弱まっていないことも分かりました。2020年はずっとオンラインストアでの販売を楽しんでいます。


Nicola ANDREATTA
ニコラ・アンドレアッタ[ロジェ・デュブイ/CEO]

ニコラ・アンドレアッタ

1973年/イタリア生まれ。
①父親の経営する企業でキャリアをスタートさせる。香港に5年間赴任し、さまざまなポジションを担当する中で、財政管理面において強力な手腕を発揮する。2003年に高級時計の製造や配給を行う企業N.O.A.をスイスで創立し、オーナーおよび代表取締役を務める。13年、ティファニーのスイス子会社のウォッチビジネスにおいて指揮を執る。18年にロジェ・デュブイに入社。
②世界市場におけるビジネス経験、ウォッチと時計業界に関する知識、ダイナミックな起業家精神を兼ね備え、ロジェ・デュブイの独創的な魅力をさらに広める。
③ ―― 
④ ――


Frédéric ARNAULT
フレデリック・アルノー[タグ・ホイヤー/CEO]

フレデリック・アルノー

1994年11月7日/フランス、パリ生まれ。
①フランスのエコール・ポリテクニークで学んだ後、フェイスブック、マッキンゼーを経て、2017年にタグ・ホイヤーに入社。当時タグ・ホイヤーのCEOであったステファン・ビアンキと緊密に連携しながら、スマートウォッチ事業を統率する。18年にチーフストラテジー&デジタルオフィサーに就任。20年7月より現職。
②第3世代コネクテッドウォッチや「タグ・ホイヤー カレラ」新モデルの発表。自社サイトやEコマースの強化。ポルシェ フォーミュラEチームとのパートナー契約など。
③タグ・ホイヤー「アクアレーサー」。
④デジタルストーリーテリングの影響やEコマースの台頭などのトレンドは加速しました。当社の新製品に対する顧客からの関心は衰えていません。私たちはリテールネットワークに強い意欲を持っており、今年後半には新しいブティックのコンセプトを発表し、さらに数多くの直営店をオープンさせる予定です。


Jean-Christophe BABIN
ジャン-クリストフ・ババン[ブルガリ/CEO]

ジャン-クリストフ・ババン

1959年4月6日/フランス、パリ生まれ。
①パリのHECでMBAを取得。卒業後にフランス海軍で兵役に服す。退役後、P&Gに入社。その後、ボストン・コンサルタント・グループ、ヘンケルKGaAを経て、2000年にLVMHグループ ウォッチ&ジュエリー部門タグ・ホイヤーのCEOに就任。13年より現職。
②ブルガリ・グループのトップとしてジュエリー、ウォッチ、バッグ、香水、そしてホテルズ&リゾーツのすべての部門を統括し、世界規模での発展に貢献。
③ ―― 
④コミュニケーション手段とビジネスの推進の方法、そしてクライアントとの関係を育む方法が大きく変わりました。デジタルのビジネスは急速に成長しています。ビジネスの継続を第一目的とし、生産の再編成、優先事項の変更、プロジェクトの延期、そして2021年に焦点を当ててさらなる躍進を図ります。


Nicolas BARETZKI
ニコラ・バレツキー[モンブラン インターナショナル/CEO]

ニコラ・バレツキー

1970年5月15日/スイス、ヴァレー州生まれ。
①HEC経営大学院を卒業後、シンガポールのカルティエでマーケティングディレクターとなる。本社国際部門の責任者となった後、2002年にジャガー・ルクルトへ転籍。13年にはモンブランのセールス担当副社長に抜擢され、17年4月より現職。
②「1858」「スターレガシー」「ヘリテイジ」「ボエム」の4コレクションに整理統合。
③ ―― 
④ ――


Bruno BELAMICH
ブルーノ・ベラミッシュ[ベル&ロス/共同創設者兼クリエイティブ・ディレクター]

ブルーノ・ベラミッシュ

1965年9月13日/フランス、パリ生まれ。
①フランスの国立工業クリエーション高等職業学校卒業。1989年から94年までニューカレドニアと香港の広告代理店で研修の後、フランスのデザインオフィスに勤務。92年、カルロス・A・ロシロとともにベル&ロスを創業。94年より現職。
②“四角いケースに丸”という飛行機のコックピットクロックをモチーフとした「BR 01」を航空時計の世界でベンチマークとなるまでに成長させた。時計のデザインだけでなく、チームと共に、独自のエンジンやマシンを発案し続けている。シャネルとパートナーシップを締結。
③16歳の時に父親からもらったRudy MeyerデザインのLIP「ギャラクシー・ブラック」。
④顧客が旅行に出られない分、情報の調べ方を変えました。インターネットの発展は驚異的であり、特にソーシャルネットワークのおかげで私たちはファンや顧客とより近付くことができました。


