日常使いに取り込んでみたい、アルピナの「アルパイナー レギュレーター オートマチック」

FEATUREWatchTime
2021.08.10

アルピナは1883年に設立され、2002年にフレデリック・コンスタントの創業者たちによって、無骨でスポーティーな腕時計を展開する兄弟ブランドとして復活した。現代のアルピナブランドを世に知らしめたモデルのひとつが、2005年にデビューした、スキーをテーマにした「アバランチ レギュレーター」である。このモデルは一風変わったクッション型のステンレススティールケースと、当時としては珍しいレギュレーター式の文字盤を組み合わせている。2006年以降はほとんど眠っていたそのモデルの後継モデルとして、アルピナは2020年により合理的なラウンドケースの「アルパイナー レギュレーター オートマチック」を発表した。このモデルの着用機会を得た筆者が、アメリカ・ニューヨーク北部のアディロンダック地方での"Alpine"な環境から、このモデルの魅力を紹介する。

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo
2021年8月10日掲載記事

2006年から続く、アルピナのレギュレータースタイル

アルパイナー レギュレーター オートマチック

「アルパイナー レギュレーター オートマチック」。Ref.AL-650NNS5E6。自動巻き(Cal.AL-650)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径45mm)。10気圧防水。カーフレザーストラップ。参考価格2104USドル。国内未入荷。

 腕の上で存在感を放つ「アルパイナー レギュレーター オートマチック」のステンレススティール製ケースは直径45mmの大きさがあり、フラットなサファイアクリスタル製風防が文字盤を覆う。ベゼルはわずかにカーブし、表面にはサテン仕上げが施されている。同様にサテン仕上げのラグにはポリッシュ仕上げのファセットが施され、先端に向かって細くなり、温かみのあるブラウンのレザーストラップにつながっていく。ソリッドケースバックには、アルピナのロゴと山のモチーフが配されている。リュウズはねじ込み式で、ポリッシュ仕上げの表面にはアルピナの頂上をイメージした三角形のエンブレムが配されている。

アルパイナー レギュレーター オートマチック

サテン仕上げのステンレススティール製ケースと、質感のあるダークブルーの文字盤、温かみあるブラウンのストラップの組み合わせで、ラグジュアリーな外観とアウトドア系のアプローチを兼ね備えている。

 ダークブルーのメインダイアルにはコート・ド・ジュネーブ仕上げが施されている。ムーブメントに見られることの多いこの仕上げが、文字盤で採用されるのは珍しいだろう。多くのレギュレーターウォッチと同様に、本モデルでも時表示が最も目立つ中央に配されている。10時位置にある1時間で1周する分表示と、6時位置にある1分で1周する秒表示の文字盤にはサンバースト仕上げが施され、どちらの文字盤にもアラビア数字のインデックスが大きく白くプリントされている。時分針には山頂を外観的にイメージした細い三角形の針が備えられている。

アルパイナー レギュレーター オートマチック

時、分、秒の表示をそれぞれ別の文字盤で行うユニークなレギュレーターダイアル。

 メインダイアルのインデックスは、長方形と、アルピナのロゴを彷彿とさせる三角形を組み合わせたような5面体をしている。このインデックスは5分ごとに配されているが、分表示の文字盤と重なる9時から11時のインデックスは省略されている。目を細めればフランジ上で大まかな時間の確認は可能ではあるが、この点はレギュレーターウォッチでも時間の読み取りやすさを重視する人には惜しく思われるだろう。

アルパイナー レギュレーター オートマチック

ムーブメント装飾では一般的なコート・ド・ジュネーブ仕上げが、文字盤に採用されるのは珍しい。

 搭載される自動巻きキャリバーAL-650は、ETAのムーブメントをベースに作られている。このムーブメントは、2005年から2006年にかけて「アバランチ レギュレーター」に搭載されていた、ユニタス6498をベースにしたムーブメントに置き換えられるものである。新旧のメカニズムの大きな違いは、前者が手巻きであるのに対し、後者は自動巻きであることだ。前者は懐中時計のムーブメントを流用したもので、サイズも大きく、振動数も1万8800振動/時と遅かったが、パワーリザーブは新型の約38時間に対して約53時間と長かった。

アルパイナー レギュレーター オートマチック

ソリッドケースバックが、自動巻きキャリバーAL-650を覆っている。

 ストラップには、厚手で柔らかく、コントラストの効いたステッチが配されたカーフレザーが使用されており、この時計のアウトドアテイストを醸す魅力の一端を担っている。ストラップは、サテン仕上げの表面にアルピナのロゴを配したステンレススティール製ピンバックルで手首に固定する。ブラウンレザーストラップとケースのサテン仕上げ、質感のあるダークブルーダイアルの組み合わせがアルパイナー レギュレーター オートマチックを端正で多目的な、日常使いの時計としている。珍しいレギュレーターダイアルは、オフィスでもゲレンデでも会話のきっかけとなり得るだろう。2104USドルという価格も魅力的だ。


アルパイナー レギュレーター オートマチック

針、インデックス、アルピナのロゴなど全てが、山頂を想起させる。

 アルパイナー レギュレーター オートマチックには、本モデル以外にもブラックダイアルモデルや、レッドカラーのディテールやステッチを効かせた833本の限定モデルの他、ブレスレットタイプなどの展開がある。アルピナは、山を身近に感じるテーマを追求して、ウェブサイトで販売された時計1本につき100USドルを、ブランドが公式パートナーとして支援している「National Parks Foundation」に寄付することを約束している。




シチズンが新たな2ブランドの国内展開スタートを発表

https://www.webchronos.net/news/14014/
アルピナから環境に配慮した素材を使った新モデル「シーストロング ダイバー ジャイル ジェンツ オートマティック」が登場

https://www.webchronos.net/news/59689/