ゼニスは、重力の影響を受けないように動く「グラビティ コントロール」脱進機モジュールと、それを収めるトランスペアレントなサファイアクリスタル製ケースが特徴の「デファイ ゼロ G サファイア」を発表した。本作はゼニス創業160周年を記念するモデルであり、このアニバーサリーを反映したラピスラズリ文字盤も見どころのひとつとなっている。

“ジンバル”の技術を取り入れた「ゼロ G」の最新作が登場
ゼニスは、創業160周年を記念し、2008年の初出時に注目を集めた「ゼロG」の技術を取り入れた「デファイ ゼロ G サファイア」を発表した。ゼロGは、重力の影響を受けないように作動する「グラビティ コントロール」脱進機モジュールである。新作では、サファイアクリスタル製ケースを採用することで、特徴的なグラビティ コントロール脱進機モジュールが空中に浮かんでいるかのように見える仕立てとなっている。

手巻き(Cal.エル・プリメロ8812)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。サファイアケース(直径46mm)。3気圧防水。2838万円(税込み)。

手巻き(Cal.エル・プリメロ8812)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。サファイアケース(直径46mm)。3気圧防水。2838万円(税込み)。
グラビティ コントロール脱進機モジュールの技術は、2008年のゼロ Gでデビューした後、2018年の小型化、2021年の再設計を経て、本作に採用されるに至っている。この技術の着想の源は、高精度時計の象徴的な存在であるマリン クロノメーターの“ジンバル”だ。ジンバルがどのような機構かというと、自由度を持ったリンクで構成されており、取り付けられた錘が重力に引かれて動き、対象を水平に保つ仕組みだ。ジンバルの構造を時計に取り入れることで、時計の構成部品を理想的な姿勢に保ち、精度維持を図るものとなっているのだ。
本作の技術的な注目点は、ジンバルの構造を取り入れたグラビティ コントロール脱進機モジュールである。このアイディアを実現するための開発期間は約7年であり、関連特許も取得されている。
このモジュールの中で、特に複雑であるのが香箱から脱進機へトルクを伝達するプロセスである。トルクは精巧な円錐状のベベルギア(かさ歯車)の輪列を介してグラビティ コントロール脱進機モジュールへ伝達されている。モジュールの傾きに関わらず一定の回転数を保てるよう、ベベルギアは小型化したディファレンシャルギアに取り付けられ、脱進機へ安定して駆動トルクが伝達されている。
サファイアクリスタル製ケースにも注目
本作はサファイアクリスタル製ケースが採用されており、透明な構成が、本作の特別な機構を余すことなく鑑賞可能としている。また、搭載ムーブメントのCal.エル・プリメロ8812がスケルトンデザインであることも、ムーブメントの鑑賞の楽しさを高めることに寄与している。ムーブメントは、ゼニスのシンボルである星型のブリッジを有しており、アイコニックなシルエットを本作に加えている。
ラインナップされるのは、無色透明のトランスペアレントモデルと、ディープクリアブルーモデルの2種類である。また、オフセットの時分表示とスモールセコンドには、創業160周年を祝うラピスラズリ文字盤が採用され、蓄光塗料を塗布したファセットカットのアワーマーカーが配される。