François-Henry BENNAHMIAS
フランソワ-アンリ・ベナミアス[オーデマ ピゲ/CEO]

フランソワ-アンリ・ベナミアス

1964年7月24日/フランス、パリ生まれ。
①プロゴルファーとしてキャリアをスタートし、高級ファッション業界に転身。1994年にオーデマ ピゲのフランス支社に入社。99年に北米支社のCEOに就任。2012年に本社の暫定CEOに任命され、13年に現職就任。
②「APコミュニティー」を築くという確固たる信念を持ち、人々との結び付きを強化。また、ビジネスモデルを卸売りから小売りへと発展させた。19年、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」を発表。
③16歳の時にゴルフ仲間から購入したロレックス。
④今年の売り上げはこれまでと明らかに異なりますが、8月末時点では順調に推移。全体の売上高は19年と比較して約20%減少していますが、小売事業は3%増加しています。また、全従業員の雇用を守りました。今後のビジネスモデルに対する新たな見方を得て、今後数年に向けた具体的なアイデアも多く浮かび上がりました。


Elie BERNHEIM
エリー・ベルンハイム[レイモンド・ウェイル/CEO]

エリー・ベルンハイム

1980年12月31日/スイス、ジュネーブ生まれ。
①ローザンヌ ホテル スクールを卒業し、2006年に家族経営企業の3代目としてレイモンド・ウェイルに入社。製造、マーケティング、経営管理など全般の業務に関わり、世界戦略を担う。14年に父であるオリバー・ベルンハイムの後を継ぎ、CEOに就任。伝統的な価値観に加え、若くフレッシュな先見性を併せ持つことで、ブランドイメージや広報活動、ソーシャルネットワークを発展させ、双方向性をもって顧客との距離をいっそう近づけることを目指す。
②17年、セリタと共同で初の自社専用キャリバーRW1212を開発。スイスネス法の条件を満たす高品質な時計製造を続け、ブランドの歴史を紡ぐ。
③1988年製のスウォッチのクロノグラフ。
④新しいデジタル戦略を用いて時計の流通経路を支援し、さらに積極的に関わっていくことで、独立を貫くレイモンド・ウェイルが今後も継続していくことを保証します。


Tino BOBE
ティノ・ボーベ[A.ランゲ&ゾーネ/製造責任者]

ティノ・ボーベ

1969年/ドイツ、ドレスデン生まれ。
①グラスヒュッテ職業訓練学校を卒業後、ドレスデン工科大学で精密機械工学や電気工学を専攻。その後、ドレスデンやバイエルンの研究機関で設計者として働く。1999年にムーブメント設計者としてA.ランゲ&ゾーネに入社。2004年から現職。
②生産プロセス全体の構造、組織、専門技術を発展させることで高い品質基準を常に保証しながら、40以上のムーブメントを世に送り出してきた。新工場のさまざまなプロセスも確立。
③子供の頃に、時計店のウィンドウをのぞきに1カ月ほど毎日通い続けてから購入したルーラのシンプルな機械式懐中時計。
④ ――


Adrian BOSSHARD
エイドリアン・ボシャール[ラドー/CEO]

エイドリアン・ボシャール

1962年3月19日/スイス、チューリヒ生まれ。
①1990年代に活躍したプロフェッショナル・オートバイレーサーで、元スイス・チャンピオン。96年までMotoGPロードレース世界選手権に出場した経験を持つ。時計業界へ転身後、スウォッチ グループ傘下のブランド、サーチナのCEOを17年間務める。2008年からはユニオン グラスヒュッテのCEOも兼任し、2000年代半ばに同ブランドの再調整プロセスにおいて重要な役割を果たす。20年7月、現職であるラドーのCEOに就任。
②今後、ラドーにおいて革新的なハイテク素材を使った、先見性のあるデザインを持つユニークな製品を開発すること。
③サーチナの「DS 2」。
④旅行制限と一部店舗の閉鎖により、新作を取扱店だけでなく、エンドユーザーにまで紹介する機会までも制限されてしまいましたが、その旅行制限によって、国内の消費者から今まで以上に多くのことを注意深く聞く機会を得ています。


