ブランパン×スウォッチバイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス」は、ラグジュアリーの世界観とカジュアルが融合した腕時計だ！

ブランパンとスウォッチが共同で展開した「ブランパン×スウォッチ」は、両ブランドの持ち味を組み合わせたコレクションとして大きな関心を集めている。ベースとなるモデルは、1953年に登場した「フィフティ ファゾムス」。最初期のダイバーズウォッチとされ、潜水時計の発展に影響を与えたモデルだ。このマスターピースをスウォッチが独自素材のバイオセラミックスで再構築し、さらに自動巻きムーブメント「SISTEM51」を搭載したのが「バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス」である。各モデルは海洋をテーマに多彩なカラーで構成され、外装の表現が明確に異なる。本記事では、両ブランドの背景とコレクションの特徴をまとめるとともに、9モデルの個性についても紹介しよう。

1．ブランパンとスウォッチがコラボ！

　ブランパンとスウォッチが展開するブランパン×スウォッチは、両ブランドの背景と製品づくりの姿勢を踏まえて実現したコレクションである。ベースモデルに選ばれたのは、1953年に登場したブランパンのフィフティ ファゾムス。潜水用途に応えるための設計を備えた最初期のダイバーズウォッチで、後の潜水時計の基準に影響を与えた名作である。この象徴的モデルをスウォッチが独自素材で再構築し、わずか51個のパーツで構成される自動巻きムーブメントのSISTEM51を採用した点が大きな特徴だ。

コラボの背景と「フィフティ ファゾムス」が果たす役割

　まず押さえておきたいのは、ブランパンの顔とも言えるダイバーズウォッチを、スウォッチが独自の素材とデザインで再構築している点だ。今回のコラボレーションはブランパンが公式に発表した取り組みであり、フィフティ ファゾムスの歴史的意義を新しい形で提示している。

　フィフティ ファゾムスは1953年に登場したモデルだ。当時は軍やプロフェッショナルダイバーなど、潜水作業の従事者から高い耐水性と視認性が求められていた。そこでブランパンは回転ベゼル、防水性能、暗所での視認性など、潜水時計に不可欠とされる仕様を整えた。同作が「最初期のダイバーズウォッチ」とされるのは、これらの仕様が、その後の潜水時計に影響を与えたためである。

　スウォッチは、この歴史的モデルを独自素材のバイオセラミックを用いて多彩なカラーバリエーションで再構築した。バイオセラミックは植物由来の素材を用いた複合材料で、軽さと耐久性を両立。素材の違いによってオリジナルとは異なるテイストを示しつつも、象徴的なデザイン要素はしっかりと引き継がれている。

　ブランパンが積み重ねてきた歴史と、スウォッチの素材開発力。このふたつがかみ合ったのが、今回のコラボレーション作品なのである。

ブランパンとはどのようなブランドか

　ブランパンは1735年創業とされる、長い歴史を持つ時計ブランドだ。創業以来、伝統的な機械式時計の製造を継続しており、一貫してクォーツ式を採用しない姿勢を明確に打ち出している。

　ブランパンは複雑機構を含む機械式時計を展開し、その製造は手作業による工程を重視してきた。代表的コレクションには、潜水時計のフィフティ ファゾムス、クラシカルな意匠を持つ「ヴィルレ」などがある。特にフィフティ ファゾムスは、潜水時に必要とされる仕様を備え、ブランドの歴史的モデルに位置付けられている。軍用時計を製造した経験もあり、これが潜水時計の発展に大きな影響を与えた。

　ブランパンは伝統的な時計製造を基盤としながら、耐水性能や複雑機構といった分野で実用性を追求してきた。今回のコラボではブランパンの象徴的モデルが取り上げられ、ブランドのフィロソフィーをより明確に示すこととなった。

スウォッチとはどのようなブランドか

　スウォッチは多彩なカラーリングと素材を活かした時計を展開するブランドで、1983年の誕生以降、軽快な外装やキャッチーなデザインを特徴としてきた。生分解性素材やバイオ由来素材を含む素材開発に力を入れており、バイオセラミックもそうした取り組みのひとつである。

