エルメスは、時間をただ計測するための道具ではなく、詩的に再構築すべき概念として捉えている。「アルソー ル タン ヴォヤジャー」は、その思想を体現したタイムピースであり、見る者を旅の物語へと誘う。新たに加わった2モデルは、独自の複雑機構と芸術的な意匠により、世界をめぐる時間体験にさらなる深みを与えている。
アルソー ル タン ヴォヤジャーの新作
エルメスは時計を「時間を知る道具」とは捉えていない。そこにあるのは、時を詩的に再構築するという発想だ。腕にまとうのは、単なる時計ではなく「時間という概念を形にしたオブジェ」である。時間とともに世界を旅する「アルソー ル タン ヴォヤジャー」にも、新たな2モデルが加わった。エルメス独自のコンプリケーション機構を搭載し、時間表示に詩的な奥行きを与えるタイムピースだ。
この時計は、世界24都市のタイムゾーンを円盤で表示し、12時位置のホームタイムと、可動式カウンターでローカルタイムを同時に確認できる仕組み。表示は直感的だが、構造は極めて緻密に設計されている。

自動巻き(Cal.H1837)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径41mm)。3気圧防水。予価645万7000円(税込み)。2025年9月頃発売予定。
動力源となるのは、エルメス・マニュファクチュール製のCal.H1837。そこに、122個のパーツからなる独自開発のコンプリケーションモジュール、ル タン ヴォヤジャーを組み合わせている。この構成の本質は、複雑機構をムーブメントと別体で後付けするのではなく、ベースムーブメントとモジュールが一体化して機能するように設計されていることにある。ムーブメント全体がひとつの構築物として完結しており、機構美そのものが設計思想として貫かれている。

自動巻き(Cal.H1837)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KPGケース(直径38mm)。3気圧防水。予価 644万6000円(税込み)。2025年9月頃発売予定。
さらに、デザイン面でも強い個性を放つ。文字盤には、ジェローム・コリヤールが描いたスカーフ、「乗馬の世界地図」のアートワークを採用。立体的に浮かび上がる大陸のレリーフと、都市名を転写したディテールが、静かに旅情をかき立てる。
アルソー ル タン ヴォヤジャーは、2025年9月頃発売予定だ。