Matthias BRESCHAN
マティアス・ブレシャン[ロンジン/CEO]

マティアス・ブレシャン

1964年/オーストリア生まれ。
①1996年にスウォッチ テレコムのタイム レスポンシブルとしてスウォッチ グループに入社。2005年よりスウォッチ グループ経営会議のメンバーとなる。ラドーを9年、ハミルトンを7年マネージメントし、20年7月より現職。
②ロンジンの豊かな歴史と、さまざまな分野のパイオニアとしての実績を、技術的および美的革新を刺激するための踏切板と捉え、ファンのコミュニティーの維持、育成、拡大に努める。
③現在は、ロンジンCEOに就任する直前にローンチされたロンジン スピリットコレクションを着けています。ブランドのターニングポイントを体現するものであり、時代に合わせて刷新された強い信念をもって、ロンジンの豊かなヘリテージにハイライトを当てた新コレクションです。
④ ――


Gisbert L. BRUNNER
ギズベルト・L・ブルーナー[ジャーナリスト、著作者]

ギズベルト・L・ブルーナー

1947年7月6日/ドイツ、ゾルムス生まれ。
①本職であるバイエルン州学校局での仕事(州の文部科学省のような役所)の傍ら、趣味として1981年より時計や計時について執筆。
②81年以来、オーデマ ピゲ、コルム、エテルナ、モンブラン、パテック フィリップ、ロレックス、タグ・ホイヤーなどの時計、またはブランドについて、約30冊の本を執筆。これに加え、輝かしい時計の世界に関する記事多数。
③64年、17歳で購入した新品のホイヤーのカレラ 12 クロノグラフ。
④多くの企業が閉鎖と解雇を余儀なくされることから、COVID-19は世界の時計産業に大きな傷跡を残すと思われる。近い将来、コロナ危機により受けた打撃から完全に回復するのは難しい。だが、高級機械式時計への需要が消えることはないため、本当に力のあるブランドであれば危機が過ぎ去った後、危機以前よりも強く成長しているに違いない。


Gregory BRUTTIN
グレゴリー・ブルタン[ロジェ・デュブイ/プロダクト・ストラテジー・ディレクター]

グレゴリー・ブルタン

1977年5月4日/スイス生まれ。
①ヌーシャテル大学でマイクロテクノロジーと時計製造デザインの修士号を取得する。2002年、ムーブメントの設計者としてロジェ・デュブイに入社。テクニカル部門責任者を経て、09年にムーブメント開発トップに就任し、自動巻きムーブメント、クロノグラフ、ミニッツリピーターやスケルトンムーブメントの開発を担当する。12年以降、テクニカルディレクター、R&D ウォッチメイキング ディレクターを歴任。18年から現職。
②ロジェ・デュブイで20年近くキャリアを積み、20個のムーブメント開発を行い、15個の特許を取得する。代表作は、4つのテンプをディファレンシャルギアでつないだムーブメントを搭載する、13年発表の「エクスカリバー クアトゥオール」。
③カシオ「カリキュレーター」。
④ ――


Fabrizio BUONAMASSA STIGLIANI
ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ[ブルガリ ウォッチ デザイン センター/シニア・ディレクター]

ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ

1971年12月21日/イタリア、ナポリ生まれ。
①国立デザイン大学ローマ校にてインダストリアルデザインを専攻。卒業後にトリノのフィアット・スタイル・センターに入社。2001年、自らのデザイン画をブルガリ デザイン センターに送ったところ、当時のCEO、パオロ・ブルガリにその才能を認められ、ブルガリへ入社。07年よりブルガリ ウォッチ デザイン センターのディレクターを務め、09年に現職に就任。
②ブルガリ ウォッチ デザイン センターを同社のウォッチ ビジネス部門があるスイスのヌーシャテルに移転させ、開発と製造の効率化を図る。
③4歳の時に両親から贈られた時計。
④私たちは数カ月先に何が起こるか予想をしながら戦略を立て、働き方そのものに革命を起こす必要がありました。製品開発を減速させず、デザイナーたちは制約がある中で常に前を向き続けた結果、新しい状況に適応できました。


Arnaud CHASTAINGT
アルノー・シャスタン[シャネル/ウォッチメイキング クリエイション スタジオ ディレクター]