　バイオセラミックはセラミックスと植物由来のプラスチックを組み合わせた素材で、耐久性を持ちながらも軽量。スウォッチは、このバイオセラミックを多様な色調で展開し、素材の特性を生かしたモデルをラインナップしている。価格は幅広い層が手に取りやすい設定になっており、時計をより身近な存在として提示してきた。

　今回のコラボではスウォッチの素材開発とカラーリングの柔軟性が、ブランパンの象徴的モデルを新しく見せるカギとなった。ブランドのアプローチこそ異なるものの、時計製造に対する姿勢を共有する部分がコラボの土台となっている。スウォッチが独自の視点からフィフティ ファゾムスを再構築したバイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムスは、まさにふたつのブランドの価値観が融合した作品といえるだろう。

2．ブランパンとスウォッチのコラボコレクション「バイオセラミックスキューバ フィフティ ファゾムス」

　ブランパンとスウォッチが展開する「バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス」コレクションは、海洋をテーマに構成されたシリーズだ。各モデルはバイオセラミックを用いた外装と、鮮やかな色調が特徴的なデザイン。ベースとなる構造は共通しており、外装素材・色彩・ストラップの仕様で個性を分けている。

GREEN ABYSS（グリーン アビス）

「GREEN ABYSS」は深いグリーンを基調とするモデルで、ケースにはバイオセラミックが採用される。均質な発色が外装に安定した色調を与え、ベゼルやクラウンと統一された外観をつくる。一方、ストラップは使用済み漁網をリサイクルしたNATOスタイルで、ケースと同系色のグリーンにまとめられている。素材の違いにより質感は異なるものの、色の統一によって全体の調和が保たれている。文字盤は視認性を重視したレイアウトに加えて、6時位置には水を検知する液体接触インジケーターも装備。海底を想起させる深いグリーンが、本モデルのテーマを象徴する要素となっている。

PINK OCEAN（ピンク オーシャン）

「PINK OCEAN」は、ピンク色の湖やビーチ、湾に着想を得た色鮮やかなモデルで、ケースにはバイオセラミックが採用される。均質な発色が外装に安定した色調を与え、ベゼルやリュウズと統一感のあるルックスにまとめている。ストラップは使用済み漁網をリサイクルしたNATOスタイルが組み合わせられ、ケースと同系色のピンクで彩色することで全体の調和が保たれている。文字盤のレイアウトや針の構成はシリーズ共通の仕様を踏襲し、視認性を確保。海洋をテーマとするコレクションの中で、ピンクという意外性のあるカラーを採用した点が本モデルの特徴だ。

BLUE LAGOON（ブルー ラグーン）

「BLUE LAGOON」は明るいブルーを採用し、海上の光を反射する水面を想起させるモデルだ。ケースに採用されたバイオセラミックの滑らかな表面に、均一なターコイズブルーの発色が印象的。ストラップは使用済み漁網をリサイクルしたNATOスタイルだが、ケースと同系色にすることでデザインに統一感を与えている。さらに針とインデックスは、背景色に対してパッと見て時間がわかるように、見やすさをしっかりキープしたデザインに。ベゼルの目盛りも共通仕様に沿っており、視認性を確保。このモデルはシリーズの中でも最も明るいブルーで彩られており、海の透明度を表現したような色づかいが印象的だ。

OCEAN OF STORMS（オーシャン オブ ストームス）

「OCEAN OF STORMS」は黒を基調としたモデルで、月の海と呼ばれる月面上の平地「嵐の大洋」と新月（ブラックムーン）を象徴する暗色の外観が目を引きつける。バイオセラミックの均質な表面により、暗色であっても色のムラが出にくく、外装全体の一体感を生み出している。針やインデックスは黒い背景に対してコントラストを確保した色使いとなっており、視認性をしっかりと確保。シリーズ共通の構造を維持しつつ、深いトーンによってテーマ性を強調している。月面の神秘的な暗さを象徴する色彩が他モデルとの対比を生み出し、コレクション全体の中で重要な位置を占めている。

