パテック フィリップのフィリップ・スターン名誉会長へのトリビュート、新型ムーブメントを搭載した「ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル」

NEWSニュース
2023.11.14

パテック フィリップは、1993 年から2009 年まで同社の社長を務めたフィリップ・スターン現名誉会長の85 歳の誕生日を記念し、ミニット・リピーターと、リピーター機構の2 つのゴングにより、選択された時刻を音で知らせるアラーム機構を統合した新しいタイムピースを開発した。この30 本のリミテッド・エディションには、今後二度と使用されることのない新しいムーブメントが搭載されている。またプラチナ仕様のオフィサータイプのケースと、本黒七宝の地にホワイトとグレーの七宝細密画によるフィリップ・スターンの肖像を配した文字盤も特徴である。

ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

パテック フィリップ「ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル」
自動巻き(Cal. RAL 27 PS)。47石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。PTケース(直径41mm、厚さ14.2mm)。非防水。世界限定30本。価格は要問合せ。

 1839 年の創業以来、パテック フィリップは、定時にチャイムを鳴らすグランドソヌリ、プティットソヌリ、および望んだ時にチャイムを鳴らすリピーターを含む、チャイム・ウォッチの巨匠としての地位を確立してきた。1989 年、マニュファクチュールの創業150 周年を機に、フィリップ・スターン(当時専務取締役)は、完全自社開発・製造によるこのタイプ最初のムーブメントである著名な自動巻ムーブメント、キャリバー R 27 を発表し、ミニット・リピーター搭載腕時計の偉大な復興を果たした。それ以来、年と共にミニット・リピーターはパテック フィリップのコレクションにおいて特権的な地位を回復し、今日、当社はミニット・リピーター搭載腕時計の最大の現行コレクションを擁するに至っている。

 このグランド・コンプリケーションを単独で、または他の機能(グランドソヌリ、プティットソヌリ、トゥールビヨン、永久カレンダー、クロノグラフ、ワールドタイムなど)と組み合わせたタイムピースの数は十数点におよんでいる。


85年間にわたる時計製作へのトリビュート

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 フィリップ・スターンの85 歳の誕生日を記念し、ティエリー・スターン(2009 年、スターン家4 世代目社長に就任)は、この機会に特別に開発され、今後二度と使用されることのない新しいムーブメントを搭載した、30 本のリミテッド・エディションを創作し、父親に敬意を表することにした。このタイムピースのモデル番号 1938 は、名誉会長の生誕年である。このタイムピースには、フィリップ・スターンが深く愛しているコンプリケーション、ミニット・リピーターが当然のことながら選ばれ、あらかじめ選択された時刻を音で知らせる、エクスクルーシブなチャイムによるアラーム機構がこれに統合された。
 
 この洗練された機構は2014 年、創業175 周年を記念して発表されたパテック フィリップの最も複雑な腕時計、グランドマスター・チャイム 5175 モデル(20 の複雑機能)の5 つのチャイム機能のひとつであり、世界に先駆けた技術革新(2 件の特許取得)のひとつであった。

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 パテック フィリップ・グランドマスター・チャイムは手巻ムーブメント、キャリバー300 GSAL 36-750 QIS FUS IRM を搭載しており、2016 年に6300 モデルとして現行コレクションに加わった。グランドソヌリ、プティットソヌリ、ミニット・リピーター、望む時に今日の日付を音で知らせるデイトリピーター、選択された時刻を音で知らせるチャイムによるアラーム機構を組み合わせている。

新たな技術的課題

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 しかし選択された時刻を音で知らせるチャイムによるアラーム機構を象徴的なキャリバーR 27 に組み込むことは、きわめて困難な使命であることが判明した。パテック フィリップ技術陣は、新しい自動巻キャリバー RAL 27 PS にアラーム機構を組み込むためにミニット・リピーター機構を大幅に再設計する必要があった。課題は、パテック フィリップのミニット・リピーターの視覚的特徴であるケース側面左側のスライドピース機構を維持しながら、2 つの同一のクラシック・ゴングでミニット・リピーターとアラームのチャイムを鳴らすことができる時計を創作することであった。

 そのため、ミニット・リピーター・モードでは、スライドピースを操作した時、文字盤に表示されている時刻を即座に鳴らし、アラーム・モードでは、表示されている時刻が事前に選択された時刻と一致するまでチャイムを保留する必要があった。スライドピースによりチャイム用ぜんまいの巻き上げが行われると瞬時にチャイムが開始されるクラシックなミニット・リピーターとは異なり、アラーム機構の追加により、チャイム用ぜんまいとチャイム駆動機構(クオーター・ラック、分ラック、時ビーク)を必要に応じ切り離す必要が生まれたのである。

新しい4 件の技術特許

 これらすべての技術的制約により、チャイム・モード選択用のレバーとコラムホイール、および動力源(チャイム用ぜんまい)をチャイム機構から一時的に切り離すために必要なチャイム・トリガーを備えた円錐滑車(フュゼ)装置を含む227 個の構成部品が追加された。後者は、通常グランドソヌリ・ウォッチに使用されるものである。キャリバー RAL 27 PS の開発により、新しい4 件の技術特許が出願された。これらは、ひとつのチャイム・モードから他のチャイム・モードに安全に移行できる機構、適切な瞬間までアラーム音を延期する機構、あらゆる場合にチャイムを正しいシーケンス(時、クオーター、分)で確実に鳴らす機構、およびスライドピースの操作によりチャイム用ぜんまいが常に完全に巻き上げられることを保証する機構である。