アルノー・シャスタン

1979年/フランス生まれ。
①Arts Appliquésおよびストレート スクール オブデザインを卒業後、カルティエに10年間勤務。2013年5月にシャネルへ入社し、現職に就任。
②カメリアの花をかたどった自社製ムーブメント「キャリバー 2.」を搭載する17年の「プルミエール カメリア コレクション スケルトン」、「キャリバー 3.」搭載の18年「ボーイフレンド スケルトン」、ケニッシ製ムーブメントを初搭載した19年「J12」の3本をジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリのレディス部門受賞へ導く。代表作はほかに16年「ムッシュー ドゥ シャネル」、17年「コード ココ」など。20年にはカフ型シークレットウォッチ「マドモアゼル プリヴェ ブトン」を発表。
③記憶にある最初の時計は、2000年の「J12」。
④ ――


David CHAUMET
デビッド・ショーメ[ボーム&メルシエ/CEO]

デビッド・ショーメ

①2002年にロジェ・デュブイのカスタマーサービスおよび品質管理部門の責任者としてリシュモン グループに入社。さまざまな役職を歴任し、グローバルビジョンを培う。19年4月より現職。
②20年のウォッチズ&ワンダーズで「ハンプトン」コレクションのリニューアルや「クリフトン ボーマティック」のコンプリケーション搭載モデルを発表するとともに、新しく制作したブランドのイメージムービーを披露する。
③祖父から譲り受けた古い懐中時計。日常生活で着用することは難しかったのですが、当時の経験が時計業界への好奇心と興味につながっています。
④私たちは前例のない危機に直面しています。私たちメゾンの使命は、従業員とパートナーを守ることです。そのためには、私たちは働き方を見直す必要があります。このような状況下で、特にデジタル上での取り組みを通じてお客様との強いつながりを築くことができ、誇りに思います。


Peter CHONG
ピーター・チョン[時計情報サイト「Deployant」共同創業者、編集主幹、チーフフォトグラファー]

ピーター・チョン

1961年9月7日生まれ。
①2010年までITと航空業界でキャリアを積む。11年、卓上用大型豪華本『A.ランゲ&ゾーネ The Pour le Merite Collection』を執筆、撮影、出版。14年に「Deployant」を開始。
②「Deployant」をゼロから現在まで成長させた。ひと月あたり約120万のページビュー、約40万人のユニークユーザー、毎月約1TBのデータを提供。現在も毎日更新している。
③自分で最初に購入したのはジラール・ペルゴの「フェラーリ クロノグラフ」。
④時計業界関係者と直接会ってアイデアや意見を交換することは、厳しく制限されている。一部はインターネットを介して実施することができるが、バーゼルワールドやウォッチズ&ワンダーズなどの展示会への参加に代わるものはない。


Anthony DE HAAS
アントニー・デ・ハス[A.ランゲ&ゾーネ/商品開発ディレクター]

アントニー・デ・ハス

1967年/オランダ生まれ。
①1989年にスイスの時計学校を卒業後、複数の時計メーカーで技術部門や販売、マーケティングの経験を積む。2004年にA.ランゲ&ゾーネへ移籍し、新作のコンセプトから製品設計まで幅広く担当。
②現在、6つから成るA.ランゲ&ゾーネの時計ファミリーの拡大に大きく貢献。そのうち「リヒャルト・ランゲ」「ツァイトヴェルク」「オデュッセウス」はアントニー・デ・ハス氏の責任の下で誕生した。ストップセコンド機能付きトゥールビヨンや、さまざまな種類のコンスタントフォース・エスケープメントなど、数多くの特許取得機構の開発を監督し、同社のコンプリケーションモデルの存在感を高めている。
③2002年に購入したピンクゴールドの「ランゲ1」。
④ ――


Xavier DE ROQUEMAUREL
ザビエル・デ・ロックモーレル[チャペック/CEO兼ボードメンバー]

ザビエル・デ・ロックモーレル

1969年5月9日/フランス、リヨン生まれ。
①バルセロナのIESEでMBAを取得。エルメネジルド ゼニアやロエベでマーケティングおよびプロダクトマネージメントの幹部職を務めた後、2011年より時計業界へ転身し、エベルでブランドマーケティングと副社長を務める。13年より現職。
②チャペックの再生にあたり、時計愛好家218人からの支援を得て、無事に500万スイスフラン以上を調達。現在までに5つのコレクションを発表し、継続的に売り上げを伸ばし、収益を確保している。
③スウォッチ。
④今回の危機は「コレクター志向」を加速させました。私たちは動くことができない分、うまくコミュニケーションを取ることを考えなければなりませんでした。そして私たちには、初の自社製ムーブメントを準備し、独自の製造を構築するための時間が与えられました。