ARCTIC OCEAN（アークティック オーシャン）

「ARCTIC OCEAN」は淡いベージュとオレンジの組み合わせが印象的なモデルで、ケースにはバイオセラミックを採用。明るい色調が均質に反映される一方、ストラップは使用済み漁網をリサイクルしたNATOスタイルを組み合わせ、同系色の配色によって外観の調和が図られている。特徴は文字盤に配された「NO RADIATIONS」のシンボル。これはラジウム不使用による安全性を示した、ブランパンの歴史的モデルの意匠を踏まえたものだ。6時位置には液体接触インジケーターを備え、軍用ダイビングウォッチに見られた機能へのオマージュを捧げるなど、シリーズの中でも印象的な1本に仕上げられている。

PACIFIC OCEAN（パシフィック オーシャン）

「PACIFIC OCEAN」は、太平洋に生息するウミウシの色彩から着想を得たモデルで、ケースをビビッドなイエロー・オレンジで彩っている。バイオセラミックによる均質な発色が外装の鮮明さを支え、力強い色彩が特徴だ。文字盤はブラックからホワイトへ移ろうグラデーションが与えられ、外装との対比によって判読性を確保している。このモデルも、ストラップは使用済み漁網を再生したNATOスタイルで、ケースと同系色のカラーによって外観に調和をもたらしている。シリーズ共通の針やインデックスの構成を踏まえつつ、明快な色表現が本モデルに強い個性を与えている。

ATLANTIC OCEAN（アトランティック オーシャン）

「ATLANTIC OCEAN」は大西洋に生息するウミウシの色彩に着想を得てデザインされたモデルで、濃いブルーのバイオセラミックケースを採用する。ケースの発色は均質で、深い海域を想起させる色調が外装全体に与えられている。文字盤はブルーとブラックのトーンを組み合わせており、針やインデックスとの対比によって判読性も確保。ストラップは使用済み漁網を再生したNATOスタイルで、ケースと同系色で彩られている。素材は異なるものの、配色を揃えることで外観に統一感を持たせ、一方では深みのあるブルーによって明快な個性も表現されている。

INDIAN OCEAN（インディアン オーシャン）

「INDIAN OCEAN」はインド洋に生息するウミウシの色彩を着想源としたモデルで、鮮やかなグリーンのバイオセラミックケースを採用する。均質な発色が外装に安定した色調を与え、シリーズの中でも印象的な色使いとなっている。文字盤はグリーンのグラデーションカラーで彩られ、針やインデックスとの対比により判読性も保たれている。ストラップは使用済み漁網を再生したNATOスタイルで、秒針に合わせたオレンジのラインがアクセントに。素材は異なるものの、色を揃えることで全体のまとまりを形成。海域の鮮やかさをグラフィカルに表現したモデルだ。

ANTARCTIC OCEAN（アンタークティック オーシャン）

「ANTARCTIC OCEAN」は南極海をテーマとしたモデル。白に近い淡色のバイオセラミックケースを採用し、均質な発色が外装に明るい雰囲気を与えている。文字盤はグレーをベースとしており、針やインデックスとのコントラストによって判読性も確保されている。ストラップは使用済み漁網を再生したNATOスタイルで、センターにネイビーのラインを配した落ち着きのあるデザイン。爽快なカラーリングでありながら、6時位置には軍用ダイビングウォッチに用いられた液体接触インジケーターを装備しているのも、本作の特徴だ。

3．まとめ｜フィフティ ファゾムスを軸に広がった9つの海の表現

　ブランパンとスウォッチが展開したバイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムスは、1953年に登場したフィフティ ファゾムスをベースとしたコラボレーション企画である。ブランパンの象徴的な潜水時計をスウォッチが多彩な色調で再構築した点が特徴で、バイオセラミック素材の活用によってオリジナルのフィフティ ファゾムスとは全く異なる印象を与える。シリーズは全9モデルで構成され、色彩によって異なる海域や月面を表す。歴史的背景を持つモデルを多彩な色彩で再構築することにより、従来のダイバーズウォッチよりもカジュアルな印象を強めている。ブランパンの象徴的モデルをより身近に感じられる点は、本コレクションならではの価値といえるだろう。