 この最後の機構により、アラームの最長シーケンスである31 音(12 時58 分に相当)を常に確実に鳴らすことができる。チャイム用ぜんまいは、過剰な巻き上げを防ぐため、滑りバネも備えている。

きわめて容易な操作

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 このモデルでは、他のパテック フィリップのコンプリケーテッド・ウォッチ同様、ユーザー本位の設計哲学に基づき、技術的な複雑さと驚異的な操作の容易さが結びついている。リュウズに統合されたプッシュボタンによりチャイム・モードを選択でき、これは3 時位置の小さなベル型の表示窓に表示される。ミニット・リピーター・モード(表示窓に黒いベルが表示される)では、いつでもスライドピースを操作して時、クオーター、端数の分をチャイムで聞くことができる。アラーム・モード(赤いベルが表示される)では、アラームを巻き上げるため、先ずスライドピースを操作する必要がある(ベル表示が赤から白に変わる)。スライドピースを操作した後、アラームがまだ鳴っていない限り(白いベルが表示されている)、プッシュボタンを押すことにより、チャイムを鳴らさずにミニット・リピーター・モードに戻ることができる。

12時間表示アラーム

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 アラーム時刻の設定は、リュウズを中間位置に引き出した状態で、12 時間表示によりクオーター(15 分)単位で行う。設定時刻は、ローズゴールドの中央ブレゲ指針により文字盤外周のローズゴールド・パウダー仕上げ目盛に表示される。最大数のチャイムが鳴るように、設定された時刻の2 分前にアラームが鳴る。例えば 1938P-001 モデルのアラームが3 時に設定されている場合、3 時に低音を3 回鳴らすのでは聞き逃す可能性が高いため、2 時58 分に低音を2 回、高低音の組み合わせを3 回、高音を13 回、合計21 回鳴らし、真の音楽交響曲を聴くことができる。安全機構により、アラームがすでに設定されている時にリピーター・スライドピースを続けて操作したり、チャイムの作動中に時刻を調整したりするなど、誤った取り扱いによる損傷を防止している。

本七宝細密画による肖像画

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 フィリップ・スターンへのトリビュートは、本黒七宝の地にホワイトとグレーの七宝細密画によるスターン氏の肖像を配した18 金ゴールドの文字盤にも続く。一筆ずつ忍耐強く描かれた微小な絵画は、パテック フィリップ名誉会長が大切に育ててきた伝統的な希少なハンドクラフトの成果のひとつである。時間の経過は、ローズゴールドのアラーム指針・目盛と対照的な、ホワイトゴールドのブレゲ植字数字と時・分針によってエレガントに表示される。

プラチナ・ケースと刻印の入ったダストカバー

 直径41 mm、手作業による全面ポリッシュ仕上げのプラチナ・ケースは、フィリップ・スターンにとってこれも大切な作品のひとつを想起させる。1989 年、マニュファクチュールの創業150 周年を機に、スターン氏は直線ラグとねじ込み式バーを備え、20 世紀初頭の最初期の腕時計を彷彿させるオフィサータイプのリミテッド・エディション 3960 モデルを発表した。プラチナ仕様が選択されたのは、最も希少な貴金属であると同時に、鑑識眼の高い愛好家に愛される真の《パテック フィリップのみのサウンド》を創り出す上で、音響学の面からこの金属が最も困難だからでもある。

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 すべてのプラチナ仕様のパテック フィリップ・タイムピースと同じく、1938P001 モデルはケース側面の6 時位置にダイヤモンドがセッティングされている。ケースはサファイヤクリスタル・バックを備え、これを保護するヒンジ付ダストカバーには、《À mon père, 85 ans de passion horlogère》(我が父と85 年間の時計製作への情熱に捧げる)の一文が手彫金により刻まれている。

キャリバー RAL 27 PS

パテック フィリップ ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル

 サファイヤクリスタル・バックを通し、面取りと金めっきを施した受けとハンマーを含む新しい自動巻ムーブメント、キャリバー RAL 27 PS の精緻な仕上がりと、フィリップ・スターンの署名を再現した黒漆塗りの彫金が施され、ロジウムめっき仕上げ、縁がイエローゴールドの22 金イエローゴールド偏心マイクロローターを鑑賞することができる。ブリリアント・ブラックのアリゲーター・バンドとプラチナ仕様の折り畳み式バックルが、エレガンスと快適な装着感をさらに高めている。



Contact info: パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109


2023年 パテック フィリップの新作時計まとめ

https://www.webchronos.net/features/93342/
パテック フィリップ「カラトラバ トラベルタイム 5224R」。これは24時間時計の完成形か?

https://www.webchronos.net/features/94226/
パテック フィリップの逸品カラトラバのおすすめ3選。魅力と選び方

https://www.webchronos.net/features/45456/