ダイバーズウォッチの最高峰に搭載されたムーンフェイズ ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー」

FEATURE本誌記事
2022.10.03
PR:BLANCPAIN

ブランパンのアイコンといえば、モダンダイバーズウォッチの祖「フィフティ ファゾムス」や月に顔が描かれたムーンフェイズを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、意外なことにこの両者を組み合わせたモデルはわずかしか存在しない。今回はこのアイコンが“共演”する数少ない実例、「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー」の魅力に迫る。

吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie
細田雄人(本誌):取材・文 Edited & Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年11月号掲載記事]


「フィフティ ファゾムス」とムーンフェイズ、ふたつのアイコンの共演

指針式の日付表示は、インデックスの内側を1周する方式。針先は赤く塗装されているため通常時は高い視認性を発揮し、ダイビングの際には水中で色味を失うため、時刻読み取りの邪魔にならない。インデックスは小ぶりだが、蓄光塗料の発光が強く、視認性は極めて高い。

 1953年、自身もダイバーだった当時のブランドCEO、ジャン-ジャック・フィスター指揮の下、開発されたブランパン「フィフティ ファゾムス」。同作はモダンダイバーズウォッチの祖と言える存在だ。フランス海軍のロベール・マルビエ大尉とクロード・リフォ中尉の協力によって約100mの防水性能や誤作動防止が備わった回転ベゼル、耐磁性能等、同時代のダイバーズウォッチとして抜きんでたスペックを実現したフィフティ ファゾムスは、フランス海軍はもちろん、アメリカや旧西ドイツ、パキスタンなど、多くの国の海軍で採用された実績を持つ。まさにブランドのアイコンを飛び越えて、時計史に名を残す傑作だ。

 そんなフィフティ ファゾムスには現在、大きく分けてふたつのコレクションが存在する。ひとつはオリジナルモデルのデザインを色濃く受け継ぐ「フィフティ ファゾムス オートマティック」シリーズで、ダイバーズウォッチとは思えない高品質な外装が最大の特徴だ。

12時位置にはディスク式の曜日表示と月表示が配される。ブルー文字盤では、文字盤外周に向かってブラックが濃くなるグラデーションが採用されている。

 そしてもう一方がコンテンポラリーダイバーズを標榜する「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」シリーズである。こちらは56年に発表された同名のスポーツアクティビティー向けモデルをルーツに持つ、より日常使いに向いたシリーズとして展開されている。キャラクターこそ大きく異なるふたつのフィフティ ファゾムスであるが、共通しているのはオリジナル同様、プロユースに耐えられるスペックが与えられた本格ダイバーズウォッチであるという点だ。そしてそれは、フィフティ ファゾムスの名を冠したモデルの中で一番ダイビングと縁が遠そうな「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー」であっても例外ではない。

 ダイバーズウォッチにおいて最も重視される要素こそ、潜水中の視認性の高さだ。スキューバダイビングにおいて、一定の深度まで潜った際に発生する窒素酔い(ガス昏睡)は判断力を著しく低下させ、時刻の読み取りなどを誤認させる。PADIでインストラクター開発を担うベテランダイバーですらも「デジタルの時刻表示では6や8といった特定の数字を見間違えることがある」と語ったことがあるほどだ。ダイビングコンピューターが普及し、潜水時間のみならず深度、無減圧潜水可能時間までを手首で確認できるようになった現代においても、バックアップを兼ねてダイバーズウォッチを着用するダイバーが少なくないのは、指針式の時刻表示が読み取りやすいからという理由が大きいのである。

 そんなダイビングウォッチ事情を考慮すると、「日付」「曜日」「月」のカレンダーを持つフィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダーの潜水中の判読性が気になるというユーザーも多いだろう。しかし、そこはさすがブランパン。フィフティ ファゾムスを名乗るだけあり、文字盤上の情報がいくら多くても、しっかりと潜水中では必要な情報のみが読み取れるような工夫がなされている。

 具体的には潜水時間が判断できる要素、つまり時分針と秒針に加えて、各インデックスおよび計測開始地点となる逆回転防止ベゼルの0分地点にのみ蓄光塗料を施しているのだ。加えて、ポインターデイトの針先は水中で色味を失う赤色としている。時刻の読み取りが困難なシチュエーションになればなるほど、潜水に関わる情報のみが際立つのである。

 さて、ここまでダイバーズウォッチとしての実力を記してきたが、フィフティファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダーは日常生活においても使い勝手に優れた時計だ。過酷な環境での着用を念頭に設計された300m防水性能の頑強なケース、シリコン製ヒゲゼンマイによって得た高い耐磁性能といったスペックは、同モデルをどんな環境でも気兼ねなく使用させてくれる。加えてケースサイズは直径43mm、厚さ13.4mmに抑えられているため、シャツやジャケット、スーツの袖口にも引っかからないだろう。

搭載される自動巻きムーブメントCal.6654.Pの調速機は衝撃に強いフリースプラングテンプと非磁性素材のシリコン製ヒゲゼンマイという、ダイバーズウォッチに最適な組み合わせだ。地板のペルラージュやブリッジの面取りはもちろん、18Kゴールド製のローターにも面取りを施すなど、高級機然とした仕上げが随所に見られる。