Elizabeth DOERR
エリザベス・ドーア[オンラインマガジン「Quill & Pad」編集長]

エリザベス・ドーア

1966年6月14日/アメリカ、ミシガン州デトロイト生まれ。
①1991から97年までドイツの『ArmbandUhren』『ArmbandUhrenKatalog』の初期メンバーとして、また99年から2011年まで『Wristwatch Annual』の編集者として活動。フリーランスの編集者、執筆者を経て現職に就任。
②著書に『12 Faces of Time』(2010年)、『Bridging Art and Mechanics: The Unabridged Story of Corum'sGolden Bridge』( 2015年)。12年から19年まで「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ」審査員、20年からアカデミーメンバー。
③モバード「ミュージアム・ウォッチ」。
④消費者の買い物習慣の変化と実質的な品質への投資の必要性。産業はまずデジタル、特にEコマースにシフトすることで解決しようとしています。


Sylvain DOLLA
シルヴァン・ドラ[ティソ/CEO]

シルヴァン・ドラ

1972年12月21日/フランス生まれ。
①トゥールーズ・ビジネススクールで修士号を修める。通信業界からキャリアをスタートし、パリ、ドバイ、ロンドン、アトランタの企業に勤める。2004年、スウォッチ グループに入社し、スウォッチのハイテク&アクセス部門の責任者に就任。翌年、ハミルトンへ転籍し、11年にCEOに就任。20年7月より現職。
②20年7月に発表したタッチセンサー式のコネクテッドウォッチ「Tissot T-Touch Connect Solar」(日本では22年に販売予定)の開発に3年以上携わる。
③14歳の時にもらったスウォッチ。
④ティソは1853年から続く歴史の中で幾度も困難や危機を乗り越え、強くなってきました。今回においては、主要国にいる献身的かつ情熱的なチームメンバーたちが各国それぞれで異なる消費者のニーズを把握していることや、ECビジネスなど、デジタル面を何年も前から強化してきたことが助けになりました。


Laurent DORDET
ローラン・ドルデ[エルメス・オルロジェ/CEO]

ローラン・ドルデ

©David Marchon

1968年6月15日/フランス生まれ。
①パリ高等商業学校卒業。1995年にエルメス・インターナショナルに入社。経理部門に所属。2002年、シルク部門の責任者に就任。07年にプレシャスレザー部門を統括し、11年にレザー部門の最高責任者を経て、15年より現職。
②製品提供方法の見直し、時計部門のビジュアルコンセプト、製造およびサプライチェーンの統合、流通ネットワークの再編など。
③セイコーのクォーツ時計。
④機敏性を高め、その時々の状況に適応することを余儀なくされる新たな時代になりました。私たちは顧客や従業員との関係を再構築し、また新たなコミュニケーションの方法を探します。一方、独創性と大胆さを追求し、本質的な価値のある(非の打ち所がない)完璧な製品をお客様に届け続けます。クラフツマンシップ、優れた品質、イノベーション、本質的な価値があるからこそ、危機から立ち直ることができると確信しています。


Gregory DOURDE
グレゴリー・ドゥルド[HYT/CEO&パートナー]

グレゴリー・ドゥルド

1972年4月12日/フランス生まれ。
①パリの国立土木学校にて学位を取得後、ビジネススクールでMBAを取得。その後、カルティエをはじめとする時計宝飾ブランドでキャリアを積み、スウォッチ グループのカルバン・クライン ウォッチの立ち上げにも貢献する。スウォッチ グループ内の関連会社の役員を務め、2012年に、医療、時計製造、ハイテク関連のプロジェクトを手助けする自身の会社を設立。
②機械式液体制御時計の「H0」で、レッド・ドット・プロダクトデザイン賞を受賞。20年にはライトモジュールを搭載した「FLOW」を発表。
③イエマ。
④「時間は川のようなものである」という考えがHYTの基本理念です。ロックダウン中の苦しい時間に、SNSで顧客や関係者と真のつながりを維持できる新しい技術の恩恵を受けました。挑戦を新たな機会に変えるという、ブランドが誕生して以来一貫してきた現実の重要性が改めて証明されました。